引退した72歳の映画監督が半覚醒!『レオノールの脳内ヒプナゴジア』がいよいよ関西の劇場でも公開!
落ち込んでいた女性が、ある事故をきっかけに物語と現実を行き来する『レオノールの脳内ヒプナゴジア』が1月19日(金)より関西の劇場で公開される。
映画『レオノールの脳内ヒプナゴジア』は、頭部を強打してヒプナゴジア(半覚醒)に陥った元映画監督が、脳内でアクション映画の世界を駆けめぐる姿を描いたフィリピン発の奇想天外コメディ。かつてフィリピン映画界で活躍した女性監督レオノール・レイエスは、引退して72歳になり、借金や息子との関係悪化に悩む日々を送っていた。ある日、新聞で脚本コンクールの記事を目にした彼女は、未完だったアクション映画の脚本に取り組むことに。そんな矢先、レオノールは落ちてきたテレビに頭をぶつけてヒプナゴジアに陥り、脚本の世界に入り込んでしまう。息子は必死に母を現実の世界へ引き戻そうとするが…
本作では、フィリピン人として初めて英国ロイヤル・ナショナル・シアターで公演を行った名優シェイラ・フランシスコが、主人公レオノールをチャーミングかつエネルギッシュに演じた。監督・脚本はマニラ出身の新鋭マルティカ・ラミレス・エスコバル。2022年サンダンス映画祭ワールド・シネマ(ドラマ)部門で審査員特別賞を受賞した。
映画『レオノールの脳内ヒプナゴジア』は、関西では1月19日(金)より大阪・梅田のシネ・リーブル梅田や京都・烏丸御池のアップリンク京都、1月20日(土)より神戸・元町の元町映画館で公開。
昨年の大阪アジアン映画祭で日本発上映された際に鑑賞した本作。当時は「Leonor Will Never Die (英題)」というタイトルが付けられたが、覚醒から睡眠状態への移行(入眠)時における半覚醒状態のことを指す「ヒプナゴジア」が付けられたのは興味深い。映画監督だった女性が、未完だったアクション映画の脚本に取り組んでいく中で、テレビに頭をぶつけて昏睡状態に陥り、気づけば、脚本を書いていた映画の世界に入り込んでしまうアイデアは秀逸。映画の世界に入り込んでしまう作品は、アメリカの映画でいくつも製作されてきたが、現代のフィリピン映画が多く知られていない中で実現させようとした心意気には拍手を送りたい。映画制作にまつわる愉快なメタフィクションとして描かれており、フィリピンをはじめとした東南アジア発のアクション映画へのオマージュがふんだんに盛り込まれているようだ。最終的には、そんな展開にもなるんだぁ、と驚かされながらも、みんなが好きな映画はやっぱりこうでしょ!と見せつけられたような気がする。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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