貿易都市として栄え、信仰の象徴である神殿と聖なる石が祀られているメッカに侵略者アブラハの強大な軍隊が襲いかかる…今作はアラビアに伝わる伝説をモチーフにした歴史ファンタジーだ。これまでにも『アルスラーン戦記』や『マギ』等のアラビアをモチーフにしたアニメーション作品はあったが、今作の雰囲気はどこか違う。なぜなら中東圏の宗教観や価値観をきちんと描こうとしているからだ。

平和を愛し神への信仰を忘れないメッカの民と神をも恐れぬ侵略者アブラハという構図は、有神論と無神論の戦いである。劇中で語られる伝説の数々は、圧政や権力に虐げられたか弱き人々が力強い信仰によって世界を変えるものばかりだ。信仰によって人々は団結し、生きる希望を見出ていく。宗教や信仰との繋がりが希薄な日本でここまでストレートに信仰にまつわる歴史ファンタジーを作るのはなかなか難しい。また迫力のあるアニメーションと両立させるのは更に難しくなる。今作は見事にやり遂げた。

中東に根ざした宗教観と迫力あるアニメーションの両立を可能にしたのは、サウジアラビアのアニメ制作会社であるマンガプロダクションズと『ワンピース』や『ドラゴンボール』でお馴染みの東映アニメーションというワールドワイドな座組のおかげ。これほど規模が大きい制作体制は滅多にない。日本が誇るアニメーション文化が様々な文化や価値観と溶け合って世界規模で広がっていく。今作を皮切りに新しいアニメーション作品が生まれていくのではないか、と予感する。

fromマリオン

このポスターを観て、私は確信した！コレはアレ系（『バーフバリ』…『300』…）だと！まさしく、直感通りのバトルシーンは大迫力！『犬夜叉』や『キングダムハーツ』シリーズを手掛けた和田薫氏の劇伴が場面を盛り上げてゆく！！随所に丁寧な挟み込まれる、伝説や神話のシーンに、日本のアニメとは一線を描く異国感を感じ、サウジアラビアの文化に興味をそそられた！古谷徹さん、神谷浩史さん、三石琴乃さんらと豪華声陣に加え、サウジアラビアのアニメ制作会社（マンガプロダクションズ）と日本が誇る東映アニメーション。このコラボレーションからして、まさに奇跡の物語！国境を越えた、大規模合同作品にコレからも期待したい！

from関西キネマ倶楽部