介護施設で過ごしながら、死を見つめ生きることの意味を考え始める女性の姿を描く『また逢いましょう』が第20回大阪アジアン映画祭のインディー・フォーラム部門で世界初上映!

(C)Julia/Omuro
介護施設で過ごしながら、死を見つめ生きることの意味を考え始める女性の姿を描く『また逢いましょう』が第20回大阪アジアン映画祭のインディー・フォーラム部門で世界初上映された。
映画『また逢いましょう』…
漫画家の優希は、父が事故で重体との報せを受け、東京から京都へと駆け付ける。無事退院した父は、リハビリのため介護施設ハレルヤへ。優希はそこで働く介護職員の洋子と出会い交流する中で、彼女の人生が変わっていく。OAFF2019オープニングフィルム『嵐電』の大西礼芳さん主演、『浜辺のゲーム』(OAFF2019)等のカトウシンスケさん共演、中島ひろ子さん、田山涼成さん、筒井真理子さんらベテラン勢が脇を固める。
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映画『また逢いましょう』は、3月16日(日)15:20よりテアトル梅田でも上映。

大西礼芳さん主演作品としては、これまでにない程に明るく等身大の女性を演じた本作。父親の転落事故という大変な出来事に巻き込まれながら、病院の医者による淡々とした説明を聞きながら、現実はこういったものなの!?と不安な気持ちになってしまう光景を見せつけられながら始まっていく今作。無事に退院した後、リハビリテーションを目的として介護施設に入所することに。この介護施設でお世話になっている方々は年齢も抱えている症状も様々。レクリエーションは催されるが、決して参加を強制されるものではない。入所者さんがどのような態度をとったとしても、所長さんはいつもニコニコと反応していく。その雰囲気も相まって、本作には優しさが溢れている。それだけでずっと観ていたい気持ちにもなってしまう。だが、同時に介護施設の現実もしっかりと伝えていく。介護職員の中でも、仕事に対する意欲は様々で、これこそが現実だ。一歩間違えると、相模原での事件のようなことが起きてしまうんだよな、と気づかされてしまう。全ては、法律等によって定められたことで、このような現実を生み出していることには憤りしか感じ得ない。だからこそ、本作は優しさと共に現実を真摯に描いているだろう。そんな現実を超越するように、クライマックス手前の変化球にこそ、映画らしい醍醐味でもある。ちなみに、エンドロールで気づかされるのだが、劇中で披露される漫画やピアノの演奏は、代役ではなく、大西礼芳さん御本人によるもの、とのこと。まさに多才な方で驚かされるばかり。

- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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