ブッシュ大統領を訴えたオカン、都へ行く!『ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ』がいよいよ劇場公開!
©2022 Pandora Film Produktion GmbH, Iskremas Filmproduktion GmbH, Cinema Defacto, Norddeutscher Rundfunk, Arte France Cinema
旅先でタリバンの疑いをかけられ、収容所に収監された息子を救おうとする母親を描く『ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ』が5月3日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ』は、グアンタナモ収容所に収監された無実の息子を救おうとするドイツの母の実話を映画化したドラマ。2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロの1ヶ月後。ドイツのブレーメンに暮らすトルコ移民クルナス一家の長男ムラートは、旅先のパキスタンでタリバンの嫌疑をかけられ、キューバのグアンタナモ湾にある米軍基地の収容所に収監されてしまう。母ラビエは息子を取り戻そうと奔走するが警察も行政も動いてくれず、わらにもすがる思いで、電話帳で見つけた人権派弁護士ベルンハルト・ドッケに助けを求める。やがてラビエはドッケからのアドバイスで、アメリカ合衆国最高裁判所でブッシュ大統領を相手に訴訟を起こすことを決意する。
本作では、ドイツでコメディアンとして活躍するメルテム・カプタンが、元気で時に厚かましい主人公ラビエをユーモアたっぷりに好演。『グンダーマン 優しき裏切り者の歌』のアンドレアス・ドレーゼンが監督、ライラ・シュティーラーが脚本を手がけた。2022年の第72回ベルリン国際映画祭で銀熊賞2冠(主演俳優賞、脚本賞)を受賞している。
©2022 Pandora Film Produktion GmbH, Iskremas Filmproduktion GmbH, Cinema Defacto, Norddeutscher Rundfunk, Arte France Cinema
映画『ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ』は、5月3日(金)より全国の劇場で公開。関西では、5月3日(金)より大阪・梅田のテアトル梅田や神戸・三宮のシネ・リーブル神戸、5月17日(金)より京都・烏丸の京都シネマで公開。
2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ以降、アラブ系の方々に向けられた視線は決して良いものではなかった。あくまでタリバンによるものであり、それ以外の者達には全く関係しないものだ。だが、必死になっているアメリカにとっては、所かまわず捕えていってしまっていた事実には、呆れるしかない。とはいえ、囚われてしまった者の家族にとっては、許し難い出来事である。ドイツで暮らすトルコ移民である家族にとって、息子を解放してもらうには誰に訴えることが最適であるか、判断することが出来ない。ならば、堂々巡りになったとしても、ひたすら行動するしかないのだ。そんな中で偶然にも巡り合えたのが人権派の弁護士。元を辿っていけば、アメリカ合衆国、ブッシュ大統領を相手に訴訟を起こすしかないのだ。勿論、裁判の現場にブッシュが登場するわけはないのだが、アメリカに臨もうとする姿は肝が据わっているとしか言いようがない。そこまでにどれだけの年月が必要だったか、その期間には僅かな希望を抱きながらも不安な日々を送るしかない。一喜一憂しながらも、最終的にどのような日を迎えることになるのか。しっかりと見届けてほしい一作である。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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