転売で日銭を稼ぐ若者が現代社会に潜む憎悪の連鎖に飲み込まれていく『Cloud クラウド』がいよいよ劇場公開！

2024年9月23日

転売業で稼いでいる若い男性と彼をめぐる人々が、袋マスクの男の出現をきっかけに、憎しみの連鎖に飲みこまれていく様を描く『Cloud クラウド』が９月２７日（金）より全国の劇場で公開される。

映画『Cloud クラウド』は、憎悪の連鎖から生まれた集団狂気に狙われる男の恐怖を描いたサスペンススリラー。町工場で働きながら転売屋として日銭を稼ぐ吉井良介は、転売について教わった高専の先輩である村岡からの儲け話には乗らず、コツコツと転売を続けていた。ある日、吉井は勤務先の工場の社長である滝本から管理職への昇進を打診されるが、断って辞職を決意。郊外の湖畔に事務所兼自宅を借りて、恋人の秋子との新生活をスタートさせる。地元の若者である佐野を雇って転売業は軌道に乗り始めるが、そんな矢先、吉井の周囲で不審な出来事が相次ぐように。吉井が自覚のないままばらまいた憎悪の種はネット社会の闇を吸って急成長を遂げ、どす黒い集団狂気へとエスカレート。得体の知れない集団による“狩りゲーム”の標的となった吉井の日常は急激に破壊されていく。

本作では、黒沢清監督が菅田将暉さんを主演に迎え、主人公の吉井と付き合っている謎多き恋人の秋子を古川琴音さん、吉井が雇う青年である佐野を奥平大兼さん、ネットカフェで生活する男である三宅を岡山天音、工場の社長である滝本を荒川良々さん、吉井を転売業に誘う先輩である村岡を窪田正孝さんが演じた。

映画『Cloud クラウド』は、９月２７日（金）より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のＴＯＨＯシネマズ梅田やテアトル梅田や難波のＴＯＨＯシネマズなんば、京都・二条のＴＯＨＯシネマズ二条や三条のＭＯＶＩＸ京都や七条のＴ・ジョイ京都や烏丸御池のアップリンク京都、兵庫・神戸のＯＳシネマズ神戸ハーバーランドやシネ・リーブル神戸等で公開。

人気の高い黒沢清監督作品の要素を全て詰め込んだかのように感じられる本作。どのような類のサスペンスやスリラーな作品を職人のように手掛けている黒沢清監督が今作で注目したのは、転売屋という現代社会ならではの危険な職業。見る人によっては十分に価値があるかもしれない商品に関心がないながらも安く買い付け、たっぷりの利益を乗せてインターネット通販のインフラを利用して高く売り出していく。本当に売れるのかな？と思わずにはいられないが、スクリーンに映し出されるモニターを観ていると、瞬く間に購入されていき気づけば完売状態に。現実には本当にこんなことってあるのかな。そんな転売屋の姿を無気力な振る舞いを以て菅田将暉さんが演じているのが興味深い。だが、転売屋に買い叩かれたり、実は安物の商品を買ったと気づいたりした者にとっては、転売屋は憎き存在でしかないのだ。冒頭から不穏な空気が漂い続け、憎悪が増していった行く末を描く展開はまさに黒沢清監督作品の真骨頂。怒涛の展開を繰り広げオチに至るまで黒沢清監督作品のテイストしかなく、最早にやけてしまうレベルだ。なお、タイトルにあるクラウドについて、Cloudならば雲を指すが、Crowdならば群衆を指す。本作を観ていると、どちらの意味にも解釈できる。なぜCloudにしたのか、監督に尋ねてみたいものだ。

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