献身的な介護士として慕われた青年が“救い”と称して42人の人間を殺めた事件に迫る『ロストケア』がいよいよ劇場公開!
©2023「ロストケア」製作委員会
殺人を犯した介護士と対峙する検事が、介護現場の現実を目の当たりにしながらも事件の真相を追う『ロストケア』が3月24日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『ロストケア』は、連続殺人犯として逮捕された介護士と検事の対峙を描いた社会派サスペンス。ある早朝、民家で老人と訪問介護センター所長の死体が発見された。死んだ所長が勤める介護センターの介護士・斯波宗典が犯人として浮上するが、彼は介護家族からも慕われる心優しい青年だった。検事の大友秀美は、斯波が働く介護センターで老人の死亡率が異様に高いことを突き止める。取調室で斯波は多くの老人の命を奪ったことを認めるが、自分がした行為は「殺人」ではなく「救い」であると主張。大友は事件の真相に迫る中で、心を激しく揺さぶられる。
本作では、松山ケンイチさんと長澤まさみさんが初共演。斯波を松山さん、大友を長澤さんが演じ、鈴鹿央士さん、坂井真紀さん、柄本明さんが共演。作家の葉真中顕さんによる小説「ロスト・ケア」をもとに、『そして、バトンは渡された』の前田哲さんが監督、『四月は君の嘘』の龍居由佳里さんが前田監督と共同で脚本を手がけた。
©2023「ロストケア」製作委員会
映画『ロストケア』は、3月24日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田やシネ・リーブル梅田、難波のTOHOシネマズなんば、京都・二条のTOHOシネマズ二条や三条のMOVIX京都や七条のT・ジョイ京都、兵庫・西宮のTOHOシネマズ西宮OSや神戸・三宮のOSシネマズミント神戸やシネ・リーブル神戸等で公開。
介護現場の現実を描いた映画は、ドキュメンタリー含め多くの作品がある。家族の介護がどれだけ大変であるか、伝え聞いたことを映像として表現すると、辛い気持ちになってしまうことが多々あった。それでも、最終的には光のような温かさを感じられる作品があることも知っている。だが、本作は、殺人を犯した介護士と対峙していく作品は全体の中では比較的稀ではなかろうか。家族を介護することはどんなに辛い出来事があっても、超えてはいけない一線がある。されど、本作は、その一線を超えてしまった人を描いた。超えてしまったら、或る種怖いものは無くなってしまうかもしれない。感覚が麻痺してしまった。社会の中では必要悪な存在であると実感し、快楽を得てしまうだろうか。恐ろしい作品である。そんな介護士と対峙する検事も真人間ではなかった。本作で描かれていく登場人物には、あなたを表したようなキャラクターがどこかには存在し、複雑な気持ちになってしまうかもしれない。現代を生きる誰しもが逃れられないテーマに、圧倒的リアリティと緻密な構成力で迫った作品として仕上がっている。最後まで観終えた時、どのような感情を抱いてしまったか、語り合ってみたい。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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