エリア・スレイマン監督の旅路をイマジネーション豊かに紡ぐ『天国にちがいない』がいよいよ劇場公開!
(C)2019 RECTANGLE PRODUCTIONS – PALLAS FILM – POSSIBLES MEDIA II – ZEYNO FILM – ZDF – TURKISH RADIO TELEVISION CORPORATION
新作映画を売り込みたい映画監督が、パリやニューヨークなどを訪れ、そこで体験する世界の不条理や人間の愛をユーモラスに描き出す『天国にちがいない』が1月29日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『天国にちがいない』は、エリア・スレイマン監督は新作映画の企画を売り込むため、故郷であるイスラエルのナザレからパリ、ニューヨークへと旅に出る様子が描かれる。パリではおしゃれな人々やルーブル美術館、ビクトール広場、ノートルダム聖堂などの美しい街並みに見ほれ、ニューヨークでは映画学校やアラブ・フォーラムに登壇者として招かれる。友人である俳優ガエル・ガルシア・ベルナルの紹介で映画会社のプロデューサーと知り合うが、新作映画の企画は断られてしまう。行く先々で故郷とは全く違う世界を目の当たりにするスレイマン監督。そんな中、思いがけず故郷との類似点を発見する。
本作は、『D.I.』の名匠エリア・スレイマンが10年ぶりに長編映画のメガホンをとり、主人公の友人として、ガエル・ガルシア・ベルナルが本人役で出演。なお、2019年の第72回カンヌ国際映画祭で特別賞と国際映画批評家連盟賞を受賞した作品である。
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映画『天国にちがいない』は、1月29日(金)より大阪・梅田のシネ・リーブル梅田、2月5日(金)より京都・烏丸の京都シネマと神戸・三宮のシネ・リーブル神戸などをはじめ全国の劇場で公開。
本作を一言で表すと、シュルレアリスムを映画にしたような作品だ。一見、繋がりのみえないカットの連続と共に、主人公スレイマン(監督名と同姓同名)の淡々とした、けれどもちょっと不思議(不穏)な日常生活を観客は覗き込む。彼はいつも物事を静観している。何か事を起こすでもなく、目の前で起こる出来事を眺めていく。その様子を画面越しに観察していることとなる。傍観者の傍観者という自らの立ち位置に思わずふふっと笑いが溢れた。
また、スレイマンの目を通してフランスやアメリカを旅しているような感覚になる。今の時代を生きる私達に必要な”息抜き”をさせてくれるようで、遠い世界のどこかと観客を繋げる力を本作から感じた。全編を通して度々目にする引きのカットが絵画を彷彿とさせ心地良い。徹頭徹尾、統一されたトーンのおかげで、エリア・スレイマン監督のユニークな美的感覚の上に設計されていることが一目瞭然。伝えたいメッセージがどういったものなのか、汲み取ることが少し難解だが、たまにはこういう映画を観るのもありかもしれない。
from君山
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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