日常系で殺しまくる映画は観たことなかった…『ベイビーわるきゅーれ』高石あかりさんと阪元裕吾監督を迎え舞台挨拶開催!
人殺し以外何もしてこなかった女子高校生ふたり組の殺し屋が、卒業目前にして社会に適応しようともがく姿を描く『ベイビーわるきゅーれ』が関西の劇場でも公開中。8月23日(月)には、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田に高石あかりさんと阪元裕吾監督を迎え、舞台挨拶が開催された。
映画『ベイビーわるきゅーれ』は、社会不適合者な殺し屋の少女たちが、社会になじむため奮闘する姿を描いた異色青春映画。高校卒業を目前に控えた女子高生殺し屋2人組のちさととまひろ。組織に委託された人殺し以外、何もしてこなかった彼女たちは、高校を卒業したらオモテの顔として社会人をしなければならない現実を前に、途方に暮れていた。2人は組織からルームシェアを命じられ、コミュ障のまひろは、バイトもそつなくこなすちさとに嫉妬し、2人の仲も徐々に険悪となっていった。殺し屋の仕事は相変わらず忙しく、ヤクザから恨みを買ったことから面倒なことに巻き込まれてしまい…
ちさと役を高石あかりさん、まひろ役を伊澤彩織さんがそれぞれ演じる。
上映前に高石あかりさんと阪元裕吾監督が登壇。関西出身の2人ならではの和やかな舞台挨拶となった。
「日本でオリジナルのアクション映画はほぼないなぁ」とずっと考えていた阪元監督。「バイオレンスやエンターテインメントが根付いていくなかで、オリジナルで撮っていくことが自分にとっては大事なことなんだな」と追求し続けている。日本の映画業界では「大抵、オリジナルを頑張ったら有名な原作をやらせてもらえるようになる」ことが普通となってきたが「そうじゃない風にやっていけたらいいな」と漠然と思い描いていた。インディペンデント映画でオリジナルを撮っていくなかで、プロフェッショナルな役者を起用した『ある用務員』を撮ったが、狭き門であることを実感。日本映画でお客さんが楽しめる映画を考えていき「お客さんは今泉力哉監督や山下敦弘監督の作品が好きなんだな」と行き当たり「そういう作品とアクション映画を組み合わせたら、どうなるんだろう」と自分の中で実験を試み「日常系で殺しまくる映画は観たことなかったので、こういう作品を書きました」と明かす。
とはいえ、アクションについてはアクション監督をしっかりと携え、やりたいことを全て伝え実践している。撮影前に本作の内容を聞いた高石さんは「ウソでしょ」と思いながらも、伊澤さんと二人で確認して現場に挑んだ。日常のシーンについて、坂元間と黄菊は「ワンショットでお芝居をしっかり見せて世界に入って頂けるようにしよう」と拘っていく。演出を追加しながらの撮影だったが、高石さんは「意外と練習通りにいかない撮影でした。終わってホッとしています。奇跡や偶然が重なっているような気がしています」と思い返す。
6日半という短期間の撮影となり、坂元監督は「ぎっしりの撮影で大変でした」と苦しんだ。撮影当時は高校生だった高石さんは「朝4:30ぐらいに集合して、スタッフの方も大変だっただろうな、と思いつつ、最後は先に帰らせてもらっていました」と気を遣いつつも「完成して皆様に届けられました」と一安心。撮影現場については「上下関係がないなぁ。居心地が良く、皆が仲間で家族のような現場だったなぁ。坂元監督の笑い声が響き、本番の音に入っているよなぁと思いながら、和やかになっていたのかな」と懐かしんでいる。また、坂元監督は撮影中の自身について「真面目な顔をしていてもおもしろくない。キャラクターには共感は出来ないから、少し引いて観ていました」と冷静に話す。
高石さんに対し、坂元さんは「伊澤さんがスタントマンなので、アクションだけでやってきた人。隣に高石さんがいて、同じように強く見せるのは至難の業。高石さんには要所要所で様々なことをしてもらいました」と助けられた。これを受け、高石さんは「私は負けず嫌いで、監督がOKでも納得いかない時はずっとやっていましたね」と拘りを見せる。役作りにはあたり、当て書きだと知り納得しており「緩急があり自分と似ているなぁ」とお気に入り。坂元監督は、「『ある用務員』では分かりやすいキャラクターにしていたんですが、『べいびーわるきゅーれ』では人間味を出しましたね」と説く。また、伊澤さんについて、高石さんは「優しい気配りお姉さん。スタッフへの気遣いの仕方がパーフェクト」と絶賛。坂元監督は「普段はアクション部の方なので。俳優普段が初めて。二人とも仲良くやって頂いた」と感謝している。
最後に、高石さんは「この作品を観終わったら、どういう変化があったか直接聞きたいな。気持ちが変わったり共感できたりしたことを拡散して応援して頂けたら」とメッセージ。坂元監督は「楽しい二人が揃った映画になっています。最後まで楽しんで下さい」と願いを込め、舞台挨拶は締め括られた。
映画『ベイビーわるきゅーれ』は、関西では、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田や難波のなんばパークスシネマ、神戸・三宮の神戸国際松竹で公開中。また、8月27日(金)より京都・九条の京都みなみ会館で公開。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
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