綾瀬さんと大悟さんが並んだら、おもしろい夫婦像になるな…『箱の中の羊』綾瀬はるかさんと大悟さんと是枝裕和監督を迎え公開記念舞台挨拶in大阪開催!
遠くはない未来を舞台に、息子を亡くして2年もの間、時が止まったように過ごしていた夫婦が、息子の姿をしたヒューマノイドを迎えたことをきっかけに、少しずつ変化していく『箱の中の羊』が5月29日(金)より全国の劇場で公開中。5月30日(土)には、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田に綾瀬はるかさんと大悟さんと是枝裕和監督を迎え、公開記念舞台挨拶in大阪が開催された。
映画『箱の中の羊』は、『怪物』『万引き家族』の是枝裕和監督が、綾瀬はるかさんとお笑いコンビである千鳥の大悟さんを主演に迎え、亡き息子の姿をしたヒューマノイドを迎え入れた夫婦の物語をオリジナル脚本で描いた長編映画。少し先の未来。建築家の甲本音々とその夫で工務店の二代目社長を務める健介は、2年前に亡くした息子である翔の姿をしたヒューマノイドを迎え入れることになる。ヒューマノイドが到着した日、翔と同じ笑顔と声をした彼を音々が喜んで迎える一方で、健介は戸惑いを隠しきれず硬い表情を浮かべる。家族の時間は少しずつ動き出すが、やがて予期せぬ事態が起こり、夫婦が息子の死に対してそれぞれ抱えていた想いがあらわになっていく。そんな中、ヒューマノイドの翔は秘かにヒューマノイドの仲間達とつながりはじめる。夫婦の亡き息子である翔とその姿をしたヒューマノイド役には、オーディションで200人以上の中から選ばれた桒木里夢さんを抜擢。音々の妹である小滝亜利寿役で清野菜名さん、健介が経営する工務店タマケンの従業員である日高玄役で寛一郎さん、音々の母である西村信代役で余貴美子さん、タマケンの熟練工である山縣昭男役で田中泯さんが共演。タイトルの『箱の中の羊』は、サン=テグジュペリの名作小説「星の王子さま」の一節に由来する。2026年の第79回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された。
今回、上映後に瀬はるかさんと大悟さんと是枝裕和監督が登壇。撮影中の雰囲気が伝わってくる舞台挨拶が繰り広げられた。
劇場にぎっしりといるお客様を見ながら、大悟さんは「こんなに大っきい映画館があったんですね。 それも知らなかった。やっぱ大阪が1番ね、ある意味ね、今、東京に住んでいますけど、大阪の芸人なんで、僕は。 だから、一番に芸人の大悟を知ってるのがこの街なんで。この大阪の街の人が笑わなければ大丈夫だと」とリラックスしており、「お客様の様子を伺いながら「大悟、お前が芸人で笑わなかったよ、という感じでね、受け入れてくれたんじゃないかと」と受けとめている。そんな大悟さんの様子を見ながら、綾瀬さんは「あまり笑う要素がなくてがっかりした人いらっしゃいますか?っていう…」と逆に心配に。これを受け「多分この映画を笑いに来ようとした人はそんなにいないんですけど、最後に笑ったらどうしよう…と思っていた方はいるかもしれない」と配慮していく。そんな2人とカンヌ国際映画祭を過ごした是枝監督は「天気に恵まれて、本当に和やかな時間をみんなで。ここに里夢くんも加えてですね。過ごすことができました。一緒に映画を作ったスタッフも共に上映に立ち会うことができたので、とても貴重な時間になりました」と振り返る。映画祭での上映後、スタンディングオベーションが9分も続いたことについて、大悟さんは「だからほんまびっくりしますよね。2、3分は浴びれるもんなんですよ。3、4分を超すと、どんな顔をしとこう…になってきて、6分超えるとおもろなってくる、っていうみたいな感じはありました。 監督自体が、もうそろそろいいですよ、みたいな。 止め出したんで、助けてもらった」と話す。実は、予定とは違った状況になっており、是枝監督は「映画祭と打ち合わせをちゃんと前日からして…エンドロールのこの曲が終わったら、明かりをつけてくださいね、という約束をしたので、ついたら立ち上がる、という段取りだったんですけど…。つかなかったんで、立ちようがなくなっちゃったんですよ。 暗いままで拍手だけが続く、という。すると、これどうしたらいいんだろう、という気持ちの方が勝っちゃったもんだから…それで、明りがついて拍手が続いて、なんか申し訳ない、という気持ちのまま手を振っていた」と明かした。是枝監督とは、『海街diary』以来2回目のカンヌ国際映画祭となり、綾瀬さんは「今度は、自分がもうちょっと大人になって、レッドカーペット歩かせていただいたので、また違う景色に出るな、と思って、大悟さんが緊張しないように優しい目で見守りながら」と笑いながらも「エスコートもしてもらって、すごい安心感がありました」と信頼関係を表していく。

