SNSで作り上げた仮の姿で異性との関係を深めようとする『仮想』が第19回大阪アジアン映画祭の特集企画 タイ・シネマ・カレイドスコープ2024で海外初上映!
SNSで新たに作り上げた仮の姿を以って異性と知り合い関係を深めようとする男性の姿を描く『仮想』が第19回大阪アジアン映画祭の特集企画 タイ・シネマ・カレイドスコープ2024で海外初上映された。
映画『仮想』…
SNS上で気に入った女性と対面を果たした男。2人は惹かれ合うが、彼女は度々姿を消してしまい…。都会で孤独を感じる男女のスタイリッシュなラブストーリー。46歳で亡くなったタナコーン・ポンスワン 監督の遺作。
映画『仮想』は、3月7日(木)18:35よりシネ・リーブル梅田でも上映。
普段は証券会社で働く”デキる男”として格好良いビジネスパーソン。プライベートは、富裕層向けの住宅で優雅に住みながら、SNS上で理想的な姿を演出していく。何処の国でも”意識高い系”な人間はいるんだなぁ、と眺めていた。SNS上で理想の自分を作り上げ、ビジュアルでは完璧な人間であることを見せつけても、本質的な部分で内面性が伴っていなければ、空っぽの人間であることが異性には見透かされてしまう。SNS上では、”いいね”をクリックしたりコメントをし合い続けることで関係性を構築した上で直接会うことが出来ても、一夜だけの関係で終わってしまうんだな。翌日になれば、昨夜は何もなかったかのように朝を迎えるだけ。虚しさだけが残ってしまう。気づけば空虚な日々を繰り返していくだけだ。何故この主人公はこのような日々を送るようになったのか。夢か現実か定かではないと思わせる映像と共に次第に明らかになっていく。SNS上での自己承認欲求について疑問を投げかける作品が徐々に制作されるようになった昨今、それだけでなく芸術性を伴わせ、人生の儚さをも描く作品が制作されたことも興味深い。本作の編集作業中に監督が亡くなったことは悼まざるを得ず、完成させ海外でも上映されたのは感慨深げな出来事だ。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
- 最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!