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アイヌが遺した莫大な埋蔵金を狙う元陸軍兵の青年とアイヌの少女の冒険を描く『ゴールデンカムイ』がいよいよ劇場公開!

2024年1月10日

©野田サトル/集英社 ©2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会

 

日露戦争終結直後の北海道を舞台に、元陸軍兵の青年がアイヌの少女と共に、埋蔵金のありかの手がかりを探す旅に出る『ゴールデンカムイ』が1月19日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『ゴールデンカムイ』…

日露戦争での鬼神のごとき戦いぶりから「不死身の杉元」の異名を持つ杉元佐一。ある目的のため一獲千金を狙う彼は、北海道の山奥で砂金採りに明け暮れていた。そんなある日、杉元はアイヌ民族から強奪された莫大な金塊の存在を知る。金塊を奪った「のっぺら坊」と呼ばれる男は、捕まる直前に金塊を隠し、その在処を暗号にした刺青を24人の囚人の身体に彫って彼らを脱獄させた。金塊を見つけ出すべく動き始めた杉元は、野生のヒグマに襲われたところをアイヌの少女アシㇼパに救われる。彼女は金塊を奪った男に父親を殺されており、その仇を討つため杉元と行動をともにすることに。一方、大日本帝国陸軍第七師団の鶴見篤四郎中尉と、戊辰戦争で戦死したとされていた新選組副長の土方歳三も、それぞれ金塊の行方を追っていた。

 

本作は、明治末期の北海道を舞台にアイヌ埋蔵金争奪戦の行方を描いた野田サトルさんの大ヒット漫画を実写映画化。『キングダム』シリーズの山崎賢人さんが杉元、『彼女が好きなものは』の山田杏奈さんがアシㇼパを演じ、眞栄田郷敦さん、工藤阿須加さん、玉木宏さん、舘ひろしさんら豪華キャストが個性豊かなキャラクターたちを演じる。監督は『HiGH&LOW』シリーズの久保茂昭さんが務めた。

 

©野田サトル/集英社 ©2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会

 

映画『ゴールデンカムイ』は、1月19日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田大阪ステーションシティシネマ、難波のTOHOシネマズなんば、京都・二条のTOHOシネマズ二条や三条のMOVIX京都や七条のT・ジョイ京都、神戸・三宮のOSシネマズミント神戸等で公開。

原作ファンの1人として、最初に実写映画化の一報を聞いた時、脳裏にこれまで漫画原作の邦画で大コケした作品たちの記憶が次々と浮かび上がってきてしまい「何もわざわざ実写にしなくても…劇場版アニメじゃダメなの?!」が正直な思いではあった。以降、一年余りの間、水面下で進んでいたであろう映画の制作に関する報せ(このエキストラ募集が実は…といった推測)がSNS等で伝わってくる度に気持ちがざわついていく。だが、どのような作品になって現れてくるのか、最後まで見届けたい気持ちがいつしか芽生えていた。昨夏、主要キャスト発表と共に映画公開の詳細が伝えられ、少しずつ予告編映像や出演者の追加発表が行われる度に「ああ、もしかしたら、第一報によって抱いた心配は、少しは軽減されるのかもしれないのかな?」と安堵したい気持ちと「いや、でも、出来上がったものをこの目で見るまでは安心しきれないな」という気持ちがせめぎ合い、落ち着かない心持ちを抱えて数ヶ月を過ごすことに。

 

…といった気持ちの揺れを抱えた時間を過ごした後、今回、東宝主催の試写会に招待され、鑑賞させて頂いた。実写映画化を見守ってきた原作ファンの皆さんには「安心してください!!」と呼びかけたくなるような作品として出来上がっていたことに安堵。いくつかのエピソードが合体されたり切り取られりなどの編集はあるものの、基本的には原作の細部にある見せ場までほぼ忠実かつ丁寧に再現されていた。さらに、映画オリジナルとなる後半のアクションシーンは、原作よりも登場人物たちの特徴が際立つような構成となっており、テンポ良く観ていられるように纏まっている(試写鑑賞後に『CUT』2024年1月号に掲載の原作者インタビュー記事を読み、大胆な変更は脚本づくりに原作者が関わった故の結果だと知り、非常に納得することができた)。

 

