原作を知っている方も知らない方も新鮮な気持ちで楽しんでもらえる…『秒速5センチメートル』舞台挨拶付き特別試写会in大阪を開催!

心を通わせた男女が、時の流れの中で疎遠になっていくものの、約束の日に再会を果たそうとする『秒速5センチメートル』が10月10日(金)より全国の劇場で公開される。9月27日(土)には、大阪・難波のTOHOシネマズなんばに松村北斗さん、上田悠斗さん、白山乃愛さん、奧山由之監督を迎えたサプライズな舞台挨拶付き特別試写会が開催された。
映画『秒速5センチメートル』は、『君の名は。』『すずめの戸締まり』の新海誠監督による2007年公開の劇場アニメーション『秒速5センチメートル』を、SixTONESの松村北斗さん主演で実写映画化。1991年、春。東京の小学校で出会った遠野貴樹と篠原明里は、互いの孤独に手を差し伸べるように心を通わせるが、卒業と同時に明里は引っ越してしまう。中学1年の冬。吹雪の夜に栃木の岩舟で再会を果たした2人は、雪の中に立つ桜の木の下で、2009年3月26日に同じ場所で再会することを約束する。時は流れ、2008年。東京でシステムエンジニアとして働く貴樹は30歳を前にして、自分の一部が遠い時間に取り残されたままであることに気づく。明里もまた、当時の思い出とともに静かに日常を生きていた。貴樹と心を通わせていくヒロインの篠原明里役を高畑充希さん、貴樹に思いを寄せる高校の同級生である澄田花苗役を森七菜さん、高校時代の貴樹役を青木柚さん、貴樹の会社の同僚である水野理紗役を木竜麻生さんが務め、そのほかに宮﨑あおいさんや吉岡秀隆さんが共演。『アット・ザ・ベンチ』で注目を集めた映像監督・写真家の奥山由之さんがメガホンをとり、『愛に乱暴』の鈴木史子さんが脚本を手がけた。
今回、上映前に奧山由之監督に加えて、上田悠斗さん、白山乃愛さん、そして、松村北斗さんがサプライズ登壇。和やかな雰囲気の中で舞台挨拶が繰り広げられた。
仕事やプライベートでも大阪に来ている松村さんは「梅田の近くに泊まり込みで仕事とかもしていたので、入りやすそうなお店は一通り入ったような街ですね」と話し、大阪の雰囲気には慣れているようだ。上田さんは、祖父母が住んでいることから大阪にも来ており「楽しそうな街だなぁ。フレンドリー、優しそう」と感じている。白山さんも時々大阪に来る機会があり「賑やかだな。明るい場所だな」といった印象があった。奥山監督は、写真に関する仕事もあり20回程度は大阪に来ており「書店さんでトークイベントさせていただいた。活気がある街。新幹線から降り立った時から、活気が違いますよね。勢いがある感じがして、元気をもらえる街だな」と印象深く残っている。なお、舞台挨拶の前には、松村さんと上田さんと白山さんは、梅田にある観覧車に乗っており、松村さんは「悠斗が高い所が苦手で…とてもキュートで…」と明かしながらも「この2人は年齢が1つ違わないんですよ。乃愛ちゃんがお姉ちゃんに見えた。素直に言うところがね、悠斗の良いところ。 かっこつけないからね。楽しかったよね」となだめていく。上田さんは「楽しかった。けど、怖かった」と素直に話し、初めて観覧車に乗った上田さんは「ビルの上にある、ということもあって、すごく高くて…最初は、怖いのかな、とか思っていたんですけど、めちゃくちゃ楽しくて。しかも、2人と話して心が温まった。初めてがあの観覧車で良かったな」と話し、喜んでいた。
撮影現場を振り返り、奥山監督は「あったかい空気。でも、3人が一緒になったのは現場で1回だけです。和やかなムードで撮れたかな。 誠実に真摯な人たちが集まってくれて、すごい楽しかったです」と思い返す。また、先日まで、韓国の釜山国際映画祭に松村さんと奥山監督が参加していた。松村さんは「最終日に、オープンシネマという大きな会場で上映した後の熱気を感じながら…不安なこともありながら上映を迎えて…作品としては奥山さんが素晴らしく仕上げていたから、作品自体の不安や未熟さは全く心になかったんですけど…そこに自分がいる…うまく飲み込みきれない状況を…囲まれて拍手が向けられている中で残るんですよね」と困惑したことを打ち明けながらも「その中で奥山さんがしっかりと握手してハグをしてくれた時、この拍手がちゃんと作品に向けられたものなんだ、とスッと入ってきた。そして、改めて見て…お客さん達の熱気が忘れられない釜山映画祭でしたね」と安堵していたことを明かす。
