遺産目当てで近づいた孫が慎ましく懸命に生きる祖母と絆を深める『おばあちゃんと僕の約束』がいよいよ劇場公開!

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ゲーム実況者を目指す青年が、相続を目的に病を患う祖母に近づき、徐々に変わっていく姿を描く『おばあちゃんと僕の約束』が6月13日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『おばあちゃんと僕の約束』は、タイ・バンコクの古く美しい風景の中で織りなされる祖母と孫の心温まる交流を、ユーモアを交えながら描き、本国タイのほかアジア各地で若者を中心に支持を集めたヒューマンドラマ。大学を中退してゲーム実況者を目指す青年エムは、従妹ムイが祖父から豪邸を相続したことを知り、自分も楽をして暮らしたいと考えるように。そんな中、お粥を売って生計を立てているひとり暮らしの祖母メンジュが、ステージ4のガンに侵されていることが判明。遺産の相続を目的にメンジュに接近したエムは、祖母から信頼を得ようと交流するなかで、その慎ましく生きる姿や考えに触れていく。
本作では、ドラマ「I Told Sunset About You 僕の愛を君の心で訳して」でブレイクした俳優・ミュージシャンのビルキンことプッティポン・アッサラッタナクンが主人公エムを演じ、祖母メンジュ役のウサー・セームカムが78歳にして俳優デビュー。『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』のサリンラット・トーマスがエムの母シウを演じた。
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映画『おばあちゃんと僕の約束』は、6月13日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のなんばパークスシネマや堺のMOVIX堺、京都・烏丸の京都シネマ、兵庫・神戸のシネ・リーブル神戸や尼崎のMOVIXあまがさきで公開。

本作の主人公は、大学を中退してゲーム実況者を目指そうとするが視聴者数は多くなく母親にお金をせがむばかり、いわばニートだ。ある日、ステージ4の癌を患った祖母のことを知り、遺産の相続を目的に接近していく…そんなあらすじならば、観る者によっては好きになれない利己的な主人公ではある。さらには、主人公の家族や親戚に関しても利己的な人間が多く、どうしてこのようなキャラクターが集まってしまったんだろう、と思わずにはいられない。だけれども、完全には憎めないキャラクターでもある。清廉潔白過ぎるキャラクターならばリアリティがなさ過ぎるので、欠点がどこかにある人物である方が現実的だ。そんな家族がいる中で、決して贅沢をせず、お粥を売って生計を立てながら暮らしている祖母の慎ましく生きる姿や考えに気づかされ、少しずつ小さな変化が起きていく皆の姿が愛おしくもあった。とはいえ、ステージ4の癌を患った祖母であるため、どのような最期を迎えていくのは明らかで、刹那さがのこっていくのは仕方がない。されど、ふと気づく…この邦題にある約束とは?それが明らかになった時、言葉にはし難い感情に包まれていた。
なお、原題である『Lahn Mah』は、直訳すると「孫とおばあちゃん」という意味とのこと。これを、日本では、観客参加型の試写会で『おばあちゃんと僕の約束』に決定した。本作を理解した上でピッタリのタイトルではないか。お客さんと共に決めたタイトルであるのだから、是非とも劇場ロードショー公開で多くの観客が来てほしいと願うばかりだ。

- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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