養子に出された娘の心と家族愛を描く『夏が来て、冬が往く』がいよいよ関西の劇場でも公開!
©MICRO ENTERTAINMENT TIMES FILM CO. LTD.
海辺の町を舞台に、実話に着想を得て、養子に出された三女の心の機微に家父長制の考えや伝統を織り交ぜ、男女のあり方を問う『夏が来て、冬が往く』が2025年1月3日(金)より関西の劇場でも公開される。
映画『夏が来て、冬が往く』は、中国の海辺の町を舞台に、幼い頃に家の都合で養子に出された女性が生家の家族と初めて過ごす3日間をつづったヒューマンドラマ。幼いころに生家から養子に出されて育ったチアニーは、結婚を機に家を購入するか否かで恋人ジーユェンと意見が食い違い、彼からのプロポーズの返事を先延ばしにしていた。そんな折、ある電話をきっかけに生家の家族と連絡が取れたチアニーは、実父の葬儀に参列することに。母と2人の姉と弟に初めて会った彼女は、長女ウェンフォンは生家で育ったが、次女シャオリーもまた養子に出されていたことを知る。三姉妹が互いの心を癒やしながら日々を過ごすなかで、チアニーは幼い頃の養父とのささやかな時間を思い出し、家族や家のことを改めて考えるようになるが…
本作では、中国の新鋭ポン・ウェイが長編初メガホンをとり、いくつかの実話に着想を得て繊細かつ詩的なタッチで描きだす。シュエ・ウェン、チェン・ハオミン、ゼン・ユンジェン、ヤン・ハンビン、ワン・ヤージュンらが出演した。
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映画『夏が来て、冬が往く』は、関西では、2025年1月3日(金)より大阪・梅田のテアトル梅田や京都・烏丸御池のアップリンク京都で公開。
2015年には撤廃されたが、未だに影響が色濃く残っている中国の一人っ子政策。地方においては、男尊女卑の考え方が根強く、女性より男性の数が多い背景がある。その結果、女性の誕生は喜ばれず、養女に出されたケースも多いようだ。長女でなければ、知らぬうちに養女に出されるわけだが、引き取った家庭としては、受け入れたい理由もあるわけだ。養女といえど、実の娘として大切に育てられることも大いにあるだろう。だが、成長していくにつれ、自身の生い立ちを知ってしまった時、複雑な心境にならざるを得ないだろう。また、養子には出されず、親から大切に育てられてきた息子の姿も本作では映し出していく。 第一子ではなく、共にひとつ屋根の下で育ってこなかった姉妹の存在がいると知った時、どのように接すればよいのか。わだかまりが残っている心境の下、追い打ちをかけるような事態に追い込まれてしまったら、素直に心の内を表現することも出来ない。そんな複雑な兄弟姉妹の心情を本作では丁寧に描き出していく。初長編作品として今作を手掛けたポン・ウェイ監督は、中国で実際にあった家族のエピソードを盛り込みながら作り上げており、未来に向けて優しさを以て表現している。『夏が来て、冬が往く』というタイトルが如く、季節が移り変わっていくように家族の姿を描いた本作を是非とも観届けてほしい。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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