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生と死、人間の内面に潜む矛盾を描き出す“コンビニエンスホラー”『チルド』がいよいよ劇場公開!

2026年7月14日

©『チルド』製作委員会 (NOTHING NEW・東北新社)

 

あるコンビニを舞台に、そこで発生した小さな歪みが徐々に大きくなっていく様を描く『チルド』が7月17日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『チルド』は、コンビニを舞台に描くホラー作品。コンビニというルーティン化された社会の中で起こった小さな歪みをきっかけに、外の世界も終わりに向かっていく姿を描く。東京の片隅にあるコンビニ、エニーマート倉冨町7丁目店の副店長である堺は、学生時代に働き始めて以来、気づけば20代のほとんどをこの店で過ごしてきた。レジ打ちに品出し、廃棄処理。そしてスマホゲームにマッチングアプリ。毎日はただ同じことを繰り返して過ぎていく。オーナーはコンビニというシステムの中でわずかな乱れも許さず店を支配しているが、そこへ新人アルバイトの小河が現れたことで、店の均衡は静かに崩れ始めていく。

 

本作は、ショートフィルム集『NN4444』や中編ホラー『〇〇式』を手がけて注目を集める映画レーベル「NOTHING NEW」が初めて送り出した長編作品。監督は、『NN4444』にも収められた短編「VOID」を手がけ、これが初長編作品となった岩崎裕介さん。主人公のコンビニ副店長である堺を染谷将太さんが演じ、新人アルバイトの小河役を唐田えりかさん、オーナー役を西村まさ彦さん、コンビニ店員の室井役をお笑いコンビ令和ロマンのくるまが務めた。第76回ベルリン国際映画祭フォーラム部門に出品され、国際映画批評家連盟賞を受賞している。

 

©『チルド』製作委員会 (NOTHING NEW・東北新社)

 

映画『チルド』は、7月17日(金)より全国の劇場で公開。関西では、7月17日(金)より、大阪・梅田のテアトル梅田や難波のTOHOシネマズなんばや八尾のMOVIX八尾、京都・二条のTOHOシネマズ二条、兵庫・神戸のシネ・リーブル神戸や尼崎のMOVIXあまがさきで公開。また、京都・出町柳の出町座でも近日公開。

強烈な映画。
どこにでもあるコンビニが舞台。オーナーはどこのコンビニでも言われていそうなルールや慣習の逸脱を指摘し、店員もそれに従う。バックヤードでは砕けた会話をしたり、自分の都合のいい振る舞いをしているものの、ひとたびお店に出れば、自我がなくなり、コンビニの歯車として動き続ける。よくある光景だ。でも、そのよくある光景のままで本当にいいのだろうか。

 

自身の職場を振り返ってみると…ルーチンワークのような仕事をこなす日々。必要最低限の行動で、効率的に仕事を終わらせることだけを考えている人が多い。決まったルールに沿って、無言で淡々と業務を進める。別に悪くない。そういう仕事だ。だが、イレギュラーに対応するのが苦手だったり、業務のキャパシティを自分で狭めてしまっていたり、自分のことしか考えていなかったり、と弊害もあるように感じる。彼らは自ら考え、その時々の状況に合わせて自分のやり方を変えることを嫌う。私生活では、ギャンブルをしたり、同じゲームを繰り返しプレイしたり(コレは何も悪くない)している。『チルド』の舞台であるAnyMartで働いている人達の表情を見ていると、既視感を覚えてしまう。自身もそのぬるま湯に浸かりに浸かっているわけで、自我はあっても抜け出そうとしていない時点で同じような存在なのかもしれない。

 

現実かと勘違いするほどリアルな舞台設計の中で、静かにコンビニの業務が進んでいく。それぞれの出来事の帰結はさておき、そのキッカケはどこにでもありふれている問題や考え方。だからこそ、ジワジワと怖さが溢れてくるし、実生活と地続きの恐怖を持ち帰ることになる。長編デビュー作とは思えないセンスに脱帽するばかり。主演の染谷将太さんは、AnyMartの副店長の堺を演じている。何かをするでもなく、淡々とコンビニの業務をこなす堺は生ける屍のような雰囲気。無の表情から微妙な表情の揺らぎで見せる演技は圧巻だ。AnyMartのオーナーを演じる西村まさ彦さんは、まさに虚無。決まりごとに固執し、変化を嫌う。歯車に順応しすぎた結果、欠員が出ようが何が起きようが動じることはない。明るいキャラクターのイメージが強い西村さんが演じているとは思えないほどに薄暗い恐怖を感じた。唐田えりかさんはAnyMartに新たな風を吹かせそうな存在として登場する。しかし、そんな彼女ですら飲み込まれるの現代の闇が恐ろしい。その他令和ロマンのくるまさんや清宮レイさんなど異業種キャストも存在感を存分に発揮していた。未だにゾワゾワと何かが身体を這っているような恐怖がまとまりついている。次の出勤日を迎えるのが怖くなってしまう。

fromブライトマン

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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