上田さんと白山さんが演じる幼少期のシーンを見た松村さんは「2人がホントに素晴らしいな、と思った作品。 むしろ、2人のシーンは、覚えてるシーンばかり。 でも、勿論そこには2人がここまで培ってきたものと、現場で起こる奇跡と、やはり奥山さんと共鳴し合っている。 同じ熱量で、同じ誠実さで向き合っていることがホントに画面に表れている。2人で1本でいいな、と思うような出来栄え」と受けとめており「逆に言うと、それだけの見応えと感情の量を、幼少期、高校生、社会人で全てを撮って1つにまとめた奥山さんは凄いな、というところにも行き着く。それぐらい3人が一体となって1つのものに向かっている。作品として、他じゃなかなか見られないような勢いを感じる幼少期時代でしたね」と絶賛した。
なお、『秒速5センチメートル』というタイトルになぞらえ、秒速で時間が経ってしまうほどハマっているについて聞かれ、奥山監督は最近始めたポットキャストを挙げ「創作をしている時の気持ちを話させてもらっているんです。友達と一緒に話している楽しい時間です」と嬉しそうに話す。白山さんは玉子焼きを焼くことにハマっており「私のおじいちゃんがとてもふわふわに卵焼きを焼いていて、その焼き方を教えてもらった時からずっと焼いていて」と話しながらも「私のおじいちゃんが100点満点だから、私はまだまだ50点ぐらいなんじゃないかな」と謙遜。上田さんはダンスにハマっており「レッスンをするんですけど、1時間以上のレッスンが基本なんです。それが10分に感じる時がたくさんあります」と話し、楽しんでいることが伝わってくる。なお、松村さんもラジオ番組に出演しており「1時間半の生放送をやっていて、一生懸命に喋りたいことを喋ると時間はアッという間なんだろうな」と思いながら「これと同じようなことを感じたのが、釜山で、夜に舞台挨拶で熱気をもらって、食事をして、現地に行っていた知り合いの監督さんといると、気づいたらアッという間に2時半とかになっていた。 好きなことを喋るのは、心としても大切なことなんだろうな」と実感していた。
そして、これから作品を鑑賞するお客さんに向けて、奥山監督は「日々、どんな人でも悩みとか不安とか色々抱えてると思うんです。この映画がそういった皆さんの背中に手を添えるような…大丈夫だよ、と言ってあげられるような作品になってたらいいな」とメッセージ。上田さんは「雪のシーンは、初めての雪で…とても楽しかった」とお気に入りのシーンを挙げ、白山さんは「私は、踏切の桜のシーンが印象に残っていて…あそこも含めて、映像も他のシーンの俳優さんの表情や心とか全てが綺麗な映画だな、と私は観た時に思ったので、表情や映像の綺麗さも注目して観ていただけたら嬉しいな」と思いを添えていく。松村さんは「元から素敵で切実な物語。 それ自体も多分楽しいと思うんです」と挙げながらも「楽しめるものではある、と思うんですけど、今回、乃愛ちゃんには高畑充希さんがいたり、悠斗に(青木)柚くんと僕がいたりして、違う人間が1人のキャラクターを演じていき、どのように繋げていくか。奥山さんが素敵に効果的に使っている。特に後半で、僕はホントに好きな瞬間も訪れるんです。実写では、僕は若返られないから、若い役者さんを使っている。一見難しそうなところを、映画という作り物として、ステップアップさせたことも楽しんでもらえる映画かな」と受けとめていた。
最期に、松村さんは「元から物語を知っている方も知らない方も沢山集まっていると思います。原作を知っている方も、新たに加わった要素や、それが実際の人間で起こることを踏まえると、新鮮な気持ちで楽しんでもらえると思うので、まっさらなな気持ちでスクリーンと向き合ってみてください」とメッセージ。奥山監督は「誰しもが普遍的に感じる幼少期の純真さや、青春時代の高校生らしい真っ直ぐさや、大人になることの迷いが映っている映画だと思うので、重ね合わせて観ていただけるかな」と思いを込め、舞台挨拶を締め括った。
映画『秒速5センチメートル』は、10月10日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田や大阪ステーションシティシネマや難波のTOHOシネマズなんば、京都・二条のTOHOシネマズ二条や三条のMOVIX京都や九条のT・ジョイ京都、神戸・三宮のOSシネマズミント神戸等で公開。

- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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