父親と疎遠になったトランスジェンダー男性の人生を映し出す『息子と呼ぶ日まで』がシアターセブンでも公開!
©息子と呼ぶ日まで製作実行委員会
トランスジェンダー男性が社会で生きる中で感じる偏見や違和感に悩み、家族との関係の中で葛藤を抱えながらも、パートナーと共に自分らしい生き方を見つけていく姿が綴られる『息子と呼ぶ日まで』が11月30日(土)より大阪・十三のシアターセブンでも公開される。
映画『息子と呼ぶ日まで』は、自身の性別に違和感を持って生まれたトランスジェンダーの主人公が、差別と偏見のなかで葛藤する姿や家族との絆を描いた短編映画。不動産屋で働くトランスジェンダー男性の翔太は、カミングアウトをきっかけに故郷の父と疎遠になっていた。翔太は、社会で生きていくなかで感じる偏見と違和感に悩み、家族との関係に葛藤を抱えながらも、パートナーの絵美とともに自分らしい生き方を見いだしていく。
本作の主人公である翔太役には、トランスジェンダー当事者を対象にしたオーディションで選ばれた演技初経験の合田貴将さんを抜擢。『八重子のハミング』等のベテラン俳優である升毅さんが翔太の父を演じ、『きのう生まれたわけじゃない』の正木佐和さん、『夕方のおともだち』の鮎川桃果さんが共演。俳優の黒川鮎美さんが、同じくLGBTQをテーマにした短編映画『手のひらのパズル』に続いて監督・脚本を手がけた。
©息子と呼ぶ日まで製作実行委員会
映画『息子と呼ぶ日まで』は、11月30日(土)より大阪・十三のシアターセブンで公開。また、『息子と呼ぶ日まで』公開記念Diversity CINEMA WEEKと題して、日替わりで『知らない三人』『レタスまき』『手のひらのパズル』『あなたが言うなら』『さよならは聞き足りない』『はちみつレモネード』を併映する。
オーディションで選ばれたトランスジェンダー当事者が主演した本作。演技初経験でありながら、自然な振る舞いに驚かされる。トランスジェンダーの当事者であることを知らされなければ、清潔な男性にしか見えず、何の違和感もない。だが、本人自身は周囲に知られざることで苦労したこともあっただろう。家族に理解してもらえない人もいる。勿論、理解してくれる人もいるはずだ。でも、それ故に家族が分断されるようなことがあってほしくない。いや、分断状態になったことを冷静に捉えている人もいるだろう。様々な考え方がある中で、本作の主人公はパートナーを見つけることができ、改めて家族に会おうと試みる。果たして、再会した家族はどのように理解し接してくれるだろうか。会う前には図り知れない不安もあったことだろう。短編作品でありながら、喜怒哀楽の感情をしっかりと詰め込み、皆を信頼したくなる良き作品である。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
- 最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!