2人のキャスティングにあたり、是枝監督は、まず大悟さんについて「決め手は山羊なんですけど…」と話し始め「とても人間味のある表情と笑顔が素敵で… キャスティング目当てでバラエティを見ているわけじゃないんですけども、時々この人を撮りたいな、と思う方がいらっしゃるんですよ。撮りたい、と思っていた記憶が、今回は綾瀬さんをもう一回撮りたいな、というところからスタートして、旦那さんどうしよう、と思った時、大悟さんが隣に並んだら、おもしろい夫婦像になるな、と思って、キャスティングの会議で僕から名前を出しました」と告白。オファーを受けた大悟さんは「それはびっくりしましたし、大丈夫なのか?と…奥さんが綾瀬はるかさんです、というのも監督から聞いて”大丈夫ですか?僕の嫁が綾瀬はるかで”とは言ったんです。監督がその時、ホントに真面目な顔で”何を言ってるんですか、大悟さん”みたいな。”全然普通ですよ”と言って、この映画が終わって、色々こうやって話を聞いていくと、監督が”その違和感がいいんですよね”と… 言い出して…あったんかい!どうやら、あったみたいです。 監督もね、ある程度」とツッコミながらエピソードを話していく。大悟さんと夫婦役を演じることについて、綾瀬さんも意外に思いながらも「でも、しばらくして、すごくおもしろそうだな」と楽しんでおり「すごい真面目で、台詞もホントに完璧に覚えてきてらっしゃってて」と絶賛。実は「あまり覚えずに、ちぃ~す、みたいな感じなのかな、と思って」と打ち明けながらも「完璧にちゃんと暗記してらっしゃって。翔に対しても上手に”パパはな…”みたいな感じで、すっかりパパになりきっていらっしゃって、場を回していらっしゃいました」と讃えた。そんな2人の様子を見ながら、是枝監督はウケており「現場で、時々、綾瀬さんが僕のところに来て ”監督、監督、大悟さんが自分のことをパパって言っています”と色々報告してくれるんです」と当時を思い返していたようだ。実は、撮影中、綾瀬さんは大悟さんの飲酒について確認していたようで「大悟さんと一緒にやる、と決まったお話を聞いた時、大悟さんはこのために禁酒をするそうです、というのを聞いていたんで」と興味津々。大悟さんとしては、撮影前日は深酒をしないように気をつけていたようだ。

父親役を演じることについて、大悟さんは「いいパパですよね。最初は、”ロボット”という感じでやっているんですけど、ロボットじゃない人間と人間の親子の瞬間がチョコチョコ出たり外れたりみたいに、うまく演じていましたね、大悟が」と客観視しながら評していく。役作りはしていないようで「そんなことをしたら、絶対に御二人に見抜かれるんで、急に今日こいつやってきたな、みたいに思われるのが嫌だったんで、そのまんまやっていたら、監督は、そこにもうちょっとこうしてください、というのがなかったんで…ということは、このまま大悟のままでやればいいんだな、と思いながらやりきった感じ」と振り返る。是枝監督としては、東京の言葉として脚本を書いており「2人がぶつかるところ等は地元の言葉が出てもいいです、という形にしていたんですけども…大悟さんに関していうと、僕が書いた東京弁も含めて丸投げしちゃって申し訳なかったんですけども、好きに変えていただいて構いません、という風にお話をしていました」と信頼を表していく。次第に複雑な感情を抱えていくことになる役を演じた綾瀬さんは「音々さんは、母親との確執だったり、子供のことだったりも背負っている閉ざしてる人。 なので、大悟さん演じる健ちゃんパパをよく見ていると、常に音々さんのことを見ているな、と思った。すごく良いパパですよね。音々さんは、自分のことでいっぱいいっぱいに向き合っている人だったので、最初は、おかえり、とずっと言ってるシーンが、大悟さんは怖くて…その日ずっとそれがリフレインして…」と明かす。また、2人が喧嘩するシーンを気に入っており「投げた積み木がどこに転がるか。それで、何回もやったり、とかあったり…大悟さんが毎回その都度方言が違っていて、ホントに内側から出る悔しさとか怒りとか悲しみがあって、私も毎回それを受けることに、楽しかった、というと違うんですけど、毎回新鮮な感じで刺激になった、というか、良い感じでした」と伝えていく。大悟さんも「何度か撮って、皆さんが聞いてて一番伝わらない強い方言が出た時、監督が、その方言の意味は監督が分かるか分かんないか、分かんないですけど、もうこれでいいです、となりましたね」と加えていった。
