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人間が生きていくための推進力になるのは何かというテーマをあぶり出す『正欲』がいよいよ劇場公開!

2023年11月7日

©2021 朝井リョウ/新潮社 © 2023「正欲」製作委員会

 

ある事件をきっかけに、まったく関わりがないかと思われた人物たちの人生が交錯していく様を描く『正欲』が11月10日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『正欲』は、家庭環境、性的指向、容姿などさまざまな“選べない”背景を持つ人々の人生が、ある事件をきっかけに交差する姿を描く。横浜に暮らす検事の寺井啓喜は、不登校になった息子の教育方針をめぐり妻と衝突を繰り返している。広島のショッピングモールで契約社員として働きながら実家で代わり映えのない日々を過ごす桐生夏月は、中学の時に転校していった佐々木佳道が地元に戻ってきたことを知る。大学のダンスサークルに所属する諸橋大也は準ミスターに選ばれるほどの容姿だが、心を誰にも開かずにいる。学園祭実行委員としてダイバーシティフェスを企画した神戸八重子は、大也のダンスサークルに出演を依頼する。

 

本作は、第34回柴田錬三郎賞を受賞した朝井リョウさんのベストセラー小説を、稲垣吾郎さんと新垣結衣さんの共演で映画化。『あゝ、荒野』の監督である岸善幸さんと脚本家の港岳彦さんが再びタッグを組んだ。啓喜を稲垣さん、夏月を新垣さんが演じ、佳道役で磯村勇斗さん、大也役で佐藤寛太さん、八重子役で東野絢香さんが共演。第36回東京国際映画祭のコンペティション部門に出品され、最優秀監督賞および観客賞を受賞した。

 

©2021 朝井リョウ/新潮社 © 2023「正欲」製作委員会

 

映画『正欲』は、11月10日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田や難波のTOHOシネマズなんば、京都・二条のTOHOシネマズ二条や七条のT・ジョイ京都、神戸・三宮のOSシネマズミント神戸等で公開。

生まれ育った環境によって、それぞれの正しさが育まれていく。育ってきた環境が違えど、偶然にも出会った人間同士が共感できるものがあれば、どれだけ嬉しいことだろう。それが他人にとっては理解できなかったとしても、迷惑をかけず社会の中で生きていくことが出来ればいいのではないか、と本作を観ながら考えてしまった。特に、今作では、他人に知られたくない性的指向を扱っている。その1つについては、そういった指向もあるのかぁ、と気づかされたが、それは誰かに迷惑をかけるとは思えないし、決して咎めるべきものではない、と心から思えた。こういった指向は、形は違えど誰にでもあるのではないか。人によっては、それによって息苦しさを抱えていたり、心地よく日々を過ごしていたりするだけだ。そこから、多様性の在り方について本質があるように感じられた。だが、本作では、自分こそ正しく生きている、と思っている人に潜んでいる不寛容性を表出させ、物語はうねりを帯びていく。最後まで観終えた時、原作者の朝井リョウさんが名付けた「正欲」の意味に思いを巡らせながら考えさせられる一作であった。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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