家族、記憶、アイデンティティ…多文化共生時代に生きる私達の物語『ニホンジン』がいよいよ劇場公開!
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20世紀初頭にブラジルへ移民した日本人が、農地で身を粉にして働き、戦争での困難を経て家族を築く『ニホンジン』が8月7日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『ニホンジン』は、ブラジルに暮らす日系移民三世代の濃密な人間ドラマを描いたアニメーション映画。ブラジル日系移民三世である10歳の少年ノボルは、小学校で自らの文化的アイデンティティについて調べる宿題を与えられ、祖父のヒデオのもとを訪れる。寡黙なヒデオは自分の過去に向き合うことを避けてきたが、ノボルを前に自分の半生を語りはじめる。1920年代、2ヶ月けてブラジルに到着した20歳のヒデオは、馴れない異国のコーヒー園で悪戦苦闘する日々を過ごしていた。ノボルは一族の歴史を掘り下げていくうちに、一度も会ったことのない叔父ハルオの存在を知る。
本作では、ブラジル出版界において最も権威ある文学賞とされる”ジャブチ賞”を2012年に受賞したオスカール・ナカザトの小説「ニホンジン」を原作に、俯瞰的で寓話的な視点を緻密なタッチで表現する現代美術家である大岩オスカールさんのビジュアル世界に着想を得て、ブラジルのアニメーションスタジオであるPINGUIM CONTENTが映像化した。自身も横浜出身の日系一世である画家のケン・カネコが祖父ヒデオ役、11歳にして数年の声優キャリアを持つピエトロ・タケダが孫ノボル役で声の出演している。

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映画『ニホンジン』は、8月7日(金)より全国の劇場で公開。関西では、8月7日(金)より京都・烏丸御池のアップリンク京都、8月14日(金)より大阪・梅田のテアトル梅田、9月11日(金)より兵庫・神戸のシネ・リーブル神戸で公開。
日本からブラジルへの移民は、1908年に移民船”笠戸丸”によって神戸港を出発し、781人の移住者がサントス港に到着したことから始まった。その背景には、日本の農村の貧困と人口過剰、そして、奴隷解放後のブラジルの労働力不足に由来する。 明治時代の日本は人口が急増し、特に地方の農村部で土地のない小作人や貧困層があふれていた。ブラジルでは、コーヒー農園の労働力だった奴隷制度が廃止され、深刻な人手不足が起きていたことも大きい。1908年6月18日に最初の移民がブラジルへ到着し、サンパウロ州のコーヒー農園で契約労働者として働き始めたが、当初は過酷な労働だったが、次第に自営農地を持って独立する人や、アマゾン奥地のトメアス等で黒胡椒の栽培など新たな開拓を行う集団が現れていく。その後、第二次世界大戦が起こり、終戦時には大変な出来事が起きてしまったが、現在のブラジルには、世界最大規模の約270万人と言われる日系人社会が築かれ、両国間の文化や人の往来は現在も続いている。そんな現代において、日系三世にあたる子供達が、学校の宿題で、家族のルーツを最初の移民となる世代であった祖父母に聞いていく様子を本作では描いていく。本作では、祖父に聞いていくが、ブラジルに来た頃は、大変な日々を送っていたので、孫に訊ねられたからといって、簡単に話すわけにはいかない。渋々話していくことになるが、孫に全てを理解してもらうことは到底無理であり、都度話すこと自体を止めるしかなかった。だが、本作を鑑賞している立場としては、当時はそんなことが起きていたのか…と驚かざるを得ない。そして、孫が一度も会ったことがない叔父さんの存在を知り、移民の中で起きていた出来事の真相を知っていくことになるのだ。それ故に移民第1世がどれだけ大変な思いをしていのか…と思い知る。だが、世代を受け継ぎながら、世界最大規模の日系人社会を築いていることを思えば、彼等に最大の敬意を払う必要がある、と認識させられた。そんな思いを、優しいタッチのアニメーションによって届けられるので、深刻になり過ぎず当時について理解を深められる良作に仕上がっている一作だ。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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