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大切な人たちの側で本当の人生最後の時間を過ごす人々を描く『とりつくしま』がいよいよ関西の劇場でも公開!

2024年9月23日

©ENBU ゼミナール

 

“とりつくしま係”の問いかけによって、亡くなったあとに物となって大切な人の近くで過ごす人々を描く『とりつくしま』が9月27日(金)より関西の劇場でも公開される。

 

映画『とりつくしま』…

人生を終えた者の前に現れて「この世に未練があるなら、なにかモノになって戻ることができる」と告げる“とりつくしま係”。夫のお気に入りのマグカップになることを決めた妻、大好きな青いジャングルジムになった男の子、孫にあげたカメラになった祖母、野球の投手である息子を見守るため試合で使うロージンになった母など、人生の最後にモノとなって大切な人の近くで過ごす人々の姿を描き出す。

 

本作は、長編デビュー作『ほとぼりメルトサウンズ』で注目を集めた東かほりさんが監督・脚本を手がけ、自身の母でもある作家の東直子による小説「とりつくしま」を映画化。物語で重要な役割を果たす“とりつくしま係”を小泉今日子さんが演じる他、『めためた』の橋本紡さん、『よこがお』の小川未祐さん、『ドーナツもり』の中澤梓佐さん、『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』の新谷ゆづみさんが共演。ロックバンドのインナージャーニー』が主題歌としてオリジナル楽曲を提供した。

 

©ENBU ゼミナール

 

映画『とりつくしま』は、関西では、9月27日(金)より大阪・梅田のテアトル梅田、10月18日(金)より京都・出町柳の出町座、10月19日(金)より神戸・元町の元町映画館で公開。なお、9月28日にはテアトル梅田に加藤るみさんと橋本紡さんと東かほり監督を迎え舞台挨拶付き上映を開催予定。

大阪アジアン映画祭で上映された長編作品では『ほとぼりメルトサウンズ』や『においが眠るまで』といった五感に寄り添うような作品を手掛けてきた東かほり監督。今作では、母親である東直子さんの短編集から幾つかの作品をピックアップして作り上げた。この世とあの世の間にある世界から発する物語は日本映画でもいくつか存在していたが、記憶に寄り添う作品ではなく、現在進行形で存在するモノに”とりつく”といった発想が興味深い。生物ではなく、感覚がないようなモノにとりつくことで、何者にも迷惑をかけないスタイルで現在を生きている者に寄り添うことが出来る。合理的でありながらも、人生を終えた者の感情に寄り添う仕組みは興味深い。あくまで”モノ”であるため、大切な人に自ら近づくことが出来ないのは切ないことではある。だが、大切な人を見守った先にこの世にあった後悔と決別し無事にあの世に行けるのなら、ひょっとしたらこんな世界が本当にあるのかもしれない!?作中には4つのエピソードが綴られるが、大好きな青いジャングルジムになった男の子にまつわる出来事が特にお気に入りだ。不思議な世界観が描かれていくが、その謎が明かされた時には胸にグッとくるものがあるだろう。そして、“とりつくしま係”の方が、その役割を担った由縁が気になるばかりだ。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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