キラキラしていて青春のような時間だった…『バジーノイズ』川西拓実さんと桜田ひよりさんと風間太樹監督を迎え舞台挨拶開催!
人との関わりを必要とせず1人で音楽を作って奏でる生活を送る男性と、自分の気持ちに素直に生きる女性の出会いから始まる青春物語『バジーノイズ』が5月3日(金・祝)より全国の劇場で公開。初日には、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田に川西拓実さんと桜田ひよりさんと風間太樹監督を迎え、舞台挨拶が開催された。
映画『バジーノイズ』は、DTM(デスクトップミュージック)を題材に斬新な音楽表現とタイムリーなテーマ性でSNSを中心に話題となったむつき潤さんによるコミックを、大ヒットテレビドラマ「silent」の風間太樹監督のメガホンで実写映画化。マンションで住み込みの管理人をしながら、自分の頭の中に流れる音楽をPCで形にし、部屋でひとり奏でることに没頭する青年の清澄。人と関わることをせずシンプルな生活を送る彼に、上の階に住む女性である潮が挨拶をしてくる。失恋したばかりだという彼女は、毎日清澄の部屋から漏れ聞こえてきた彼の音楽を楽しみに聴いていたと話す。自分の音楽を誰かに聴かせようなどと思っていなかった清澄だったが、潮が何気なく投稿した演奏動画によって、彼の世界は大きく変わり始める。人気ボーイズグループJO1の川西拓実さんが清澄役、『交換ウソ日記』の桜田ひよりさんが潮役でそれぞれ主演を務め、潮の幼なじみである航太郎役で井之脇海さん、ベーシストの陸役で柳俊太郎が共演した。
上映後、川西拓実さんと桜田ひよりさんと風間太樹監督が登壇。スタンディングオベーションで迎える中、和やかな舞台挨拶が繰り広げられた。
今回、大阪では5回の舞台挨拶を開催。LIVE等で大阪に来ている川西さんは、通天閣に馴染みがあり「昔、小学生の頃に行ったことがあるけれども、記憶が曖昧で…大人になった今、行ってみたい」と楽しみにしている。桜田さんはUSJに興味津々。千葉県出身だが、話しながら関西弁の口調になっており「私生活でも偶に語尾が神戸弁になっていた。今、無意識に出た」と驚きながらも、川西さんは「バッチシです」と太鼓判を押す。風間監督からは「レコーディングしたものをスマホに入れて日々聞きながら、かつ音楽を聴きながらの生活だったんじゃないかな」と添えていく。そこで、桜田さんは「台詞の音源を頂いて、その通りに喋る。あとは、清澄が作った音楽を日常的に取り込むためにプライベートでもずっと聞くようにしていました」と振り返る。野球が好きな風間監督は、京セラドームに興味津々。そこに川西さんは甲子園に行っていたことを明かす。なお、原作漫画では、神戸・舞子が舞台であるが、風間監督は「海と街の距離感。道の雰囲気は原作にあるものをオマージュしながら考えていったところで、横浜を選びました」と説明する。
会話劇シーンもある本作。表情も重要とされており、風間監督は「キャラクターとして、演技で表現する時に自己投影をしてもらいながら演じてもらった」と思い返す。オファーを受けた際、川西さんは「ドッキリをかけられた経験があるので、これもドッキリなのかなぁ」と当初は困惑すると共に「自分で大丈夫かな」と不安もあった。さらに、音楽にも携わるので「音楽を奏でていくことが自分に出来るのかな」と憂鬱な日々もあったようだ。そんな様子を見た風間監督は「不安そうな子犬見たいな目をしていたんですよ」と明かす。これを受け、川西さんは「ワンっ!」とリアクションするしかなかった。初めて出演する映画が初主演となり「キャストの皆さんは、本当の演技をする方達だと思っていた。そこに僕が一つの味を足せるのかな」と悩んでいたようだ。主演であるため「座長として自分に何か出来ることはないかな」と撮影中はずっと考えていたが「結局、どうしたらいいか分からないまま撮影していた。桜田さんは現場に慣れており、助けて頂いた。なんとか撮影を終えることが出来たな」と安堵している。川西さんとの共演だと聞いた桜田さんは「動画を拝見しキラキラ…という感じだった。そんな感じの方なのかな」という印象だったが、実際にお会いし「内に籠るタイプの方なんだな、と清澄を通して感じられることもあった。川西さんだからこそ出来た清澄なのかな」と受けとめていた。風間監督としては「今となれば、拓実君以外ありえなかったんじゃないかと。この清澄は、拓実君が演じたからこそ出来たキャラクター」と思っている。
演奏シーンも含めた演技に挑んだ川西さんは「仕事が終わったら、家でキーボードの練習をしたり、台本を読んだり。現場に行って皆さんと演じ、休憩中は他愛もない話をし、本当に青春のような時間だったので、終わった時は、1ヶ月ぐらいは引きづって生活していましたね」と懐かしそうだ。同じく関西出身の円井わんさんとは「共通点があったので話しやすく、演技やプライベートについても話させて頂きました」と仲良くなった。ベーシストを演じた柳俊太郎さんについて、風間監督は「(ベースの)経験はあったけども、今回、改めてコード進行から習い直した。大浜陸になるために努力してくれた人ですよね」と感心。なお、ラストLIVEシーンは回数を限定して撮っており「円形のレールを使ってグルグルしながら長回しをしていた。そのLIVE感が映るといいなぁ」と期待もあった。
