市井の人々の視点から光州事件を描く『1980 僕たちの光州事件』がいよいよ劇場公開!

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1980年の韓国を舞台に、念願の中華料理店を開いた普通の家族を中心に、幼なじみや町の人々に祝福を受ける男性とその家族に待ち受ける歴史的事件を、ユーモアを交えて描く『1980 僕たちの光州事件』が4月4日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『1980 僕たちの光州事件』は、1980年5月に軍事政権下の韓国で起きた民主化運動とそれに対する弾圧が行われた「光州事件」を題材に、韓国現代史の闇を市井の人々の視点からとらえたドラマ。ささやかな幸せを夢見た家族が権力に翻弄されながらも力強く生き抜いていく姿を、ユーモアを交えながら切々と描きだす。1980年5月17日、チョルスの祖父は念願だった中国料理店をオープンさせる。父親はなぜか家にいないが、チョルスの大好きな幼なじみヨンヒや優しい町の人々から祝福され、家族は幸せに包まれていた。輝かしい未来を夢見る彼らだったが、後に「光州事件」と呼ばれる歴史的悲劇が起きたことで、平和だった家族の日常は一変してしまう。
本作では、「公共の敵」シリーズのカン・シニルがチョルスの祖父、『プンサンケ』のキム・ギュリがチョルスの母を演じ、『マラソン』のペク・ソンヒョン、『真犯人』のハン・スヨンが共演。『王の運命 歴史を変えた八日間』等の美術監督を務めたカン・スンヨンが監督・脚本を手がけた。
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映画『1980 僕たちの光州事件』が4月4日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のテアトル梅田や心斎橋のkino cinema 心斎橋、京都・烏丸御池のアップリンク京都、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。

昨年には日本でも公開された『ソウルの春』で描かれた時代の直後に韓国で起きた、光州事件。『タクシー運転手 約束は海を越えて』では、光州事件を世界に伝えたドイツ人記者と、彼を事件の現場まで送り届けたタクシー運転手の実話をベースに描かれたが、本作は、その前後に起きた出来事を市井の人々の視点を以て描いていく。
1980年5月17日に全斗煥率いる新軍部が全国に戒厳令を布告した日に、炸醤麺を売りにする中国料理店をオープンさせた主人公らの家族。学生デモの動きなど気にせず、戒厳令が意味することも分からず、未来に向かって意気揚々としていたところで、目の前で自分達の営みを脅かす出来事が起こるとは思わなかっただろう。気づけば、志ある学生も軍人も店の中にいて巻き込まれてしまうしかない。そんな様子に対して、どうすることも出来ないのが子ども達だ。本作は、子ども達の視点を大事にして描いていく。子ども達の未来を脅かしかねない事態であることに違いないのだ。その子たちの名前は、チョルスとヨンヒ。当時の韓国における”太郎と花子”的な名前である。つまり、当時を生きた子ども達を象徴しているような存在として描かれているだろうか。光州事件を題材にした韓国映画はコンスタントに製作されてきたが、幼い子どもの視点を大切した作品は、多くもないのかもしれない。だが、現代の世界情勢を鑑みれば、本作が作られる意義は十分にある。光州事件をよく存じている方も知らない人もぜひとも本作をしっかりと観てほしい。

- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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