Now Loading...

関西の映画シーンを伝えるサイト
キネ坊主

Now Loading...

関西の映画シーンを伝えるサイト
キネ坊主

  • facebook

ダンサーとして社会的な変革をもたらし、如何にして境界線を崩していくか…『リル・バック ストリートから世界へ』リル・バックに聞く!

2021年8月23日

世界的ダンサーであるリル・バックのルーツに迫るドキュメンタリー『リル・バック ストリートから世界へ』が8月27日(金)より関西の劇場でも公開。今回、リル・バックにインタビューを行った。

 

映画『リル・バック ストリートから世界へ』は、世界的ダンサーのリル・バックにスポットを当て、その驚異的なダンスの秘密と彼が育った街メンフィスを描いたドキュメンタリー。アメリカ有数の犯罪多発地域として知られるテネシー州メンフィスのゲットーで育ったチャールズ・“リル・バック”・ライリー。メンフィス発祥のストリートダンス「メンフィス・ジューキン」にのめり込んだ彼は、やがて奨学金を得てクラシックバレエに挑戦。ジューキンとバレエを融合させて踊った名曲「白鳥」のダンスが世界的チェロ奏者ヨーヨー・マの目にとまり、チャリティパーティで共演することに。そこに居合わせた映画監督スパイク・ジョーンズが動画をYouTubeに投稿したことで、リル・バックは世界中から注目を浴びる。唯一無二のダンサーとして多彩な活躍を続ける一方で、故郷メンフィスの子どもたちにダンスを教えるなど今なおメンフィスの街と結びついている姿を映し出す。

 

ダンサーとして卓越した技術を身につけたかったリル・バック。「ジューキンだけではなく、とにかくベストダンサーになりたかった。ジャンルを問わず良いダンサーであるために阻むものは何もない段階まで到達したい」と様々なジャンルや学びも吸収する姿勢で、バレエを習い始めた。「どうやって爪先立ちをしているんだろう。回転しているんだろう」とクラシックバレエのダンサー達が培うトレーニング方法に興味があり「練習方法や技術の積み方を学び取るためには、どっぷりクラシックバレエの文化に入り込まないといけない」と認識。本作では、バレエの練習シーンで初めてタイツの姿を披露しており「恥ずかしかったですね」と苦笑いしながらも「そんな恥よりも作品の意図や目的を理解して取り組んでいます」と真摯に話す。

 

ダンスを始めた頃は「何を学ばなければならないか。良いジューカーになるためにはどうするべきか」とひたすら必死になって考えていた。本作の制作を受け「上手くなろう」から「何故僕は踊っているんだろう」と考えの幅を広げ、思考もオープンになっていく。「自分を幸せにするため」という理由は言わずもがな「どのようにして、ダンスを通じて、世の中に貢献するべきなのか。世の中を良いものに変えていくのか」という意識が芽生えた。メンフィスのジューキンシーンに対する考え方も「僕が世界に挑んで、世界の中でメンフィスのジューキン以外のカルチャーの中で自分のチャンスを掴もう」と飛躍。多大なるリスクが有ることも理解した上で、思い切って取り組んでいった。「僕ほどの狂った情熱を持っている人はなかなかいない」と認めながらも「地元のダンサー達に何かしらのチャンスはあるんだよ」と提示し、本作が地元にいる次世代の子供達に自身の物語を伝える機会へと繋がっている。

 

過去のアーカイブ映像が本作で披露されており「恥ずかしいところはありましたね」と告白。だが「世界に見せたいんですよね。これを見せるぞ、と用意したものだけではない」と認識しており「このストーリーを語るには僕を全方位から捉えて語るしかない。過去の映像を流されるのはしょうがない」と、監督から逐一確認を受けながら編集してもらっている。予告編にあるような、自己紹介ビデオのNGシーンが使われたことを恥ずかしがりながらも「人は完璧ではない。僕だって普通の人間なんだよ、と見せられたことは良いことなんじゃないかな」と前向きだ。

 

現在は、本作の延長線上にあり「どのようにしてダンサーとして社会的な変革をもたらし、如何にして境界線を崩していくか」を自身のテーマにして、世界規模での活動に取り組んでいる。「どのようにして経済的な階級のバリアを崩していくか。それぞれのジャンル間の敷居や境界線を崩していくか」と具体的に話し「ストリートダンスもコンテンポラリーダンスのように常に進化している。既成概念を取っ払うことにも意識を集中している。どのようにしてストリートダンスの進化を世界に訴求していくか」と常々考えている日々だ。

 

また、日本の舞踏や日舞といった伝統的な舞踊やクランピングに興味を抱いたり、先日コラボレーションしたインド古典舞踊家のシャンタラ・シヴァリンガッパからインドの伝統舞踊であるクチクリを習ったりしており、興味深い経験をしている。さらに、手話にも関心を持っており「ダンスも言語ですが、手話はれっきとした言語。自分のダンスの中に入れ込むことによって違うダンスの表現が出来るんじゃないか。手話による体の動きが興味深いので、自分のダンスやストーリーテリングの中に入れ込むことが出来れば」と可能性は無限大だ。

 

映画『リル・バック ストリートから世界へ』は、関西では、8月27日(金)より大阪・梅田のシネ・リーブル梅田や京都・烏丸御池のアップリンク京都、9月18日(土)より神戸・元町の元町映画館で公開。

Related Tags:
キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

Popular Posts