宗教によって迫害された男の波乱に満ちたストーリーを描く『ノー・ランズ・マン』が第17回大阪アジアン映画祭のコンペティション部門で日本初上映!
ある国では非イスラム教徒、別の国ではイスラム教徒として迫害された男の波乱に満ちたストーリーを監督自身の半生を投影しながら描き出すヒューマンドラマ『ノー・ランズ・マン』が第17回大阪アジアン映画祭のコンペティション部門で日本初上映された。
映画『ノー・ランズ・マン』…
南アジア出身のナヴィーンはシドニー出身のキャシーとニューヨークのレストランで働くうちに恋仲になる。キャシーはやがて彼の故郷を訪れ、自身の父に彼を紹介したいと願うが…
物語はナヴィーンがシドニーで失踪する場面からさかのぼり、2人のコミカルな馴れ初めを語り、彼の故郷で起きた悲劇を紡いでいく。
本作は、バングラデシュ映画界を牽引し、ボリウッドの信頼も篤いモストファ・サルワル・ファルキの最新作である。
映画『ノー・ランズ・マン』は、3月16日(水)14:50よりABCホールでも上映。
南アジア出身のナヴィーンが、恋人の故郷であるシドニーの墓地で失踪する出来事から始まり、2年前に遡って、何故疾走するに至ったかを示そうとするが如くストーリーが展開されていく。当初は、肌の色が異なる男女が徐々に距離を縮めていく恋愛物語を見せられている気分だが、時折ナヴィーンが嘘をつき通してでも生きていかないといけないのが伝わってくる。とはいえ、苦しい気持ちを苦しく表現しても意味がないので、本作では、オフビートな笑いに包み込んで、観客を楽しませてくれる。だが、ナヴィーンがニューヨークで働くに至った経緯を知ってしまうと、本作があまりにも衝撃的で、憤りを感じずにはいられない作品であることを思い知らされた。〇〇至上主義によって、身の危険を感じながら生きていかざるを得ない人々が確実に存在していると同時に、存在させてしまったのは、誰しもが抱いてしまいかねない感情によるものであると改めて実感した次第だ。同時に、寛容であることが平和をもたら上でいかに大切であるか教えてもらう作品であった。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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