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この映画を観た人はアイドルについてどのように思っているか、が鏡のように映し出される…『恋愛裁判』深田晃司監督に聞く!

2026年1月27日

実際の裁判に着想を得て、恋愛禁止ルールを破った女性アイドルの裁判を通して、華やかな芸能界の裏側を描く『恋愛裁判』が1月23日(金)より全国の劇場で公開中。今回、深田晃司監督にインタビューを行った。

 

映画『恋愛裁判』は、『淵に立つ』『LOVE LIFE』の深田晃司監督が、アイドルの恋愛禁止ルールを題材に描いたオリジナル作品。恋愛禁止ルールを破ったとして裁判にかけられる女性アイドルの姿を通して、日本で独自に発展したアイドル文化と、その中で暗黙の了解とされてきた”アイドルの恋愛禁止”問題について切り込んだ社会派ドラマ。深田監督が”元アイドルの女性に賠償命令”という新聞記事に着想を得て、構想から10年をかけて完成させた作品で、主演を日向坂46の元メンバーである齊藤京子さんが務めた。人気上昇中のアイドルグループであるハッピー☆ファンファーレでセンターを務める人気メンバーの山岡真衣は、中学時代の同級生である間山敬と偶然再会し、意気投合して恋に落ちる。アイドルとしての立場と恋愛との間で葛藤していた真衣だったが、ある事件をきっかけに衝動的に敬のもとへ駆け寄る。それから8ヶ月後、真衣は所属事務所から”恋愛禁止条項”の契約違反として裁判所に召喚されることになる。裁判では、事務所社長の吉田光一やチーフマネージャーの矢吹早耶らが真衣を追及するが…
元アイドルである齊藤さんが、その経験を生かして真衣の葛藤や成長を繊細に演じた。真衣と恋に落ちる間山敬役にドラマ「SHOGUN 将軍」の倉悠貴さん、所属事務所チーフマネージャーの矢吹早耶役に「極悪女王」の唐田えりか、事務所社長の吉田光一役に人気声優であり俳優としても映画やドラマで活躍する津田健次郎さん。2025年の第78回カンヌ国際映画祭でカンヌ・プレミア部門に正式出品された。

 

2015年、アイドルの女性が恋愛をした、という理由で事務所から賠償請求された裁判に関する新聞記事を読んだ深田監督は最初に「それって人権問題なんじゃないの?」と違和感を抱くことに。その時点で本作のクライマックスがどうなるか決めていた。そして、2016年には本作の企画が立ち上がり、構成作家としてアイドルグループのライブやイベントの仕事を手がけてきた三谷伸太朗さんと共に時間をかけて脚本を練っていきながら、様々なアイドルグループのライブにも足を運び、現役アイドルや元アイドル達、アイドル業界で働く人たちへの取材を実施。恋愛に関することや事務所との関係など、様々な重いエピソードも伺っている。何度も脚本を練り直し、ストーリーや設定も少しずつ変化を遂げていきながら、主人公の山岡真衣と恋に落ちる間山敬は大道芸人である、という設定が決まった時に「山岡真衣との関係等を作りやすくなった」と手応えを掴んだ。また、アイドルを辞めた後に何をやっているか、についても調べたり取材で伺ったりしており「”アイドル”と一括りに云っても、アイドルになりたい、というモチベーションは皆バラバラ。俳優になりたい、と言ってアイドルになる方もいる。歌手になりたい、と思ってアイドルになる方もいる。本当に、アイドルに憧れてアイドルになっている方もいる」とセカンドキャリアに関する考え方も様々であることが分かり「夢の違いのようなものを描ければ」と検討。脚本家の三谷伸太朗さんやプロデューサーの中とも何度も侃侃諤諤なディスカッションを行った上で脚本を完成させていった。

 

キャスティングではオーディションを行っており「最初に山岡真衣と間山敬を演じる俳優を決めよう」と取り組んだ。間山敬のキャラクターについて「前半では、或る種の野性さがあり、非常に自由に生きている。後半になるにつれ、次第に真面目で生活感が出てきて、今までと違っていく」と捉えており、両面を演じられる方として倉悠貴さんが抜擢された。だが、主役の山岡真衣役はなかなか決まらず、再度オーディションを実施。倉さんにも参加してもらい、台本を読む際には、何人もの山岡真衣候補の相手役を担ってもらい、2人のバランスを確認させてもらった上で、齊藤京子さんに決定した。

 

