“マカロニウエスタン”に影響を受けたアメリカ製の西部劇『皆殺しに手を貸せ』がいよいよ関西の劇場でも公開!

©MMXVIII SUNRUNNER FILMS LLC ALL RIGHTS RESERVED/Cinemago
開拓時代末期を舞台に、無実の罪で殺された夫の名誉を回復させようとする妻を描く『皆殺しに手を貸せ』が4月26日(土)より関西の劇場でも公開される。
映画『皆殺しに手を貸せ』は、夫を賞金稼ぎに殺された女が繰り広げる猟奇的な復讐を、1970年代のマカロニウエスタンやジャッロへのオマージュ満載で活写した西部劇。西部開拓時代末期の1870年アメリカ。泥棒稼業から足を洗ったモリーは愛する夫と慎ましく暮らしていたが、賞金稼ぎに夫を殺されてしまう。夫の名誉のため彼の無実を証明しようとしたモリーは巨大な陰謀の存在に気づき、自身の魂を死神に差し出して復讐の鬼と化す。
本作の主演はインディペンデント映画で活躍するシェリー・リペル。本作が長編第2作となるオースティン・スネル監督が、1960年代のカメラと16mmのコダックフィルムで撮影したこだわりの映像で描き、往年のグラインドハウス映画の趣きを現代によみがえらせた。日本では「未体験ゾーンの映画たち2025」で上映された後、2025年4月から吹き替え版で全国公開。吹き替えは主人公モリーを松本梨香さんが担当し、堀内賢雄さん、杉田智和さん、岩崎諒太さん、新田恵海さん、森川智之さんら豪華声優陣が参加。翻訳を『サムライ・アベンジャー 復讐剣 盲狼』などで知られる映画監督の光武蔵人さんが手がけた。
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映画『皆殺しに手を貸せ』は、関西では、4月26日(土)より、神戸・新開地のCinema KOBE、5月10日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場で公開。

そもそも、西部劇とは、19世紀後半のアメリカ合衆国での西部開拓時代を舞台にした作品を指す。あくまで、アメリカが舞台である。アメリカ以外での西部劇のような作品には、接頭語が付くわけだ。すなわち、イタリアならば、スパゲッティ・ウェスタンと呼ばれる。これが、日本で公開されるにあたり、淀川長治さんによって、マカロニ・ウェスタンと呼ばれた。そして、本作は、アメリカに逆輸入されたような形式で、アメリカ製のマカロニ・ウェスタンであることが興味深い。製作陣が余程の映画好きであることが伺える。本作は、西部開拓時代末期にあたる1870年のアメリカが舞台。無実である夫をいきなり賞金稼ぎに殺された妻が主人公。復讐のためには、手段を択ばない姿が印象的である。ターゲットとなった相手に対しては徹底した殺戮行為を成していく。あまりのゴア描写の表現方法は1970年代的でありながら現代のジャンル映画としても成立しているのが興味深い。つまり、本作は、西部劇でありながら、なんでもありのミクスチャージャンル映画である。西部劇だと思っていたら、いきなり違うジャンルの映画を見せらているのか、と錯覚させられてしまう。低予算のジャンル映画ならではの強引さもあるが、それが翻って本作のおもしろさへと変換されていった。開拓して支配者となった者達の表現手法としては、現代の某氏を指すようなメタファすらも込められている。そんな文字通りの”皆殺し”映画を思い切り楽しんでみてはいかがだろうか。

- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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