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柴田啓佑監督への信頼を以て、皆が心の中をぶつけた…!『あいが、そいで、こい』舞台挨拶開催!

2019年7月27日

イルカ調教師を目指す台湾からの留学生と、海辺の田舎町の高校生たちとの心の交流を描く『あいが、そいで、こい』が7月27日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場で公開。初日には、古川ヒロシさん、石川誠さん、小串明璃さん、柴田啓佑監督に加えて、プロデューサーの市橋浩治さんを迎え、舞台挨拶が開催された。

 

映画『あいが、そいで、こい』は、短編『ひとまずすすめ』が国内の多数の映画祭で受賞を果たした柴田啓佑監督が、ある海辺の田舎町を舞台に、それぞれの問題を抱える男子高校生たちが、イルカの調教師を夢見る留学生と出会ったことから始まる、夏の初恋の物語を描いた。2001年の夏、海辺の田舎町に住む高校生・萩尾亮は、同級生の学、小杉、堀田ととも高校最後の夏休みを過ごすことに。そんなある日、イルカの調教師を目指して台湾からやってきたという留学生の少女リンと出会った亮だったが、イルカと海が大嫌いな亮はリンと対立してしまい……。
なお、『カメラを止めるな!』を生み出した映画専門学校「ENBUゼミナール」のワークショップ「シネマプロジェクト」の第8弾で製作された2作品のうちの1作。

 

上映後、古川ヒロシさん、石川誠さん、小串明璃さん、柴田啓佑監督、市橋浩治プロデューサーが登壇。監督への信頼感が伝わってくる舞台挨拶となった。

 

本作は、市橋プロデューサーが運営しているENBUゼミナールで開催している「シネマプロジェクト」の第8弾。柴田監督が2018年2月にさぬき映画祭で市橋プロデューサーに誘われ、4・5月でワークショップを開催。7月を中心に和歌山県田辺市をメインに撮影し公開に至った。2001年を中心としたストーリーだが、柴田監督は「今年は元号が変わる年にあたり、色々と考えていく中で、時代や世紀が変わる時に自分の中では何も変わらなかった」と憤りがあった。そわそわしたり感情を弄ばれたりされながらも、東日本大震災前の素直な感情を踏まえ「今後どう生きていくか考えられるようなテーマが出来たらいいな」と思い、制作していく。

 

今回、空気を読まず胸中を素直に発言する役を演じた古川さんは、台本を読み「心の中をぶつける世代だ」と感じ、大切に演じている。信頼関係で成立している現場が楽しく、最後は「帰りたくない」と本心が露になっていった。大人になった主人公を演じた石川さんは、高校生役を演じた高橋雄祐さんに寄せたオーディションをしておらず「僕が持っていない部分を監督と話したり、高橋君と共有したりしながら演じることは難しかった」と振り返る。柴田監督は「成長している大人チームは心のすれ違いもあるので、全く同じにする必要がなかった。視点が変わっていく。あの時代には戻れないことががあり、寂しくとも受け入れていかないといけない現実がある」と、同じ役者に演じさせていない理由を説く。

 

市橋プロデューサーは、さぬき映画祭で偶々遭遇したことから柴田監督にオファーしたが、以前から一緒に仕事をしていた。田辺・弁慶映画祭でグランプリを受賞した『ひとまずすすめ』も観ており「しっかり映画を撮る人だ」と感じ、信頼感を以てお願いしている。オーディションでどれだけの人を起用するかも任せており「群像劇をしっかり作る企画たので興味深い」と関心を寄せていく。和歌山県田辺市で合宿して撮影しており「地元からの多大なるご協力が有難かった。監督の人柄が良く信頼してよかった」と感謝している。ワークショップからの映画作りについて、柴田監督は「オーディションという意味では変わらない。起用人数の制約もなく、おもしろい人達が沢山いたので、皆で和歌山に行くこう」と考えていた。なお、1日10時間の2日間の演技ワークショップを3回開催して、出演者は絞られている。

 

撮影現場での柴田監督について、古川さんは「現場では飄々としており、影響が大きいトラブルあっても全く焦っていない。後で聞くと、焦りがあったことを知った。なんとかしてくれる」と信頼していた。これを受け、柴田監督は「脚本家さんにプランBについて即行連絡しました。地元の方にも協力頂き、ご縁のお陰でどうにかなりました」と明かす。石川さんは「おもしろいかどうか、監督の中の判断基準がハッキリしており、曖昧な受け答えをしない。ワークショップも同様にやりやすかった」と太鼓判を押す。柴田監督は「全てにおいて責任を持つので、妥協すると作品に言い訳が残り、良くない。極力減らしたい」と率直に話す。だが、当初の市橋プロデューサーは、「大人と高校生を分けて描くことが大丈夫か」と心配だった。しかし、映像を見て「ワークショップなので、出来るだけ多くの人を出演させたい思いがある。上手く出来上がったので、企画としておもしろい」と納得。現在では「この映画を観たお客さんは年齢問わず良い感想を伝えてくれる。誰が観てもハマりそうな映画ですね。もっと広げていきたい」と血気盛んだ。

 

最後に、古川さんは「大阪で上映出来て良かった。映画を観て、学生時代を思い出して思いを馳せた人に連絡したいなと思って頂ければ嬉しいな」と伝えていく。石川さんも「皆と同じような気持ちになって頂けたら嬉しいです。今を生きるということを大切に思って頂けたら」と思いを託す。柴田監督は「些細なことからタイトルを決めました」と告白し「その瞬間はとても煌めいていた。そんなタイトルがあってもいいと思い、ある種、反骨精神を以て決めました」と打ち明けていく。最終的に「結果的にトリプルミーニングな意味が込められました。編集や追加撮影を重ねながら、本当のタイトルの意味が込められました」と作品の完成に満足している。そして、万感の思いを込め皆で「エンジョイサマー!」と叫び、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『あいが、そいで、こい』は、大阪・十三の第七藝術劇場で公開中。また、神戸・元町の元町映画館でも近日公開予定。

 

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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