受刑者向け就職情報誌の活動を基にヒントを得て作られた『過去負う者』が第18回大阪アジアン映画祭のインディ・フォーラム部門で世界初上映!
©2022 BIG RIVER FILMS
受刑者向け就職情報誌の活動にヒントを得て作られた『過去負う者』が第18回大阪アジアン映画祭のインディ・フォーラム部門で世界初上映された。
映画『過去負う者』は、実在する受刑者向け就職情報誌の活動にヒントを得て作られたドキュ・フィクション。ひき逃げによる殺人罪で10年服役して出所した田中は、中華料理屋で職を得たもののトラブル続きだった。彼に職を紹介した就職情報誌「CHANGE」の藤村は、社会の差別と不寛容に苦しむ前科者を目の当たりにし、アメリカの演劇による心理療法・ドラマセラピーを始める。元受刑者5人と稽古を重ね、舞台『ツミビト』を公演するまでに至るのだが、初日の観客の反応は全くの予想外だった…
本作は、ドキュメンタリーから劇映画まで境なく挑み続ける舩橋淳監督が、実在のセクハラ事件に基づいた前作『ある職場』(2022)のキャスト・スタッフ陣とともに、舩橋淳は新たな社会問題を活写した。
©2022 BIG RIVER FILMS
映画『過去負う者』は、3月16日(木)12:00よりシネ・リーブル梅田でも上映。
[追記]
関西では、11月10日(金)より京都・出町柳の出町座、11月11日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場、神戸・元町の元町映画館で公開。なお、になります。なお、11月11日(土)と11月12日(日)には各館にて監督やキャスト等による舞台挨拶やトークショーを予定(元町映画館には、11月11日(土)に泉房穂さん(前明石市長)や舩橋淳監督、11月12日(日)に舩橋淳監督、辻井拓さん、久保寺淳さん、平井早紀さん、峰あんりさんが登壇予定)。
各々に様々なやんごとなき事情があり罪を犯してしまい、刑務所での懲役を経て出所した方達に向けた就職情報誌の活動。誰もやりがらない活動だと理解できるが、誰かがやらないと、彼等を社会復帰させることは、なお一層容易ではない。罪を憎んで人を憎まず、という言葉は、結局は綺麗事なのか、といくら感じたことだろうか。日本での昨今の出来事を鑑みると、ここまで不寛容な社会があり、事実が最後まで丁寧に報じられていなかったことに憤りを感じてしまう。劇中では、与えられた役を十二分に理解した上で、アドリブでここまでも即興で演技ができるのか、と驚くばかり。終盤では、就職情報誌の活動の中で行ったドラマ・セラピーの成果として夕観客公演を実施するが、壮絶なる激論が交わされていく。最終的にどう決着をつけるのか、と観る者も不安になってしまう。いや、これは結論が出ない問題なのか。実に考えを深めていきたい作品である。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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