劇団に潜入した捜査官と舞台女優が恋に落ちる『役者になったスパイ』がいよいよ劇場公開!
©Langfilm / Bernard Lang AG 2020
ソ連への恐れが広がるスイスを舞台に、反体制派の情報収集のため、デモ活動を行う劇場へ潜入を命じられた警察官を描く『役者になったスパイ』が1月23日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『役者になったスパイ』は、冷戦下のスイスを舞台に、潜入捜査のため劇団に送り込まれた警察官と舞台女優の恋を描くポリティカルロマンスコメディ。1989年、冷戦の緊張が続く中、スイスではソ連の共産主義に対する恐れが社会を覆っていた。反体制派の監視と情報収集を目的に、警察官のヴィクトール・シュエラーはデモ活動を行うシャウシュピールハウス劇場への潜入を命じられる。しかし、シュエラーは監視対象の女優オディール・ヨーラと恋に落ちてしまう。さらに劇団員たちとも交流を重ねるうちに、シュエラーは自らの任務に疑問を抱き始める。ウィリアム・シェイクスピア「十二夜」の稽古と現実が交錯しながら、シュエラーの心は任務と恋の狭間で揺れ動いていく。
本作では、フィリップ・グラバー、ミリアム・シュタイン、マイク・ミュラー、ミヒャエル・マールテンスらが出演。監督は、2008年の長編デビュー作『Der Freund』がスイス映画賞の最優秀長編映画賞を受賞したミヒャ・レビンスキーが務めた。

©Langfilm / Bernard Lang AG 2020
映画『役者になったスパイ』は、1月23日(金)より全国の劇場で公開。関西では、1月23日(金)より大阪・梅田のテアトル梅田、1月30日(金)より京都・烏丸御池のアップリンク京都や神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。
有名ハリウッド俳優による英語劇での再現ドラマではなく、比較的見慣れない俳優達が原語で演るドラマは、リアリティがあった。1980年代の冷戦下のスイスがどうなっていくのか、は史実の通りだが「私たちの会話が盗み聞きされているのでは」という疑念は、電話とインターネットとの手段の違いこそあれ、現代に通じる不信感ではないだろうか。この題材に興味がある映画好きの1人としては、20年ほど前の名作『善き人のためのソナタ』を思い出す。この映画も政府による監視社会である1984年頃のドイツの様子を描いた素晴らしい作品で、1989年が舞台の『役者になったスパイ』を観ている間も、「いっぽう、同じ頃のドイツでは…」と連想しながら鑑賞していた。
劇中で上演されるのがシェイクスピアの「十二夜」と聞いていたので、本編と戯曲のストーリーとがリンクする展開があるのかもしれない、と思っていたが、その予想は外れていたようだ。「十二夜」の面白さの一つは、主人公である男装したヒロインが男性に恋してしまい、その彼からは同性の親友として接されることに悩んでしまう…という現代でも人気のラブコメのような展開なのだが、主人公ヴィクトールは男性で、彼が思いを寄せるようになるオディールは華聯かつ理知的な女性としての役どころなので、少女マンガ的な展開は期待せずに一旦忘れて観ていただきたい。
題材は東西冷戦、政府側の組織による民衆の監視、とイデオロギーの次元を取り扱う深刻なものだが、今作の魅力は、その渦中で、人として生きることや大事な人に本当の姿を受け入れてもらうこと、そのために自分ができることは何だったか、という心温まる人情モノとして鑑賞できた。
fromNZ2.0@エヌゼット
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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