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親切にすることこそが最善の解決策である…『復讐のワサビ』シアターセブンで舞台挨拶開催!

2024年3月16日

幼少期から続いているいじめのトラウマを抱えている女性が、自分の可能性を見いだし、貧しい生活を脱けだして明るい未来を目指す『復讐のワサビ』が3月16日(土)より大阪・十三のシアターセブンで公開。初日には野村啓介さんとヘマント・シン監督とプロデューサーの松本悠香さんを迎え舞台挨拶が開催された。

 

映画『復讐のワサビ』は、東京を拠点に活動するインド出身のヘマント・シン監督が、いじめを題材に全編日本語のオリジナル脚本で撮りあげた長編デビュー作。顔の傷が原因で子どもの頃からいじめにあってきた少女カノは、酒浸りの母親と2人で貧しいながらもどうにか暮らしてきた。ある出来事をきっかけに自分の秘められた可能性に気づいた彼女は、貧困にあえぐ村の暮らしを抜け出して明るい未来を目指すことを決意。そんな矢先、母親がある事件に巻き込まれたために、カノは過酷な道を歩むこととなってしまう。『MANRIKI』の小池樹里杏さんが主演を務め、『偽りのないhappy end』の野村啓介さん、『屍人荘の殺人』の井上雄太さん、バラエティ番組などで活躍する河辺ほのかさん、『バカバカンス』のふじわらみほさんが共演。

 

今回、上映後に野村啓介さんとヘマント・シン監督とプロデューサーの松本悠香さんが登壇。初監督作品への意気込みが伝わってくる舞台挨拶が繰り広げられた。

 

映像作家として活動していたシン監督。「いつか映画を作らなければいけない」と野望を抱いていたが、チャンスには恵まれなかった。さらに、コロナ禍を受け、仕事がない状況が続いたが「このタイミングを活かして、今こそ作ろう」と決意。作品のテーマについては、偶然にも、ニュージーランドの男の子がいじめられている動画を母親が投稿したものを見て「いじめをテーマにした作品を作ろう」と決めた。とはいえ、いじめ、というテーマであるため重い題材になることは避けられないが「エンターテインメント作品にしよう」と心掛けると共に「飽き性な自分でも飽きないような映画を作りたい」といったことを念頭に置いている。そして、本当に伝えたいこととして「主人公のカノは、頭が良いんだけど、悪知恵を働き、破滅してしまう女の子。でも、周りには親切な人が沢山いる。親切にすることこそが最善の解決策である、ということを伝えたい」と説く。

 

野村さんは、福田雄一監督が主宰する劇団「ブラボーカンパニー」に所属しており、小劇場での演劇に出演することが中心だった。だが、コロナ禍により活動できなくなり、映画への出演を中心とした活動に舵を取ることに。『悪魔がはらわたでいけにえで私』への出演を皮切りにして、本作には一般公募のオーディションを通じて出演しており「演劇から映画に大きく踏み出すきっかけとなった作品。コロナ禍で、自分から勇気を出すことが出来た大きなターニングポイントになったかな」と受けとめている。なお、当初は、別の役に応募していた野村さん。だが、シン監督は「絶対に、この人にはヒロ役が合っている」と勧め、役が変更したことを明かす。オーディション当時、コロナ禍であり、シン監督のことを全く知らなかったが「インドの方が日本で映画を撮るのはおもしろそう。様々な役を募集していたので、今後も映画に関わっていくためにも応募した。とにかくやってみたい。今は止まっていては駄目だ」と応募した。

 

ここで、シン監督から野村さんに「本当は、踊るために応募したんじゃないの?」と質問。野村さんは「それは断ります」と即答。「分からない。僕、踊れないので」と添えながらも「(撮影では)監督から『踊って下さい』と言われたので…具体的なことは言わず僕に任せてくれるので、陽気なブラジル人サッカー選手のゴールダンスをやりました」と振り返る。なお、情事を描くシーンがあるが「性的な描写ではなくコミカルな…というト書きがあり、分からないながらに(卑猥ではないように踊ってみる)」と工夫していた。

 

お客様からは、ヤクザが登場するシーンについて聞かれ、シン監督は「みんな、ヤクザが好きですよね。ヤクザやギャングが登場すると、映画は俄然おもしろくなる。そして、最初の映画には様々なものを入れよう、と思った。おもしろくできるかチャレンジできるか。飽きさせないようなペース配分も大事。とにかく見てもらうことを意識した。次々とジャンルが変わっていくような雰囲気にした。そこで、なぜ?というタイミングでヤクザをぶち込んだ」と応える。さらに、野村さんは「監督は、インドの会社ではカメラマンもやっていたので、今回は、ディレクションしながら撮影(ドローンも)と照明もやっている」と添えていく。シン監督は、本作について「古臭い、と思われるかもしれない。古臭い”映画”の雰囲気にしたかった。最近のオシャレでととのった映画ではなく、泥臭い雰囲気の作品にしたかった。自己満足な映画ではなく、”映画を観た”と思えるような作品にしたかった」といった目標があった。これを受け、野村さんは「映画を作りたい、という熱量が伝わる。あくまで、映画に拘っている、と感じた。映画を続けていくことが重要だな」と受けとめている。最後に、シン監督は「大阪の劇場で観て頂いたことが本当に価値がある。これだけで勝ったようなものです」と正直な気持ちを伝え、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『復讐のワサビ』は、3月16日(土)より3月22日(金)まで大阪・十三のシアターセブンで公開。なお、3月17日(日)には、小池樹里杏さん、井上雄太さん、荒岡龍星さん、ヘマント・シン監督、プロデューサーの松本悠香さんを迎え上映後に舞台挨拶開催予定。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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