フランスから日本の出版社に招聘された作家の愛と再生の物語『不思議の国のシドニ』がいよいよ劇場公開!
©2023 10:15! PRODUCTIONS / LUPA FILM / BOX PRODUCTIONS / FILM-IN-EVOLUTION / FOURIER FILMS / MIKINO / LES FILMS DU CAMELIA
フランスから招聘された女性作家が、不安を抱えながらやって来た日本で、編集者と共に日本の読者と対話しながら旅をしていく『不思議の国のシドニ』が12月13日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『不思議の国のシドニ』は、喪失を抱えるフランス人作家が日本各地を旅するなかで新たな一歩を踏み出していく姿を軽やかにつづった人間ドラマ。フランスの女性作家シドニは、自身のデビュー小説「影」が日本で再販されることになり、出版社に招かれて訪日することに。見知らぬ土地への不安を感じながらも日本に到着した彼女は、寡黙な編集者・溝口健三に出迎えられる。シドニは記者会見で、自分が家族を亡くし天涯孤独であること、喪失の闇から救い出してくれた夫のおかげで「影」を執筆できたことなどを語る。溝口に案内され、日本の読者と対話しながら各地を巡るシドニの前に、亡き夫アントワーヌの幽霊が姿を現し…
本作では、フランスの名優イザベル・ユペールが主演を務め、『硫黄島からの手紙』の伊原剛志が溝口役をフランス語で演じ、『名もなき生涯』のアウグスト・ディールがアントワーヌの幽霊役で出演。『ベルヴィル・トーキョー』『静かなふたり』のエリーズ・ジラールが監督を務め、『アマンダと僕』のモード・アメリーヌと『アンティークの祝祭』のソフィー・フィリエールがジラール監督と共に脚本を担当した。
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映画『不思議の国のシドニ』は、12月13日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のテアトル梅田、京都・烏丸御池のアップリンク京都、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。
イギリス人女性冒険家イザベラ・バードの著書『日本奥地紀行』を下敷きに描いた漫画『ふしぎの国のバード』を想起させるような邦題である本作。夫を亡くし、喪失の闇を抱えるフランスの女性作家シドニは日本の編集者からの熱烈なオファーを受け、来日した。だが、シドニの目に映るのは、少し理解に苦しむ”おもてなし”。映し出される姿は滑稽に感じられるが、冷静に考える程に本作を鑑賞する日本人の中には怒る方もいるのではないか、心配してしまう。これぞ、エリーズ・ジラール監督が来日した際に捉えた日本の風景をユーモアを以て愛情ある表現をしたと云えようか。だが、シドニが抱える闇を解放するには、これ程のユーモアも必要だったのかもしれない。その闇の核心を突くように、亡き夫アントワーヌの幽霊が見えてしまうことに。そこからは、シドニの心を浄化させていく旅が始まっていく。京都だけでなく、奈良や直島にまで赴き、彼女の琴線にふれていく。同時に、シドニを招待した日本の編集者にも抱える闇があり、それらが邂逅した時、闇の解放へと繋がっていく。現代においても、日本が不思議の国であるか、は定かではないが、シドニにとっては新たな一歩を踏み出すための旅であったことを切に願うばかりだ。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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