失った家族がいる中で、どのように気持ちを癒していくか、といったことをテーマにしている是枝監督。今作については「夫婦をちゃんと撮ってみようかな、と思った時、子供に対して持っている感情が2人の間で違うといいな、とか、後悔の形が違うといいな、と思っていたので、大悟さんの役は、ごめんな、と言いたいことが言えなかった、という後悔で、音々さんは、言ってしまった後悔が残っている。そのずれからスタートして、それがどういう風に近くなったり遠くなったりしていくか、みたいなことをやってみようっていう、その辺の感情のズレからスタートしたお話でした」と話す。また、是枝監督は、子役には台本を持たせない、というメソッドが有名であるが、今作では、ヒューマノイドであるため「翔くんも台本は渡してるんですけど、そんなに覚えてきてはいなかったので、現場で2人とやり取りしながら、だんだん台詞は入れていく、というか、大物な感じでしたけど」と述べながらも「人間役の子の方は、意外と自由に泳がせてました」と説く。

完成した作品を観た綾瀬さんは、まず「映像がすごい綺麗だな」と印象深く「近未来、ということで、配達物とかこんな風になったんだ。里夢君も本当にヒューマノイドみたいだな」と驚いたようだ。大悟さんは、初めて観た時について「大悟しか観ない。しょうがないです。監督は当然だし、綾瀬さんも慣れているやろうからね。でも、ワシは初めてで、主演さしてもろうて、もし変なことをやっていたらどうしよう、というのが…撮影中も一回もモニター確認をしなかったんで、初めて観るんで、自分が映っているのは、一回目は正直ずっと大悟を観てハラハラしていました。大丈夫か?大丈夫か?大悟、みたいな」と正直に話していく。そして、2回目に観た時は「全体を観られるようになって…でも、なんて言うんですかね、観終わって、これ、こうだね、みたいなんが、全員が当然一致しない映画ではあるし、多分色々考えたり、こうなんじゃない?こうなんじゃない?みたいな、という映画やなぁ、っていう」と真摯に語った。
最後に、大悟さんは「18の時にこの大阪に出てきて10年ぐらい、この街のこの辺でパチンコして負けて、酒飲んで転がり回って…みたいな20代を過ごして、この街にね、こうやって綺麗な服を着て皆さんの元に帰ってくることができまして、しかも映画も観ていただいて、本当に幸せもんでございます。 ありがとうございました」と伝えていく。綾瀬さんは「ぜひ音々と健介が感じたものを皆さんも想像して受け取っていただけたら嬉しいです。もし気に入っていただけたら、また多くの方に広めていただけると嬉しいです。 今日は本当にありがとうございました」と感謝。是枝監督は「2年ちょっとこの作品と一緒に走ってきて…今日がゴールではないので、また作品とともに新しいスタートを切ったかな、という風に感じております。ホントに気に入っていただけたら、二度三度と劇場に足を運んでいただければ、と思っております。 よろしくお願いします。ありがとうございました」と伝え、舞台挨拶を締め括った。
映画『箱の中の羊』は、5月29日(金)より全国の劇場で公開中。関西では、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田や大阪ステーションシティシネマやT・ジョイ梅田、心斎橋のイオンシネマシアタス心斎橋や難波のTOHOシネマズなんばやなんばパークスシネマ、京都・二条のTOHOシネマズ二条や三条のMOVIX京都や九条のT・ジョイ京都、神戸・三宮のOSシネマズミント神戸等で公開中。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
- 最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

















