50歳の落語家が人生を見つめ直す『みんな笑え』がいよいよ関西の劇場でも公開!
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©2024映画「みんな笑え」製作委員会
監督と主演俳優の人生を照らし合わせながら製作した脚本を基に、認知症の父の介護に追われるうだつの上がらない落語家が、売れない若手漫才師と出会い、人生を見つめ直す『みんな笑え』が2月14日(金)より関西の劇場でも公開される。
映画『みんな笑え』は、うだつのあがらない落ちぶれた五十路の落語家の、ほろ苦い生きざまを描いたドラマ。50歳になっても人気も人望も野心もなく、恋人もずっといない、世間から見れば落ちぶれた落語家の太紋。師匠である父は、認知症によって引退し、家に帰れば父を介護する毎日を送っている。そんなある日、太紋は売れない若手漫才師・希子と出会う。希子との出会いから、太紋は自分の人生を見つめ直していく。
本作では、蜷川幸雄演出の舞台などで活躍した個性派俳優の野辺富三さんが主人公の太紋役を務め、『凪の憂鬱』の辻凪子さんが希子役、渡辺哲さんが師匠でもある父親役をそれぞれ演じた。そのほか、片岡礼子さん、今野浩喜さんらが脇を固める。監督は『くそガキの告白』『生きててよかった』の鈴木太一さんが務めた。
©2024映画「みんな笑え」製作委員会
映画『みんな笑え』は、関西では、2月14日(金)より京都・烏丸御池のアップリンク京都、2月15日(土)より大阪・十三のシアターセブン、2月17日(月)より今福西のTheater café 土間シネマで公開。なお、2月15日(土)にはシアターセブン、2月16日(日)にはシアターセブンとアップリンク京都、2月17日(月)にはTheater café 土間シネマに野辺富三さんと辻凪子さんと鈴木太一監督を迎え舞台挨拶開催予定。また、神戸・新開地のパルシネマしんこうえんでも近日公開。
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江戸時代に生まれ400年以上も前から受け継がれてきた日本の伝統話芸である落語。古典落語となれば、たとえ同じ話であっても、落語家によって如何様にも印象が違って聞こえる。実に奥深い世界だ。代々受け継がれてきたことで出来上がった子弟制度によって一門が成り立っているが、師弟関係によっては変化が幾らでも起こり得る。本作の場合、主人公は、うだつが上がらず、どうしようもない五十路のおじさん。師匠である父親の落語に抗うかのように、自らの道を志す姿に応援したい気持ちを抱いてしまうが、どうしても五十路のおじさんが醸し出す哀愁を拭い取ることは出来ない。それが功を奏すか否か、それは観る者しだいだろうか。そこに登場するのは、鳴かず飛ばずの女芸人コンピ。自らの発想にはなかったエッセンスを落語から見出すが、相方はホストに現を抜かすしかない。そんなバラバラな2人なら、お客さんの心に届く笑いを起こすことができるのか。そんなツッコミどころのある者達が集い、一旗揚げることができるのか、ん…!?ひょっとしたら、ひょっとするかもしれないけれど…やはり哀愁を帯びた作品である。されど、こういった作品であるゆえに、誰かに背中を押されたい者は、是非とも劇場へ駆けつけるが宜し!
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- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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