香港におけるホームレス排除問題を描いた『香港の流れ者たち』がいよいよ関西の劇場でも公開!
©mm2 Studios Hong Kong
ホームレス荷物強制撤去事件を基に、貧困層などさまざまな社会問題を浮き彫りにしていく『香港の流れ者たち』が1月6日(土)より関西の劇場で公開される。
映画『香港の流れ者たち』は、香港で実際に起きたホームレス荷物強制撤去事件を題材にした社会派ヒューマンドラマ。再開発の陰に潜むホームレス排除問題を軸に、移民問題や貧困層の薬物問題などさまざまな社会問題を浮き彫りにする。再開発による高層ビル建設ラッシュに沸く下町のシャムスイポー。刑務所を出て町に戻った麻薬中毒者ファイは、ホームレス仲間たちとともに再び高架下で暮らし始める。ところがある夜、食物環境衛生署の職員が事前通告なしに現れ、ファイたちは家も身分証明書も失ってしまう。彼らは新人ソーシャルワーカーのホーの助けを借り、政府に対し賠償と謝罪を求める裁判を起こすが、和解金を得られることになったところで意見が割れてしまい…
本作では、長編デビュー作『トレイシー』で高く評価されたジュン・リー監督がメガホンをとり、主人公ファイを『エグザイル 絆』のフランシス・ン、ホームレス仲間の長老ラムじいを『バーニング・ダウン 爆発都市』のツェー・クワンホウ、ソーシャルワーカーのホーを『返校 言葉が消えた日』のセシリア・チョイが演じる。
©mm2 Studios Hong Kong
映画『香港の流れ者たち』は、関西では、1月6日(土)より大阪・九条のシネ・ヌーヴォや神戸・元町の元町映画館で公開。また、京都・出町柳の出町座でも近日公開。
日本の近隣国に旅行に行った際、現地にはホームレスの方がいることを改めて認識することがある。現地の言葉で話しかけることが出来ず、何らかの事情がある、と察することしかできない。本作を観てみてると、日本と同じように強制撤去が執行されている事実を知った。だが、一方的な被害を受けるだけでなく、彼等を支えるソーシャルワーカーの方がいることも知ることが出来る。皆が団結すれば裁判を起こすことも出来るんだ。だが、行政としては想定の範疇で和解に持ち込むことも出来る。だが、和解するための折衷案を受け入れられるか、は状況や彼等の事情によって様々だ。本作では、港で実際に起きたホームレス荷物強制撤去事件を題材にしているが、刹那的なヒューマンドラマとして、しっかりと描いている。過酷な状況下、人間の尊厳を大切にし、お互いを思いやる心を見出しており、香港において評価されていることは、香港での希望ある出来事だと受けとめたい。日本では全国5都市にて開催された「香港映画祭2022」で動員数No.1になった本作が、劇場でロードショー公開されることは喜ばしいことであり、しっかりと広まっていくことを願うばかりだ。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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