作中で登場するアイドルグループであるハッピー☆ファンファーレについて、アイドルの座付き作家もしている脚本家の三谷さんから様々なアイデアをいただいており、脚本にも随所で反映してもらっている。決定稿である脚本が出来上がった際には、演出部が集まり読んでもらいながら「山岡真衣がアイドルとして恋愛する、ということに対してどう思うか」といったことに関して様々なフィードバックをいただいた。20代の助監督である鳥井さんと柏原さんが女性アイドルを非常に好きであったことからリアルな意見をもらうことができて、ハッピー☆ファンファーレのグッズやロゴの制作まで精力的に担ってもらっている。ハッピー☆ファンファーレのメンバーには、現在活動しているアイドルグループのメンバーからも抜擢されており、劇中のライブシーンではファンクラブにも声かけを行い、実際のファンにもエキストラとして参加してもらった。「アイドルのライブを見ていると、或る種独特の熱狂が出来上がっている。コールが独特なので、アイドルのライブに行ったことない方にやってもらうのは厳しいだろうな」と察し「実際のファン達に来てもらえることになったので、アイドルに詳しい助監督がコール等を考え、現場でもファンに伝えてもらおう」と計画。ファンの人達は積極的に応じてくれて「ファンの皆さんは飲み込みが凄く早かった」と安堵している。その中で、劇中で発煙筒による事故が起きた際に山岡真衣が1人で淡々と話す独白シーンを撮りながら「齊藤さんが凄く良かった。その時、齊藤さんは本当に山岡真衣になったな」と手応えを感じられた。

 

クランクアップ後には編集作業に入るが、深田監督はいつもフランスで実施している。今作では、前作に続いてシルビー・ラジェさんが編集に携わっており、最初に全体的な構成を組んでもらった。その内容を確認して足したり引いたりしている。シルビーさんはアイドルについては全く知らなかったが「フランス人の視点でアイドルグループが登場する作品を編集しており、どこがおもしろいのか、どこをカットして大丈夫なのか、といった判断を促してくるので、信頼しながら取り組んでいった」と話し、興味深い作業になったようだ。

 

2025年5月には、第78回カンヌ国際映画祭のカンヌ・プレミア部門に正式出品された。欧米の映画人が多く鑑賞しており「この映画を観た人はアイドルについてどのように思っているか、が鏡のように映し出される」といったことを目指していた中で、その通りに実現したようだ。「彼らからすれば、アイドル文化は凄く遠い存在にある。ダンスや歌も含めた華やかなアイドル文化を全く知らない」と分かり「遠い国の社会問題というような感覚が強い。10代の若者に対する労働搾取や性搾取のような問題としてのみ認識されているんだな」と実感。その後、韓国の釜山国際映画祭、中国の平遥国際映画祭、タイのバンコク国際映画祭に正式出品され、アジア各国にも訪れており「彼らにとっては身近なんです。アイドルカルチャーは社会で共存しているもの、という意識なので、この作品も自分事として観てもらえた」と感じられた。

 

各国の映画祭を巡り慌ただしかった10月、本作の小説を2~3週間で執筆している。これまでの3作品でも執筆しており「小説に関しては、あれこれ書けるので、映画では描けないようなディテールも含まれている。映画だと省略しないといけない箇所が沢山あるので、引き算していたものを戻している」と説明。通常、映画のノベライズは、宣伝の要素が含まれており、監督自身が書かないことが多いが「他の方が書くぐらいだったら、自分で書こう」と考えていた。実は、映画監督を目指す前は小説家志望であったことから「文学界に裏口入学させてもらっている」といった気持ちで今まで書いてきたようだ。とはいえ、今回はあまりにも時間がなく断るつもりだったが、プロデューサーからの強い依頼もあり書くことに。だが「山岡真衣の一人称、という形式で書いてみよう」と方針を決めて書き始めてみると、書くことが楽しくなったようだ。小説を書く場合、改稿されていく脚本から様々なパターンを試した上で最終的には映画では選ばなかった展開を使うことがあり、「気に入っていたアイデア等を、小説でもう一度再チャレンジしているところがあります。今回もそういった流れで書き足していきました」と話す。また、今回は、マンガ家の平塚まるさんによる映画のコミカライズ連載も行われており「本編と脚本をお渡しし、完全にお任せで書いてもらいました。本編の編集でカットしたところも、けっこう描かれていました」と明かした。

 

映画『恋愛裁判』は、1月23日(金)より全国の劇場で公開中。関西では、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田大阪ステーションシティシネマや難波のTOHOシネマズなんば、京都・二条のTOHOシネマズ二条や九条のT・ジョイ京都、神戸・三宮のOSシネマズミント神戸等で公開中。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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