ナチス占領下のアムステルダムの歴史に迫る『占領都市』がいよいよ劇場公開!
©2023 De Bezette Stad BV and Occupied City Ltd. All Rights Reserved.
第2次大戦中に5年にわたりナチスに占領されたオランダの首都アムステルダムを映し出す『占領都市』が12月27日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『占領都市』は、『それでも夜は明ける』のスティーブ・マックイーン監督が、ナチスドイツ占領下で10万人以上が虐殺された大都市アムステルダムの恐怖の記憶を描いたドキュメンタリー。第2次世界大戦中の1940年5月から5年間にわたってナチスドイツの占領下におかれたオランダの首都アムステルダム。人々は人権や言論の自由を奪われ、ユダヤ人を中心に10万人以上もの犠牲者が出た。アムステルダムを第2の故郷として暮らすマックイーン監督が、歴史家で妻のビアンカ・スティグターによる著書「Atlas of an Occupied City (Amsterdam 1940-1945)」を原作に、忌まわしい虐殺の記憶をもつさまざまな場所を通して恐怖の日々を復元。アーカイブ映像やインタビューによる回想はあえて使用せず、35ミリフィルムで130ヶ所にもおよぶ“現場”を正確にとらえることで、当時の記憶を鮮烈によみがえらせていく。『ポール・ヴァーホーヴェン トリック』などのレナート・ヒレヘが撮影を手がけ、『aftersun アフターサン』のオリバー・コーツが音楽を担当した。
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映画『占領都市』は、12月27日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のテアトル梅田、京都・烏丸御池のアップリンク京都、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。
第2次世界大戦中の1940年5月から5年間にわたってナチスドイツの占領下におかれたオランダの首都アムステルダムで何が起こっていたか淡々としたテンポで語られていく本作。本当に、ひたすら語られていく、語られていく…語っていく中では、当時の映像を映し出していくのが、これまでによく制作されてきたドキュメンタリーのスタイルだ。だが、本作は、近年のアムステルダムの様子を映し出す。かつて悲惨な出来事が起きていた場所は、今はこんな風になっているんです、と通常のドキュメンタリーならば、ポイントを定め随所に挟み込まれることが多い。だが、本作の場合、映し出されるのは現代のアムステルダムのみだ。特に2020年のコロナ禍前後から現代までを映し出していく。こんなドキュメンタリーは滅多にない。よくぞこんな制作手法を選んだな、と感心するしかないだろう。だが、当時から80年を経ても、同時代性があると捉えるのは興味深い。ナチスが扇動しながら侵略してきたこと、新型コロナウィルスが世界を未曾有の危機に至らせたこと、これらは共通しているのか。或いは、抵抗する人々も手法は違えど似通ったところがあっただろうか。家の中にだけは細やかな幸せがあったのかもしれない。嘗ての時代と現代の共通点や違いについて考えていく程に本作がいかに興味深い作品であることに気づかされてしまう。気づけば、来年で戦後80年。当時を知っている人が本当にいなくなってしまう時代がやってくる。そんな現在において本作を鑑賞する意義は大いにあると信じたい。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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