映画公開が近づきつつある現在、様々なメディアから関連の情報等が次々と公開されるにつれ、監督や出演者をはじめ製作陣がみな本当に原作が大好きであることが伝わってきた。「集英社オンライン」で2024年1月1日に公開された原作者インタビューでは、連載中から実写化の企画に関する話は多くあったが、可能な限りに原作を尊重してくれる製作チームを待って良かったことを表した、完成作品の感想が掲載されている。原作を愛する多くの人達が製作に関わって下さったおかげで出来上がった作品であることが分かり、原作のファンとして改めて有難く感じられた。

 

本作は、原作全31巻のうち、物語の導入部について、非常に丁寧に纏めた内容となっている。ラストには、この後に続くエピソードや鍵となる人間関係に関する大きなヒントになる映像も作られており、原作ファンはもちろん、まだ原作を知らない方にもぜひ観て頂きたい。そして、映画をきっかけに原作も読んでファン仲間になって頂けたら…と、原作ファンとしても期待したいところである。更に、雄大な北の大地で繰り広げられていく「続きの物語」も再び大きなスクリーンで観られることを願ってやまない。作品のクオリティには安心しているので、原作ファンとして次なる望みは「本作のヒット祈願」である。また、特に、アニメ「ゴールデンカムイ」も視聴されている方にとってはサプライズのようなキャスティングもあるので、どうぞ楽しみにして劇場に足を運んで頂きたい(試写開始直後、驚きのあまり変な声が出そうになったし、実際に出ていたかもしれない…)。

fromやすえ

 

気が早いが「続編が早く観たい!」と全力で叫びたい。試写で観た直後からずっと興奮が冷めないのだ。この文章を書いている今も、まずは本作をもう一度観たくてソワソワしている。早く来い、公開日。

 

娯楽大作映画としても、人気コミックの実写化としても、及第点を遥かに越えて非の打ちどころのない作品となっていた。コミックが映画化された際にありがちな原作の熱烈なファンの悪い癖だが「少しくらい納得いかない部分があっても温かく見守ろう…」と自分でハードルを下げて観賞に臨んでしまっていたことをお詫びする。そんなハードルを軽々と超えてきた、いや制限のない青天井に突き抜けたクオリティの大傑作だ。心配する必要など無かった!

 

北海道の雄大な自然、リアルに息づく野生の動物達、明治末期の文化・風俗を再現した小道具、それらが合わさった雰囲気作りが完璧である。アイヌ文様に縁どられた純白と紫の衣装に包まれたアシㇼパさんの立ち姿は、コミックの表紙そのままだ。登場人物のイメージは本当に誰もが皆ドンピシャで、ビジュアルの再現度も高ければキャストの熱演による個性の発揮ぶりも凄かった。特に、アシㇼパさんの佇まいは納得感しかなく、演じた山田杏奈さんのファインプレーには拍手を送りたい。原作を読んでいる時はよく分からなかったアイヌ語の発音も、祖母フチとの会話や杉元に料理を解説する原作おなじみのセリフ等で「なるほど、そういうイントネーションだったのか!」と膝を打つ。そして、ある意味一番難しいキャラである脱獄王の白石は、画面に映っているだけで笑いを誘うくらいパーフェクトで驚く。「あっ、このヌルヌル感は白石だ」ときっと得心するはず。他のキャラクタ達も一人ずつ賞賛していたらキリがないが、とにかくみんな最高なのだ。

 

この1作目(続編があることを確信し、呼ばせて頂く)で描かれるのは、全31巻で完結している原作コミックのおよそ1~3巻あたりの部分に相当する。このペースなら単純計算でも数本から10本前後で完結できる計算になるので、必ず最後まで作り上げてほしい、と願うばかり。一方で、原作を知らない初見の方でも全く問題ない。重要な場面やセリフは何も省かれておらず、驚くほど簡潔で効果的に2時間強にまとめられていた。むしろ、あの壮絶な旅路が華麗に終結する長編の物語を、この映像で初体験を始められることが羨ましくすらある。非常に大画面映えする作品なので、ぜひ映画館の大画面で観て頂きたい。例えば数年後に「私は『ゴールデンカムイ』を劇場で一作目から最終作まで見届けた」と言えることが、この上なく嬉しい体験となっているに違いない。

fromNZ2.0@エヌゼット

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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