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大切な人ときちんと別れないまま立ち止まってしまったある親子の物語『水平線』がいよいよ関西の劇場でも公開!

2024年2月29日

©2023 STUDIO NAYURA

 

散骨業を営む男性が、殺人犯の散骨依頼をきっかけに、震災で亡くなった妻をめぐって語らずにいた本音を打ち明ける『水平線』が3月8日(金)より関西の劇場で公開される。

 

映画『水平線』は、福島県のとある港町を舞台に、大切な人ときちんとお別れできないまま立ち止まってしまった父娘の複雑な心情を描く。震災で妻を亡くした井口真吾は、個人で散骨業を営みながら、水産加工場で働く娘の奈生と2人で暮らしている。高齢者や生活困窮者を相手に散骨を請け負う彼のもとに、かつて世間を震撼させた通り魔殺人事件の犯人の遺骨が持ち込まれる。苦しい選択を迫られた真吾は、ある決断を下す。

 

本作は『ロストパラダイス・イン・トーキョー』などの俳優である小林且弥さんが長編初メガホンをとり、『凶悪』で共演したピエール瀧を主演に迎えたヒューマンドラマ。心に深い傷を抱える主人公の真吾を瀧さんが演じ、真吾の娘である奈生を『青葉家のテーブル』の栗林藍希さんが好演。『夜を走る』の足立智充さん、『ピンカートンに会いにいく』の内田慈さん、特撮ドラマ「仮面ライダージオウ」の押田岳さん、『MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』の円井わんさんが共演。

 

©2023 STUDIO NAYURA

 

映画『水平線』は、関西では、3月8日(金)より大阪・梅田のシネ・リーブル梅田や京都・烏丸御池のアップリンク京都、3月9日(土)より神戸・元町の元町映画館で公開。

遺骨を2mm以下の粉末状にした上で、葬送を目的とし節度をもって行われる限り、刑法の遺骨遺棄罪にはあたらず問題はない。法的には問題ないのであれば、誰でも散骨してもよいのではないか、と一瞬考えた。何故、散骨業が必要とされるのか。どこにニーズがあるのか、と疑問に思っていたら、本作を観て改めて気づかされる。何らかの事情により貧困状態になった時、お墓を購入して維持する場合と比べると費用を抑えられることが大きいようだ。率先してやりたい仕事ではないかもしれないが、誰かがやらなければならない仕事ではあるだろうか。散骨自体をするための何らかの許可を得る必要はないようだが、散骨を依頼する側に対して依頼を受ける側が信用するためには、埋葬許可証は重要ではあるようだ。本作の場合、犯罪者の遺骨が持ち込まれたことによって、その対応をどうするかが地域に物議を醸していく。砕け散ったものに対して、どのような感情を抱くべきか。散骨自体は悪いことではなく、誰かがやらなければならない。大きな利益を得るべきものでもないだろう。とはいえ、周囲にいる者の声を聞いたり、姿を見ることによって感情は揺さぶられてしまう。最終的には、誰から隠れもせず真摯に自らの仕事と向き合っている姿を見せてもらっているように感じられた。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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