貴重な資源と覇権をめぐる勢力争いを描いた『デューン/砂の惑星』4Kリマスター版がいよいよ劇場公開!
©1984 DINO DE LAURENTIIS CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.
宇宙旅行に必須なスパイスが生息する砂漠の星アラキスの覇権をめぐり、各勢力が争いを繰り広げる『デューン/砂の惑星』4Kリマスター版が8月2日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『デューン/砂の惑星』4Kリマスター版は、「デューン」と呼ばれる、砂に覆われた惑星アラキスを舞台に繰り広げられる勢力争いを、壮大なスケールで描く。時は1万191年。宇宙を支配する皇帝シャッダム4世は、自身の地位を脅かす救世主の出現を恐れていた。宇宙移動に欠かせない貴重な資源である「メランジ」と呼ばれるスパイスが採取できる、砂の惑星アラキスには、皇帝のいとこであるアトレイデス公爵の一家が暮らしていたが、同家の息子ポールこそが救世主と判明し、皇帝は公爵の敵であるハルコネン男爵と手を組み、アトレイデスの失脚を図る。公爵は自害に追い込まれ、母ジェシカとともに砂漠に逃れたポールは、アラキスの原住民であるフレーメンと合流し、皇帝とハルコネン男爵の軍に挑んでいく。
本作は、映像化不可能と言われたフランク・ハーバートによる大河SF小説を、『エレファント・マン』で成功をおさめたデビッド・リンチの監督・脚本で映画化。『エル・トポ』のアレハンドロ・ホドロフスキーも映画化を進めていたが実現には至らなかった作品を、鬼才デビッド・リンチが独自の映像美学で映画化。しかし、最終的な編集権がスタジオ側にあり、意図しない編集などが施されたことから、リンチ監督にとっては不本意な作品になったという逸話でも知られる。主演は、本作の後にテレビシリーズ「ツイン・ピークス」でもリンチ監督とタッグを組み、同作のデイル・クーパー役でブレイクするカイル・マクラクラン。後にテレビ放映用にナレーションと未公開シーンを加えた長尺版『デューン スーパープレミアム 砂の惑星・特別篇』も発表された。1985年の日本初公開時の邦題は『砂の惑星』。2024年、4Kリマスター版でリバイバル公開される。
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映画『デューン/砂の惑星』4Kリマスター版は、8月2日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のテアトル梅田や心斎橋のシネマート心斎橋、京都・烏丸御池のアップリンク京都、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。
フランク・ハーバートによる大河SF小説「デューン」シリーズ。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督によって、改めて本作を知った方も多いことだろう。最新技術によって製作された『DUNE/デューン 砂の惑星』『デューン 砂の惑星PART2』を観てしまった今なら、1984年製作の本作との違いは明らかではある。だが、1970年代にアレハンドロ・ホドロフスキー監督が10時間以上の大作映画構想を企画するが製作中止に至った経緯があるので、本作の賛否はさておき、当時の技術でよくぞ完成させた、といっても良いのではないか。『スター・ウォーズ』シリーズがある中で、「メランジ」と呼ばれるスパイスを巡る大河作品は興味深い。そこで、デビッド・リンチ監督が独自の映像美学を伴った作家性を大いに発揮している。特に、カルロ・ランバルディが手掛けた不気味なクリーチャー造形やハルコネン男爵ら登場人物の醜悪な容姿などは、観る者によって好みが分かれるだろうが、カルト的な作品として語り継がれているのも納得だ。『DUNE/デューン 砂の惑星』『デューン 砂の惑星PART2』で描かれたストーリーを本作では1作にコンパクトに纏め上げているので、見やすさはある。最後まで観終えると、改めて温故知新な一作であった。ぜひともこの貴重な機会を劇場で観届けておこう。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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