Now Loading...

関西の映画シーンを伝えるサイト
キネ坊主

Now Loading...

関西の映画シーンを伝えるサイト
キネ坊主

  • facebook

県警広報職員が親友の変死事件を独自調査する中で、警察内部の大きな闇に迫る『朽ちないサクラ』がいよいよ劇場公開!

2024年6月18日

©2024 映画「朽ちないサクラ」製作委員会

 

ストーカー被害に関する警察の不祥事をきっかけに、その記事を書いた新聞記者の変死の真相を、県警広報広聴課の行政職員が暴こうとする『朽ちないサクラ』が6月21日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『朽ちないサクラ』は、県警の広報職員が、親友の変死事件の謎を独自に調査する中で、事件の真相と公安警察の存在に迫っていくサスペンスミステリー。度重なるストーカー被害を受けていた愛知県平井市在住の女子大生が、神社の長男に殺害された。女子大生からの被害届の受理を先延ばしにした警察が、その間に慰安旅行に行っていたことが地元新聞のスクープ記事で明らかになる。県警広報広聴課の森口泉は、親友の新聞記者である津村千佳が記事にしたと疑うが、身の潔白を証明しようとした千佳は一週間後に変死体で発見される。後悔の念に突き動かされた泉は、捜査する立場にないにもかかわらず、千佳を殺した犯人を自らの手で捕まえることを誓うが…

 

本作は、「孤狼の血」シリーズの柚月裕子さんによる警察ミステリー小説を杉咲花の主演で映画化。泉役を杉咲さんが演じるほか、安田顕さん、萩原利久さん、豊原功補さんらが顔を揃える。監督は『帰ってきた あぶない刑事』の監督に抜擢された原廣利さん。

 

©2024 映画「朽ちないサクラ」製作委員会

 

映画『朽ちないサクラ』は、6月21日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田や難波のTOHOシネマズなんば、京都・二条のTOHOシネマズ二条や三条のMOVIX京都、兵庫・神戸のOSシネマズミント神戸等で公開。

おもしろかった!という満足感いっぱいで、エンドロールを見ながらようやく緊張を解く。上質の硬派の警察ドラマは、やはり見ごたえがある。

 

最早その魅力は全観客が知っています、と言いたい杉咲花さんが、今回も見事な演技を見せる主人公の泉の魅力はもちろん、本作では二人の泉の上司の富樫役の安田顕さん、捜査一課の梶山役の豊原功補さんの二人のベテラン刑事(富樫は元公安・現広報課なので刑事ではないけれど)の画面と会話やりとりがたまらない。「もう少し、うまい酒になる予定だったんだかな…」というセリフは、今年観た映画のベストシーンの渋さで痺れてしまった。後半での衝撃の展開の伏線は、実は最初からじっくりと見せられているのだが、俳優たちのあまりの存在感に魅せられっぱなしで、それどころではない。

 

「孤狼の血」が広く知られる柚月裕子さんによる小説の映画化は今回も大成功だ、と断言する。社会の矛盾や格差構造、悪意だけによらない深い事情による事件の悲劇を、ソリッドで飾らない文章で描き、登場人物のセリフも地の文も決して感情的ではないのに、読み進める者の心は気づくと怒りややるせなさで震わせられていた。そんな硬派な世界を、本作ではイメージ通りに映像化している。前述した二人の男達は、小説からそのままスクリーンに出てきたようだ。キャラクターの設定に関して原作とは大きく異なる改変があるが、見ている者に人物配置を分かりやすくさせるため、重要人物の動機に説得力を与える論理的な再構築だと感じた。「解釈の一致」なので違和感はない、と言えば伝わるだろうか。

 

そして、原作はシリーズ2作目の「月下のサクラ」が刊行中だ。本作のあのラストシーンを見せられてしまったからには、その先の物語には期待しかない。高いクオリティで完成された本作に続く、次回作の公開を早くも待ち望みつつ、本作をお勧めしたい。

fromNZ2.0@エヌゼット

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

Popular Posts