浪費家の母親から経済的虐待を受け、朝から晩までアルバイトや家事に追われる大学生の“青春逃走劇”『愛されなくても別に』がいよいよ劇場公開!

©武田綾乃/講談社 ©2025 映画「愛されなくても別に」製作委員会
浪費家の母のもとに生まれ、家事とアルバイトに明け暮れる大学生が、同級生の父親にまつわるある噂を耳にしたことで、その家族と関わっていく姿を描く『愛されなくても別に』が7月4日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『愛されなくても別に』…
大学生の宮田陽彩は浪費家の母親に代わって学費と家計を稼ぐため、学校以外のほとんどの時間をコンビニでのアルバイトに費やしている。母親からは暴力も暴言もないが「愛している」という言葉で縛られ、緩やかな絶望のなかで人生に期待することなく生きてきた。そんなある日、同じコンビニで働く派手な見た目の同級生である江永雅の父親が殺人犯だという噂を耳にする。他の誰かと普通の関係を築けないと思っていた陽彩と雅の出会いは、それぞれの人生を大きく変えていく。
本作は、「響け!ユーフォニアム」で知られる小説家の武田綾乃さんによる小説を、『この子は邪悪』の南沙良さん主演で映画化。母親から経済的虐待を受けている主人公の陽彩を南さん、母親に売春を強要された過去を持つ同級生の雅を『恋は光』の馬場ふみかさん、過干渉な親のもとで精神的虐待を受ける木村水宝石を『きさらぎ駅』の本田望結さん、陽彩と雅が働くコンビニの同僚である堀口順平をアイドルグループIMP.の基俊介さんが演じる。『真っ赤な星』『あの娘は知らない』等で注目を集める若手監督の井樫彩が監督・脚本を手がけた。
©武田綾乃/講談社 ©2025 映画「愛されなくても別に」製作委員会
映画『愛されなくても別に』は、7月4日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のなんばパークスシネマ、京都・三条のMOVIX京都、神戸・三宮のkino cinema 神戸国際等で公開。

「響け!ユーフォニアム」をはじめ、瑞々しいタッチで繊細な青春模様を描いた作品に定評がある武田綾乃さんが、現代に生きる母娘の際どい愛の姿をリアルに描いていたことを知り、驚かされるばかり。主人公の宮田陽彩は、浪費家の母親からの精神的な虐待を受けながらも、自立した生活に向けて、大学卒業というステータスを獲得するための日々を送っているだけだった。そんな彼女が出会ったのは、自身とは正反対なタイプでありながら、どこかで通ずるところがある、同級生の江永雅。この2人の出会いが、それぞれの人生を大きく変えていくのだから、おもしろい。様々なタイプの人間が集まる大学という場所で、この2人が出会ったのは、ある意味では奇跡みたいな出来事だが、シスターフッドな関係性を気づいていくのだから、興味深い作品だ。また、この2人以外にも、親からの異様な精神的虐待を受けている学生が登場しているのも注目ポイント。彼女は、その虐待から逃れるためにどのような手段を選んだのか…それを見せつけられた時、いつの時代も普遍的な心の闇が潜んでいることにもハッとさせられた。故に、『愛されなくても別に』というタイトルに込められた重き意味を実感せざるを得ない。だが、子どもから大人になっていく貴重な時期を過ごしている大学生時代を良きものにしていってほしい、と願うばかりだ。

- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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