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福井に生きる人々の“音”が響く『時のおと』がいよいよ劇場公開!

2026年1月27日

©ふくいまちなかムービープロジェクト

 

方言を起点として、福井に生きる人々の生活を四季の移ろいと共に描く『時のおと』が1月31日(土)より全国の劇場で公開される。

 

映画『時のおと』は、2019年の長編監督デビュー作『轟音』で国内外から注目を集めた俳優・映画監督の片山亨さんが、故郷である福井県の5つの街で1年かけて四季を巡りながら撮りあげた映像詩。方言を起点に、「音があるからその街はその街である」という哲学に基づき、街に生きる人々の姿を真摯に描き出す。演劇部として最後の夏を迎える女子高生。街の音に憧れ、時を止めようとする女性。いずれ訪れる世代交代に向きあいながら生きる漁師。街に移住し、春を待つ野菜を育てる男性。彼らが奏でる生活の音は、とてもやさしく静かでありながら、そこで流れる音はその街にしかないものであり、誰しもの記憶をくすぐる音でもある。

 

本作では、『最強殺し屋伝説国岡』の上のしおりさん、『タイムマシンガール』の葵うたのさん、『ばちらぬん』の笹木奈美さん、『嵐電』の窪瀬環さん、ベテラン俳優の津田寛治さんが出演するほか、福井市、小浜市、南越前町、鯖江市、勝山市の全面協力のもと、実際にその街に暮らす人々が多数出演している。

 

©ふくいまちなかムービープロジェクト

 

映画『時のおと』は、1月31日(土)より東京・東中野のポレポレ東中野、をはじめ全国の劇場で順次公開。

ひとたび家を出ると、人と接しない限り耳にはイヤホンが刺さっている。繋がっているスマホでは、何かしらのコンテンツ配信アプリを立ち上げ、音声配信や音楽を常に聞いている。そんな自分がイヤホンをはずして街を歩きたくなった映画が本作『時のおと』だ。

 

舞台は福井県。5つの街で4つの異なる人生のひと時を切り取る。女子高生は所属する演劇部最後の夏、3年間共に励んだ仲間と、集大成となる大会に挑む。消えゆく文化を憂いている女性は、漆器職人の父やその弟子である息子の姿に影響を受けたのか、花街最後のお茶屋さんで三味線を習う。漁師の男性は、父が脳梗塞を患った影響で船を継ぐ未来が迫っている中、友人が開店準備をしているスケボーショップの見学に行く。長崎から移住し、水菜農家として福井に馴染もうとする男性は、自分の過去を吹っ切れずにいる。

 

それぞれの姿を丁寧に映しているが、映画を盛り上げるのは福井の街にあふれる音。吹奏楽部、演劇部、運動部の練習とセミの鳴き声が交わる校舎。友達と押して歩く自転車のカラカラ。母に呼ばれて昇り降りする階段。登り棒とその支えがぶつかる時のコンコン。港にはたくさんのカモメ。地鳴りのように響く船のエンジン。息子と歩く海沿いの打ち寄せる波。居酒屋のガヤガヤ。街に響き渡る祭り囃子。並べてみると、自分が住む街でも聞いたことがありそう。しかし同時に聞こえてくる”方言”が一緒に聞こえてくるだけでその土地独自の音に聞こえてくる。

 

どの音もイヤホンをしていては聞こえてこない。イヤホンから聞こえてくる音の方が楽しいかもしれないけど、この映画で聞こえてくる”街の音”は、体に取り込むとなんだか元気になってくるし、とても豊かな気持ちになる。今住んでいる街でも、出かけた先の街でも、街そのものを感じる時間を取りたい。

 

この映画の登場人物の殆どは、実際に住んでいる住人が演じている。とても台本があるとは思えないくらい自然な演技に脱帽。劇映画ではあるが、限りなく福井の街をそのまま映したドキュメンタリーのような手触り。北陸新幹線の延伸をきっかけに、あまり知られていない福井の方言を広めてほしいといって始まった企画に、監督も戸惑ったようだが、結果として福井の観光以外の魅力がぎゅっとつまった映画になった。音に注目してほしい本作、映画館で見ない手はない。

fromブライトマン

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映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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