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1丁の銃をめぐって家族の知らない顔が炙り出されていくサスペンススリラー『聖なるイチジクの種』がいよいよ劇場公開!

2025年2月11日

©Films Boutique

 

2022年に起きたヒジャブに関する社会運動で揺れるイランを舞台に、家庭内で消えた一丁の銃をめぐり疑心暗鬼に陥っていく家族を描く『聖なるイチジクの種』が2月14日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『聖なるイチジクの種』は、家の中で消えた銃をめぐって家庭内に疑心暗鬼が広がっていく様子をスリリングに描いたサスペンススリラー。テヘランで妻や2人の娘と暮らすイマンは20年にわたる勤勉さと愛国心を評価され、念願だった予審判事に昇進する。しかし仕事の内容は、反政府デモ逮捕者に不当な刑罰を下すための国家の下働きだった。報復の危険があるため家族を守る護身用の銃が国から支給されるが、ある日、家庭内でその銃が消えてしまう。当初はイマンの不始末による紛失と思われたが、次第に妻ナジメ、長女レズワン、次女サナの3人に疑惑の目が向けられるように。捜索が進むにつれて家族でさえ知らなかったそれぞれの顔が浮かびあがり、事態は思わぬ方向へと狂いはじめる。

https://www.youtube.com/watch?v=0atfobpc1gU

 

本作では、『悪は存在せず』等で国際的に高く評価されながらも母国イランでは自作映画で政府を批判したとして複数の有罪判決を受けたモハマド・ラスロフ監督が、2022年に1人の女性の不審死をきっかけに起きた抗議運動を背景に、実際の映像も盛り込みながら描きだす。2024年の第77回カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞し、第97回アカデミー賞では国際長編映画賞にノミネートされるなど高い評価を獲得した。

 

©Films Boutique

 

映画『聖なるイチジクの種』は、2月14日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のTOHOシネマズなんば、京都・烏丸の京都シネマ、兵庫・神戸のシネ・リーブル神戸や西宮のTOHOシネマズ西宮OSで公開。

2022年9月16日、ヒジャブを正しく着用していないという「罪」でクルド系イラン人女性のマフサ・アミニさんがイランの道徳警察に拘束され、勾留中に死亡する、という事件があった。この事件を契機に市民が立ち上がり、市民活動家から各国のリーダーに至るまで、世界中から関心と支援が集まった出来事がある。本作は、この事件をモチーフにして、とある家族の中で起きたことを描いていく…と書いたが、このような作品を製作すること自体が、イランの道徳警察や国家にとっては宜しくないことだ。故に、政府から極秘で制作されたのが本作。とはいえ、今作の主人公は、国家公務に従事する一家の主だ。自身の仕事については忠実に従事しているが、相対する対象は、国家に抵抗する人々。善良なる国民であるがゆえに良心の呵責にさいなやむ仕事に従事しているが故に心労は多大なるものだ。それは、家族にも詳しく話すことができないものだ。そんな状況下において、家族の中で事件が起きてしまう。それは、自身の命を懸けるような出来事だ。良心の呵責にさいなやんでいる中で、自身の家族をも疑わなければならない。家族にとっては、父親が従事している仕事を察するほどに疑われてしまうことは苦しい出来事だ。この家族は最終的にどうなってしまうのか。じっくりとスクリーンに映る光景を見届けてほしい、と願うばかりだ。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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