中国社会が直面している一人っ子政策と家父長制に切りこんだ社会派ドラマ『シスター 夏のわかれ道』がいよいよ劇場公開!
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働きながら大学院を目指す女性が、見知らぬ弟の出現によって人生の選択を迫られる姿を描く『シスター 夏のわかれ道』が11月25日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『シスター 夏のわかれ道』は、見知らぬ弟を突然預けられ人生の選択を迫られた女性の葛藤を描き、中国で話題を集めたヒューマンドラマ。看護師として働きながら、医者になるため北京の大学院進学を目指すアン・ラン。ある日、疎遠だった両親が交通事故で亡くなり、会ったことのない6歳の弟であるズーハンが彼女の前に現れる。望まれなかった娘として早くから親元を離れたアン・ランと、待望の長男として愛情を受けて育ってきたズーハン。親戚から弟の養育を押し付けられたアン・ランは、仕方なくズーハンの面倒をみることに。両親の死すら理解できずワガママばかりのズーハンに振り回されっぱなしのアン・ランだったが、幼い弟を思いやる気持ちが徐々に芽生えめる。
本作の監督はイン・ルオシンが務め、『チィファの手紙』のチャン・ツィフォン、シャオ・ヤン、ジュー・ユエンユエン、ダレン・キムらが出演した。
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映画『シスター 夏のわかれ道』は、11月25日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のなんばパークスシネマ、京都・三条のMOVIX京都、神戸・三宮のkino cinema 神戸国際で公開。
1979年から2014年まで実施された一人っ子政策によって、血筋を未来に残していくためには男の子が誕生することが望まれていた中国。…ということは、女の子が生まれたのならば、親と子共に望まれない境遇へと追い込まれていく。本作の主人公は、まさにこれにあたる。だが、自らの未来を切り開いていくべく医者を志すが故にしっかりした女性の姿があるように感じられた。そんな中で突然に両親の事故死、初めて会うことになる6歳の弟に遭遇したら、心身共に乱されることに主人公同様に憤りしか感じられない。自らの将来に向かって邁進することを最優先にしたいが、周囲は望んでいなかった。故に彼女が執ろうとした行動については、如何ともしがたいものではあったが、最終的に決めた彼女の選択には拍手を送りたい。一人っ子政策が廃止された現在であるからこそ、未来を見い出すためにも希望を以て制作された作品だ。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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