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良いと思う候補者は更に批判的に見よ!応援する候補者ほど厳しい目で見るべし!『NO 選挙,NO LIFE』大阪先行プレミアイベント開催!

2023年12月8日

フリーランスライター畠山理仁を追ったドキュメンタリー『NO 選挙,NO LIFE』が12月15日(金)より関西の劇場で公開される。12月8日(金)には、大阪・難波のなんばパークスシネマに前田亜紀監督、畠山理仁さん、日本中学生新聞の川中だいじさん 、プロデューサーの大島新さんを迎え、大阪先行プレミアイベントが開催された。

 

映画『NO 選挙,NO LIFE』は、選挙取材歴25年のフリーランスライターである畠山理仁さんの情熱と苦悩に迫ったドキュメンタリー。候補者全員を取材することを信条に、国政から地方選、海外まで様々な選挙の面白さを伝えてきた畠山さんが、2022年7月の参院選・東京選挙区で候補者34人への取材に挑む姿に密着。1人で選挙現場を駆け巡り、睡眠時間は平均2時間、本業である原稿執筆もままならず経済的に回らないという本末転倒な生き方を続けてきた畠山さんは、2022年9月の沖縄県知事選の取材を最後に引退を決意する。そんな彼が沖縄で出会ったのは、他の地域では見られない有権者の選挙への高い参加意識と、民主主義をあきらめない県民たちの思いだった。『なぜ君は総理大臣になれないのか』『香川1区』のプロデューサーである前田亜紀さんがメガホンをとり、『劇場版 センキョナンデス』の監督を務めたラッパーのダースレイダーさんが率いるバンドThe Bassonsが音楽を担当した。

 

上映後、前田亜紀監督、畠山理仁さん、日本中学生新聞の川中だいじさん 、プロデューサーの大島新さんが登壇。大島さんによる司会で、皆が川中さんに羨望の眼差しを送る賑やかな舞台挨拶が繰り広げられた。

 

 

「黙殺~報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い~」を読んだ前田監督が選挙の豊かな裏側を知り、著者の畠山さんに取材を依頼したことから始まった本作。畠山さんは、本日の先行上映について”選対会議”と喩え臨んでいる。劇場でお客さんと共に本作を観た川中さんは「畠山さんを大画面で観られて、とても嬉しかったです」と大満足。また「前田さんの声が美しい。前田さんのことをミカエル前田と呼んでいます。とても心が美しいからです」「畠山さんも、どんな相談ものって下さる方」と尊敬しており、英語のスピーチに取り上げたり、本作のチラシを配ったりしたことを紹介。

 

記者として活動する川中さんは、畠山さんの選挙漫遊十箇条から「良いと思う候補者は更に批判的に見よ」を挙げ「駄目なところを発見して、本人に伝えることで、本人の学びになる」と意図を気に入っている。これを受け、畠山さんは、10ヶ条の中から「応援する候補者ほど厳しい目で見るべし」を挙げ「今の選挙に出ている人達は特殊な人が多いんですね。実は、選挙の世界は勝ち負けを争う競争社会ですが、競争原理が働いていない」と指摘。「投票率50%前後、半分の人は参加していない。つまり、選手が少なく、固定化されたメンバーの中での勝ち負けしか争っていない。だから、競争原理が働いておらず、当選している人達は、本当の私達からの要望を汲み取れていない」と常々感じており「日本の場合、政治家を神格化し、持ち上げちゃう。そもそも、私達の代わりに政治を専門にやってくれる代理の人だということを皆さんが忘れがち。そうなると、きびしいツッコミを誰も入れなくなっちゃう。競争のない社会でツッコミが入らなくなると、待っているのは堕落しかない」と説く。故に「応援する候補者だからこそ、厳しい目で見て”もっとちゃんとしろ、俺達の言うことを聞け”と。応援するからこそ、何処の世界でも全員が参加して厳しい競争の中でも勝ち抜けるような候補者に、応援する人達が育ててほしいので、厳しく見てほしい」と提案し、作中にある公明党の候補に向けた叱咤激励に関する意図を説明した。

 

 

