絶望的な人生を送りながら、犬の愛に何度も助けられ、犬たちとともに犯罪に手を染めていった男の半生を描く『DOGMAN ドッグマン』がいよいよ劇場公開!
©Photo: Shanna Besson – 2023 – LBP – EuropaCorp – TF1 Films Production – All Rights Reserved.
犬に支えられて成長し、ギャングに追いつめられた男が自らの半生を語る『DOGMAN ドッグマン』が3月8日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『DOGMAN ドッグマン』…
ある夜、1台のトラックが警察に止められる。運転席には負傷した女装男性がおり、荷台には十数匹の犬が乗せられていた。「ドッグマン」と呼ばれるその男は、自らの半生について語り始める。犬小屋に入れられ、暴力を浴びて育った少年時代。犬たちの存在に救われながら成長していく中で恋を経験し、世間になじもうとするも、人に裏切られて深く傷ついていく。犬たちの愛に何度も助けられてきた彼は、生きていくために犬たちとともに犯罪に手を染めるが、「死刑執行人」と呼ばれるギャングに目をつけられてしまう。
本作は、『レオン』のリュック・ベッソンが実際の事件に着想を得て監督・脚本を手がけたバイオレンスアクション。『アンチヴァイラル』『ゲット・アウト』のケイレブ・ランドリー・ジョーンズが主演を務め、圧倒的な存在感でドッグマンを演じきった。共演は『フレッシュ』のジョージョー・T・ギッブス、『ザ・ベイ』のクリストファー・デナム。2023年の第80回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品。
©2023 – LBP – EuropaCorp – TF1 Films Production – All Rights Reserved.
©Photo: Shanna Besson – 2023 – LBP – EuropaCorp – TF1 Films Production – All Rights Reserved.
映画『DOGMAN ドッグマン』は、3月1日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のT・ジョイ梅田や難波のなんばパークスシネマ、京都・三条のMOVIX京都や七条のT・ジョイ京都、神戸・三宮の kino cinema 神戸国際等で公開。
『レオン』のファーストシーンを覚えているだろうか。映画が始まって1秒目のあのカットだ。本作では、リュク・ベッソン監督作品が好きな方なら分かっていただけると思うのだが、この出だしから「うわー!ベッソンの映画だ!」とテンションが上がってしまった。もちろん音楽を担当するのも、長年の盟友エリック・セラである。定期的に作品を発表し続けているベッソン監督だが、「訳アリの若い女性の殺し屋が主人公」というパターンではない、中年男性のダークヒーローものは久しぶりである。「レオンから30年!」というキャッチコピーは伊達じゃない。
本作では沢山の犬たちが主人公のダグラスに協力するが、統率された群れが主人に従っているというより、同胞の気持ちを汲んで力を貸してくれているような家族感が妙に可愛い。犬たちと意思を疎通させ悠々とギャング集団を蹴散らすダグラスの佇まいは、動物たちの言葉を理解する指輪をかざすソロモン王のような優雅さだ。
「あの時思ったんだ。私は神を信じているが、『神は私を信じてるのか?』と」そんなケレン味あるセリフを言わせても様になるのが、ベッソンのセンス。マンガみたいなカッコ良さを正面から見せてくる、グラフィックノベルのような作品だ。完全にエンターテイメントに徹した作品なので、娯楽映画を観たい方におすすめしたい。
fromNZ2.0@エヌゼット
「規格外のダークヒーロー爆誕」というキャッチコピーが付けられた今作。確かにヒロイックな一面があり、どこか義賊的な主人公である。しかし、僕が連想したのは「バットマン」シリーズに登場する哀しみを抱えたヴィランたちだった。虐げられてきたトラウマに苛まれ、欠落した何かを埋めるかのように執着し、自分の存在を世に示そうとする。とても切実で、悲哀に満ちた物語。今作の主人公にも同じものを感じずにはいられなかった。
それにしても、リュック・ベッソンはアウトサイダーな人々を撮るときが一番輝いているなと思う。彼らが抱えた孤独感をかっこよく、そして美しく包み込む。そして、誰もが持っている魂の孤高さに寄り添ってくれる。ハードボイルドな世界の中にある優しい眼差しこそ、彼の持ち味のひとつだと改めて思った。また、ドッグマンと呼ばれた男にしっかりとした存在感を与えたケイレブ・ランドリー=ジュニアの演技も素晴らしい。『ニトラム/NITRAM』での痛々しい存在感に匹敵するものを今作でも感じた。
fromマリオン
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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