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2000年代以降に再評価の機運が高まったヌーヴェルヴァーグの名匠ギイ・ジル監督『海辺の恋』『オー・パン・クペ』が順次公開!

2026年4月14日

©1965 Films Galilée ©1968 Machafilm

 

フランスの映画監督ギイ・ジルが1960年代に手がけた初期作品『海辺の恋』『オー・パン・クペ』が4月17日(金)より全国の劇場で順次公開される。

 

映画『海辺の恋』は、ギイ・ジル監督が1963年に発表した長編デビュー作で、若者たちのはかない愛をつづった自伝的作品。夏の海辺で愛を確かめ合うジュヌヴィエーヴと水兵ダニエル。しかしバカンスが終わると、彼は港町ブレストへ、彼女はパリへと戻っていく。ふたりは再会を願い、手紙をつづり続ける。そこに、アルジェリア戦争から帰還したもう1人の水兵ギイが加わり、3人の思いは静かに交錯していく。主演のダニエル・ムースマン、ジュヌビエーブ・テニエに加え、水兵ギイ役でギイ・ジル監督が自ら出演。ジャン=ピエール・レオ、ジャン=クロード・ブリアリ、アラン・ドロン、ジュリエット・グレコら名優たちが脇を固めた。ギイ・ジル監督が1959年に手がけた短編『Au biseau des baisers』を気に入った名匠ジャン=ピエール・メルビルが製作資金の一部を援助した。ロカルノ国際映画祭で批評家賞を受賞している。

 

©1965 Films Galilée

 

映画『オー・パン・クペ』は、ギイ・ジル監督が、死を選んだ恋人との記憶とともに生きる女性を描いた長編第2作。現在をモノクロ映像、追想の断片をカラー映像で描き、愛の記憶と不在の痛みを繊細かつメランコリックに映し出す。ジャンヌは亡き恋人ジャンを思い返しながら、今も彼の記憶とともに生きている。ジャンは社会の秩序やブルジョワ的世界を拒み、ビート族の世界にも居場所を見いだせず、自ら死を選んだ。彼の死を知らないジャンヌには、いつまでも彼が寄り添い、亡霊のように存在し続ける。『恋人のいる時間』『昼顔』のマーシャ・メリルが主人公ジャンヌを演じ、『海辺の恋』撮影中にギイ・ジル監督と出会い彼の人生と創作においてかけがえのない存在となった俳優パトリック・ジョアネが亡き恋人ジャン役を務めた。

 

©1968 Machafilm

 

映画『海辺の恋』『オー・パン・クペ』は、4月17日(金)より全国の劇場で順次公開。関西では、4月17日(金)より大阪・梅田のテアトル梅田や京都・烏丸御池のアップリンク京都で公開。また、神戸・元町の元町映画館でも近日公開。

ヌーベルヴァーグ。様々な映画を観てきた中で、聞き覚えのある言葉だけど良くわかっていない言葉。調べてみると1950年代末に始まったフランスの映画運動とのこと。撮影所に所属して下積みをするのが通例の映画業界において、アンドレ・バザンという映画評論家の薫陶を受け下積み無しにデビューした若手作家達やその作品をヌーベルヴァーグと呼ぶらしい。1950年代から1960年代のフランス映画界には熱い魂を持った若手作家が多かったことが伺える。

 

 

『海辺の恋』

そんなヌーベルヴァーグの作家陣の中で、あまり語られることがなかったギィ・ジルの監督デビュー作が62年の時を経て日本で初公開を迎える。四季のように移ろいゆく心、とりわけ恋心を淡く儚く描いた本作は、デビュー作とは思えない完成度を誇る。色の使い方、カットの割り方、丁寧なお話。どれをとっても鮮やかで、あっという間に魅了されてしまった。

 

パリに住むジュヌヴィエーヴは恋に恋する女性。ある夏休み、1年前に出会った水兵の彼、ダニエルと過ごしている最中、ふと将来のことを尋ねる。遠距離恋愛になる彼への思いを手紙にしたため、来る日も来る日も返事を待つ。一方ダニエルは、尋ねられた将来の希望に何も言えない。ジュヌヴィエーヴの手紙へ返事を書く筆が徐々に遅くなる。過ぎていく時間は残酷で、止まることはない。でも、ダニエルはどこか止まったままでいる。それは、彼の心がまだまだ幼いからなのか、派遣されていたアルジェリアでの出来事がそうさせたのか。とはいえ、素敵な未来を想像しているジュヌヴィエーヴのことを思うと…。ジュヌヴィエーヴのキラキラしたあの表情を忘れることはできないはず。

 

どこかにしまったはずの記憶の蓋が開いてしまうくらいに、静かに丁寧に過ぎていく恋の季節が描かれている。30も半ばに差し掛かる今、出会えて良かった。

 

 

『オー・パン・クペ』

ギィ・ジル監督は瑞々しい恋や愛の瞬間を圧倒的なセンスで映し撮る。互いに惹かれあい、支えあう。柔らかな表情から永遠を約束しあった2人にも見えた。暖かなカラーの場面は幸せで溢れている。いつまでも続くはずのカラフルな世界の彼女は、モノクロの世界では硬い表情になり彼との時間を思い出す。

 

このタイトルはテレビ番組の撮影で街を歩いている時に見かけた小さなカフェからとったそうだ。時間の流れから取り残されたようなそのカフェの店内には、古びた絵と植物が飾られ、午後の柔らかな日差しが差し込む様子を見てその場所に惚れこんでしまったが、店主の過去の苦い思い出から店内での撮影はさせてもらえなかった、とのこと。しかし、監督がそのカフェから感じ取った空気感が映画を立ち上がらせ、ほろ苦い現実と幸せな記憶を思い出す傑作が誕生した。

 

幸せな時間を映し出すカラフルな過去と、ただひたすらに悲しみに暮れるモノクロな現実。シンプルだけど、これほど登場人物の心情を的確に表現する技法はない、と感じた。ジャンヌの表情や言葉だけでなく、その技法からも感情がビシビシと伝わってくる。ギィ・ジル、あまりに手練れな映画監督だ。

 

 

今回の特集上映で出会えたギィ・ジル監督を中心にヌーヴェルヴァーグの世界を掘り進めたい。

fromブライトマン

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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