日本中学生新聞を読んだ畠山さんは「僕より情報の感度が高いです」と評し、以前から川中さんを存していたことを告げる。今年の4月頃、川中さんからLINEで「広島サミットの取材をしたいんだけど許可が下りないんだけど、どうしたらいいんだ」を連絡を受けていた。畠山さん自身が学生時代から記者として活動しており「学生であろうが、会社員であろうが、取材要請に応えることを公の人として当然だろう」と考えていたが、実際は大変なようだ。川中さんについて「情報をキャッチする感度が高く、行動力もある。素晴らしい。この人は完全にちゃんとした記者だ」と受けとめており「ツッコミどころは…今のところないね。僕よりアウトプットが上手なんですよ」と讃えた。前田監督は、パンフレットへの2,000字の寄稿を依頼しており「締め切りをしっかり守って下さったんですよ」と信頼している。畠山さんも「記者として大切なことですね」と同感していた。

 

ここで、大島さんは、今の日本での政治状況について尋ね、川中さんは「みんなが民主主義を作っていく認識が低い。みんが民主主義を作り上げていく中の一つに選挙がある。常日頃、国民が監視して、どういう状況に置かれているか確認していたら…」と嘆いている。さらに「今の日本人は、メディアをエンタメとして捉えているので、政治のニュースを見ない方が多いから、今の状況がある」と捉え「教育にも問題がある、と思っている。今の学校教育ではモノが言えない。他の人と意見が違ったら、相手を否定している、としか見られない。それはおかしい。別の意見があっても、対話をして新しい意見を作っていくようにしたら、政治家を皆が監視するようになり、今のような状況にはならない」と主張した。

 

 

選挙取材もしている川中さんに対し、畠山さんは現場の様子を聞いてみることに。川中さんは「政治家は、僕を白い目で見る方と、僕を利用して広めようとしている方の2つ」と実感しており、堺市長選挙の取材での実体験を語る。そこで、畠山さんは「選挙期間は、政治家のガードがグっと下がる。チャンスなので、選挙の時は、是非政治家に声をかけて、自分達の要望を伝えてほしい」と提案。さらに、大島さんは、大阪維新の会の強さについて尋ね、川中さんは「橋下徹さんが大阪の地で作った政党。大阪の方は地元愛が強いので、地元で作られた政党が好きなので、政策とか関係ない。でも、大阪都構想は否決されちゃうのは、地元愛が強いからなんですよ。自分の区が潰されるのは嫌だ、という理由で反対に投じる方が多い、と思うんです」と分析していた。ここまでくると、畠山さんは川中さんの将来にも興味津々。川中さんは「政治家かジャーナリストに。あとは…ネツゲンに入社したい」と発言するが、大島さんは「それはね、望みが低すぎる。是非、政治家かジャーナリストが良いと思いますよ」と冷静だ。そして畠山さんに対し「だいじさんが選挙に出るまで辞められませんね。取材しなきゃ駄目ですよね」と期待のコメント。川中さんも「畠山さんが選挙取材しない選挙の現場なんかあるんですか!?畠山さんには選挙の現場にいてもらわないと!死ぬ1ヶ月まではいてもらわないと!カメラを持ちながら死ぬ…美しいですね」と期待を寄せていく。

 

本作を観た川中さんに対し、畠山さんは「フリーの記者として取材をすることは大変だと思いませんでしたか?」と尋ねてみると、川中さんは「とっても大変だと思いましたねぇ」と率直に応えながらも「でも、フリーでやりたいですね。固められた組織ではなく、フリーだから出来る報道もあるじゃないか。フリーの自由さが良いと思っています。だから、お金関係なく、僕はフリーでやりたいなぁ、と思っています」とやる気に満ちている。今作の公開を経て、畠山さんは次世代に向けて模索しているようだが、川中さんは「畠山さんが新聞社か雑誌を作るのはどうですか」と提案。畠山さんは、きょとんとしてしまい「お金かかるんですよ。僕自身がお金を集める能力があるように見えました?あまり細かいことができないんですよ」と謙遜しながらも「でも、様々なことにこれから挑戦して長生きできるように頑張ります」と意気込んでいた。

 

 

最後に、前田監督は「この映画は、映画にしようかどうか凄く迷った作品でした。映画を作った後、お客さんに来てもらえるんだろうか、といつも不安になって…やっぱり難しいかな…と言う度に、大島プロデューサーが背中を押してくれながら、畠山さんも快く受け容れて下さったので、映画にしました。これから全国への最初の一歩になりますので、気に入って下ったらお薦め頂けたら」と思いを込め、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『NO 選挙,NO LIFE』は、12月15日(金)より関西の劇場で公開。12月15日(金)より京都・烏丸の京都シネマ、12月16日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場や神戸・元町の元町映画館、2024年1月12日(金)より兵庫・豊岡の豊岡劇場で公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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