テイ龍進さん演じる音楽プロデューサーの沖も印象的だ。風間監督曰く「あぁいう人は音楽業界に限らず映像業界にもいると思います」と指摘しながらも「悪然としているわけでなく、沖さんなりの音楽への誠意で人と付き合う。それぞれの視線でリアリティは出て来ているんじゃないか」と考察。川西さんは「あぁいうプロデューサーの方がいらっしゃった。その方達が抱えている悩みや思いをリアルにこの映画で描いている。観て下さる皆さんが、『こういう思いで音楽を作っているんだな』『こういう葛藤があるんだな』と少しでも分かって頂けたらいいのかな」と提案。Yaffleさんと向き合って音楽を作った風間監督は「スタートラインは、世界中の曲を一緒に聴き漁るところから始めた。Yaffleさんは博識なので、清澄にはこういう曲が合うんじゃないか、と提案してくれた。スタジオに入り、それを聴きながら詰めていきました。実際に清澄のようにパソコンと向き合い、閃いたように隣にあるグランドピアノで弾いて曲を作っていく」と解説。その様子の映像を観た川西さんは「音楽を奏でているのを観て影響を受け、撮影の時に参考にさせて頂いた。アーティストとしても勉強になった」と実感。DTMで音楽を作る経験をして「一番に感じたことは、自分が鳴らしたい音楽を素直に伝えていいんだな、と思わせてくれたことが大きい。初心みたいなものを常に持っている方は素敵だな」と憧れている。
主題歌の「surge」について、川西さんは「僕の歌ってきた曲の中でもかなり難しいもの。はじまりはキーが高くて苦戦しましたね」と告白。オーディエンス側としてLIVEシーンを観た桜田さんは「皆さんがキラキラ輝いていた。一つ一つの動きや表情、演奏しながらお互いを観る顔には、音だけじゃない空気感は客席側でしか体験できないもの。演奏している本人達も苦戦しつつも、どこかキラキラしていて青春のようだったな」と感慨深げだ。実際に演奏していた川西さんは「桜田さん演じる潮と目が合うシーンでは、心が安心するような感覚になった。少し緊張していたけど、ほぐれて通じ合えていたのかな」と印象深い。そのシーンについて、風間監督は「2人の表情が時間の長さを物語るように演じてほしくて、最後の交わし合いがあった」と解説する。様々な楽器を全て川西さんが奏でており「練習は約2ヶ月間やらせて頂いた。現場で当日に覚えることもあった。それでも諦めずに撮って頂き、やっと綺麗なシーンになったのかな」と安堵していた。JO1としてシングルを出したタイミングと重なった時であり、朝にTV番組に出演して撮影現場に向かうこともあり大変だったが「現場に来たら、桜田さんが、おつかれさま、の顔でいてくれた」と労ってもらったこともある。これを受け、桜田さんは「現場で清澄のメイクに戻るのを傍で見ていたので、尊敬しました」と謙遜。川西さんだけが現場に残り、他のメンバーは韓国でツアーの練習する期間もあったが「メンバーから動画のメッセージを頂いた。河野純喜君からはドリンクチケットを送ってくれた」と感謝している。
最後に、風間監督は「僕等、キャスト・スタッフの一人一人が心を尽くしながら『バジーノイズ』を作り上げてきました。是非気に入って頂けましたら、広めて頂けたら」とお願い。桜田さんは「この作品には多くの方が携わってくれているので、その方々の思いと共に初日を迎えることが出来て嬉しく思います。皆さんの心に届いていたら嬉しいな」とメッセージ。川西さんは「キャスト・スタッフ、観て下さる皆さんに感謝して、これから活動していきたいな、と思っております。皆さんの心が少しでも動いたら僕は幸せです。皆さん本当に頑張りました。公開おめでとうございます」と思いを込め、舞台挨拶は締め括られた。
映画『バジーノイズ』が5月3日(金・祝)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田や難波のTOHOシネマズなんば、京都・二条のTOHOシネマズ二条や三条のMOVIX京都や七条のT・ジョイ京都や、兵庫・神戸のOSシネマズ神戸ハーバーランド等で公開。
- キネ坊主
- 映画ライター
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- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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