全国22館のミニシアターを訪ね、劇場を支える人達の思いに耳を傾ける『ディス・マジック・モーメント』がいよいよ関西の劇場でも公開!
©cinemadrifters
日本全国のミニシアター22館を巡ったドキュメンタリー『ディス・マジック・モーメント』が1月6日(土)より関西の劇場で公開される。
映画『ディス・マジック・モーメント』は、大阪を拠点に香港、中国、バルカン半島などで映画を制作するマレーシア出身のリム・カーワイ監督が、日本全国のミニシアターを巡ったドキュメンタリー。2022年、コロナ禍のミニシアターを行脚する自主映画監督を主人公に描いたカーワイ監督作『あなたの微笑み』の公開を前に、舞台となったミニシアターに次々と困難が降りかかっていた。ついにカーワイ監督の本拠地である大阪のテアトル梅田も閉館が決まったことから、居ても立っても居られなくなったカーワイ監督は自らインタビュアーとなってミニシアターを巡りはじめる。世界でも有数の“独立系ミニシアター大国”である日本には、家族経営、クリーニング店兼映画館、市民がつくる映画館、文化財として観光名所になった映画館など、多種多様なミニシアターが存在する。カーワイ監督は全国各地22館のミニシアターを訪ね、劇場を支える人たちの思いに耳を傾けていく。解体の決まった沖縄最古の映画館である首里劇場の最後の姿や、火災により全焼した小倉昭和館の再建前の跡地など、貴重な映像も収録されている。
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映画『ディス・マジック・モーメント』は、関西では、1月6日(土)より大阪・九条のシネ・ヌーヴォ、1月20日(土)より神戸・元町の元町映画館で公開。また、京都・出町柳の出町座、兵庫・豊岡の豊岡劇場でも近日公開。
大阪・梅田のテアトル梅田が閉館!?当時、支配人からこの報せをメールで受け取った時は、信じられない程の衝撃だった。1990年代以降のミニシアターブームの中で格式ある劇場が閉まることがあるなんて…当時、閉館の理由について支配人にインタビューして直接伺ったが、地域の動向に合わせた前向きな理由ではあった…とはいえ、思うことは様々にある。そういった状況下、劇場の近くにするリム・カーワイ監督が全国のミニシアターを巡ることは大いに意義深いことだ。先日のニュースリリースでもあった通り、全国にあるミニシアターはどこも大変だ。コロナ禍が更に追い打ちをかけてしまった。だが、どんな社会状況においても、劇場で映画を鑑賞したい者は少なからずとも存在するし、シネコンでは上映されなくとも珠玉の作品を観たい者がいるのだ。過去の名作を上映したり、今後更なる大舞台に踏み出そうする若手作家の入り口であり、大きな資本に左右されず自らの作りたい作品を実現させたインディペンデント映画が上映される場所でもある。そんな様々な思いが込められた作品をスクリーンに映し出す場所として、ミニシアターの役割はしっかりとあるのだ。本作には、今も必死になって経営しているミニシアター、役割を終えてしまったミニシアター、復活の狼煙を上げたミニシアター…と様々な劇場の姿が収められている。その中には映画を愛し情熱をかけた人達がしっかりと映し出されていた。あなたの住んでいる場所から思い切って足を延ばしてみれば、どこかでミニシアターに巡り合う機会はないだろうか。見つけたら、マニアックだから、と敬遠せず、思い切って踏み込んでみてはいかがだろうか。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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