30代を迎える今だからこそ出来る本物の演技を記録出来た…！『ターコイズの空の下で』柳楽優弥さんとKENTARO監督に聞く！

2021年3月22日

自堕落な生活を送る青年と馬泥棒が探し人を求めてモンゴル中を旅していく様を描く『ターコイズの空の下で』が関西の劇場でも公開中。今回、柳楽優弥さんとKENTARO監督にインタビューを行った。

映画『ターコイズの空の下で』は、柳楽優弥さんが海外合作映画に初主演し、モンゴルを舞台に２人の男の旅路を描いたロードムービー。大企業の経営者である三郎を祖父に持つ青年タケシは、贅沢三昧の自堕落な生活を送っていた。ある日、三郎の所有する競走馬を盗んだ罪で、モンゴル人のアムラが逮捕される。三郎は第２次世界大戦終了時にモンゴルで捕虜生活を送っており、現地の女性との間に娘がいた。アムラとの出会いをきっかけに、三郎は生き別れた娘を捜すため、タケシをモンゴルへ送り込む。言葉も通じず、価値観も異なるアムラとともに旅を始めるタケシだったが……。モンゴルの人気俳優アムラ・バルジンヤムさんがタケシの相棒となるアムラ、麿赤兒さんが祖父の三郎をそれぞれ演じる。欧米で俳優としても活動する映像作家のKENTAROさんが長編映画初メガホンをとった。

アメリカ等の外国で制作されているＴＶドラマシリーズについて「役者の演技や撮り方やストーリーテリング含め完璧に出来ている」と感じているKENTARO監督。「家庭にある小さなスクリーンで観ているより映画らしいものをどうやって作るか」と挑戦しており「今こそ当てはまるコンセプト。映画でしか観ないような美術のこだわり、色や画の構図、ハイレベルな技術を目指していました」と明かす。顔の質感も考慮した上でアップによる撮影をしており「麿赤兒さんなら、今まで生きてきた人生が顔に表れる」と考え、冒頭に印象的なシーンが取り入れられている。

『星になった少年 Shining Boy and Little Randy』以来の外国ロケ作品となった柳楽さん。当時は『誰も知らない』出演後であり「どうやったら演技が上手くなるんだろう」と悩むことが多かった。本作のモンゴルロケでは、携帯電話も通じず撮影場所に向かうにつれて砂漠となりラクダや馬が出てくる環境の中で「どうしても自分自身を見つめる瞬間が出てくる」と告白。２０代は、個性が強い役を多く演じてきたが、今作では『誰も知らない』の頃に経験した即興演出を再び経験し「これが好きだった」と初心に戻れ「２０代後半でこの作品に出会えたことによって、見失いかけていたことに気づくことができ、３０代での自分のプランが少しずつ見えてきた。より前向きに取り組めている」と自身が大人になったと実感できた。

モンゴルでの撮影について「基本的にずっと大変だったなぁ」と柳楽さんは振り返り「日本から持ってきていたインスタント麺をプレーリードッグに何個か食べられました」と思い出す。さらには、KENTARO監督が「あとはポン酢ね。ラムに合うんですよ。でも、モンゴルにポン酢がないから」と付け足していく。とはいえ、柳楽さんは「心のデトックス効果があるのかな。モノが本当にないので大変だけど、精神的に学べる」と冷静に話す。KENTARO監督も「世界が大変な状態にある今、根源的な価値観が大事なんじゃないかな。何が大事か考えさせられる、そんな国は多くない。海抜が高く雲が近くにあり夜には星が全て見えて、映像に残したくなる」と印象を語った。

１５年以上も役者の仕事を続けてきて、自身の中で「もっと良くなりたい」と考えている柳楽さんは今作出演にあたり「『この作品は自分の記録だ！』と思っている。良い面や思い悩んでいる面を記録してもらおう」という気持ちで、撮影現場に向かった。KENTARO監督は「演技は言葉ではない。良い役者同士がぶつかり合った時の演技の交換こそが本物。作られている役の環境がある中で、自分ではないものと、本当の自分が混じったものが一番強い」と受けとめており「彼は特別な素質を持っているからこそ出来る。今だからこそ出来る本物の演技を記録できる」と確信し、本作を見事に作り上げた。

映画『ターコイズの空の下で』は、関西では大阪・梅田のシネ・リーブル梅田、堺のＭＯＶＩＸ堺、京都・烏丸御池のアップリンク京都、兵庫・尼崎のＭＯＶＩＸあまがさきで公開中。また、４月９日（金）より神戸・三宮のシネ・リーブル神戸でも公開予定。

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