遺書を残して離島の絶壁から身を投げた少女を巡って、刑事や島の住民達の人生が交わっていく様子を描く『ひかり探して』が関西の劇場でもいよいよ公開!
(C)2020 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
失踪した少女を自殺として処理するため、現地を訪れた女性刑事が、少女の足跡をたどり事件の真相を紐解いていく姿を描く『ひかり探して』が2月25日(金)より関西の劇場でも公開される。
映画『ひかり探して』は、遺書を残して離島の絶壁から身を投げた少女、人生の崖っぷちで事件を追跡する刑事、少女に関わる島の者たち、それぞれの人生が交わっていくさまが描かれるヒューマンドラマ。台風が吹き荒れる夜、1人の少女が遺書を残して離島の絶壁から身を投げた。休職を経て復帰した刑事ヒョンスは、少女の失踪を自殺として処理するため島へ向かう。少女の保護を担当した元刑事、連絡が途絶えた少女の家族、そして少女を最後に目撃したろう唖の女を通し、ヒョンスは少女がある犯罪事件の重要参考人だったことを知る。孤独の中で苦悩していた少女の在りし日に心を痛め、自身の境遇と重ね合わせて感情移入するようになったヒョンスは、上司の制止を振り切って捜査に深入りしていく。
本作では、『10人の泥棒たち』のキム・ヘスと『パラサイト 半地下の家族』のイ・ジョンウンが初共演。監督・脚本は本作が長編デビュー作となるパク・チワンが務めた。
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映画『ひかり探して』は、関西の劇場では、2月25日(金)より京都・烏丸御池のアップリンク京都、2月26日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場で公開。また、神戸・元町の元町映画館でも近日公開。
『82年生まれ、キム・ジヨン』や『はちどり』など、韓国映画界から新世代の女性監督達による活躍が注目されている。本作は、失踪した少女を巡るヒューマンドラマという韓国映画ならではの作品でありながら、登場する女性達が抱える感情を丁寧に描き切っていた。プライベートでは離婚訴訟にエネルギーを奪われながらも、休職からの職場復帰に向けて少女失踪事件の調書作成という仕事に時間を費やす刑事ヒョンスの姿からは、世の中を生きていくことに対する息苦しさを感じずにはいられない。だが、ヒョンスが訪れた離島は、隔離された社会ならではの閉塞感がありながらも、あたたかい人間味のある人々が存在していた。失踪した少女を最後に目撃した、とされる聾唖の女性については、ろうあになった原因が切なくも、彼女なりに人間と接しようとする姿には。涙ぐましいものがある。
これほどまでにも生きていくことは辛いものか、と感じずにはいられない本作。だが、彼女達が少しずつ連帯していくことで、少しずつながらも希望の光を見出していく。離島であるが故に感じることが出来る光が確かに存在し、いずれのベクトルに向かうにしても、生きていく希望がそこにはあった。物語の入り口では想像することが出来なかったエンディングがあり、素晴らしい作品を観終えることができたと感じられる一作である。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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