離婚と喪失、孤独、そして再生の物語を描き、黒白の映像美とブラックユーモアが交錯する『クロノス・カイロス』がいよいよ劇場公開!
誕生日祝いの席で、恋人の女性から別れを告げられた男性が、殺し屋と出会い不可解な出来事の連鎖に足を踏み入れる様をモノクロで描く『クロノス・カイロス』が9月11日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『クロノス・カイロス』…
男は誕生日祝いの席で、女から「新しい男ができた」と告げられる。そっと頬をなでて去っていく彼女には、すでに新しい恋人がいた。それ以来、男の耳の奥では鳴り止まない音が響きはじめる。壊れた均衡を取り戻すため旅に出た男は、荒野で出会った甲殻類アレルギーの殺し屋を相棒に、不可解な出来事の連鎖へと足を踏み入れていく。
本作は、フィンランドを代表するロックミュージシャンで、グラフィックデザイナーや作家としても活動するヘッラ・ウルッポが長編映画初監督を務めたシュールレアリズムSF。これまで数十本のミュージックビデオを手がけてきたウルッポ監督が、自身の体験をもとにした離婚と喪失、再生の物語を、スペイン・アンダルシアの山岳地帯で撮影した幻想的な風景とモノクロームの映像美、ブラックユーモアを交錯させながら独創的に描き出す。フィンランドの映画館”キノ・ライカ”を映画監督アキ・カウリスマキと共同経営することでも知られる作家ミカ・ラッティが共同脚本と製作を務め、劇中にも出演している。

映画『クロノス・カイロス』は、9月11日(金)より全国の劇場で公開。関西では、京都・烏丸御池のアップリンク京都で公開。なお、アップリンク京都では9月4日(金)から9月17日(木)まで、『キノ・ライカ 小さな町の映画館』とアキ・カウリスマキ監督作品をあわせた公開記念特集を開催中。
恋人から別れを告げられた男の悲しみを以て、世界はこんな風にも歪んで見えるだろうか。ただただ悲しみに満ち溢れ、日々が無意味に思えていたのだろう。ダンスポールを手に携えて歩き続ける、といった無意味としか思えないようなことをし続けるしかない男の様を描いていく。まさに、シュールレアリスムの極みとしかいいようがない画作りではあるが、そこに込められた意味を探求し続ける程に本作の醍醐味であるようなおもしろさが垣間見える。そして、そこに一筋縄ではいかない男まで登場し絡んでくるのだが、それこそが人生である、と訴求しているようにも思えてくるのが不思議だ。気づけばクエスチョンマークに満ち溢れた謎の海を漂っているような気分にさえなってしまう。私は一体どういった作品を鑑賞しているのだろう、と困惑してしまうシーンは無きにしも非ず。だが、視点を少しだけずらして観てみると、或る種崇高な芸術作品の世界観に浸っているようにも思え、没頭してしまう可能性だってあり得る。そんな本作は、アキ・カウリスマキとも関係がある作家が共同脚本と製作を務めており、どことなく納得してしまう。フィンランド発の映画は、このようなシュールレアリスム的な作品だけではないはずが、独自の世界観がある本作を映画館で鑑賞することに意義がある、と思えてならない作品であった。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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