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世の中に馴染めない少しエキセントリックな男女が“2人にしかわからなくていい”関係を築いていく『こいびとのみつけかた』がいよいよ劇場公開!

2023年10月24日

©JOKER FILMS INC.

 

植木屋で働く妄想癖のある青年と、コンビニで働く変わり者の女性が繰り広げるエキセントリックな恋を描く『こいびとのみつけかた』が10月27日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『こいびとのみつけかた』は、世間になじめない変わりもの同士の男女が織りなす恋を描いたラブストーリー。いつも雑誌の切り抜きをポケットに詰め込んで妄想を膨らませている植木屋の青年トワは、コンビニで働く園子に恋をする。どうにかして彼女と話したいトワは、木の葉をコンビニの前から自分のいる場所まで並べて彼女を誘い出すことに。園子もまた、廃工場に暮らして奇妙な彫刻をたくさん作っている風変わりな人間だった。言葉を交わすようになった2人は、周囲の人々には理解できない独特の会話で2人だけの世界を築いていく。しかし園子には、いつまでもトワと同じ世界にはいられない、ある秘密があった。

 

本作は、『まともじゃないのは君も一緒』の前田弘二監督と脚本家の高田亮が手掛け、『夏、至るころ』の倉悠貴さんがトワ、『ソワレ』の芋生悠さんが園子を演じ、成田凌さん、宇野祥平さんらが脇を固める。

 

©JOKER FILMS INC.

 

映画『こいびとのみつけかた』は、10月27日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田や京都・烏丸御池のアップリンク京都、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。また、京都・出町柳の出町座でも順次公開予定。

話が通じない人は、どこにでも居る。空気が読めない発言をする、人の発言に耳を貸さない、マイペースな振る舞いは目障りなことも多くて「変なやつ」、「みんなとは違う人」という異質な存在として扱われがちな人…

 

本作は、そんな風に少し周りと違うように見える若い男女二人を主人公にした、ちょっぴり日常とかけ離れた空気の漂う物語だ。観ている間、劇中の他の登場人物たちと同じように「何なんだろう、この人は?」と首を傾げてしまう場面も多かったが、それなのに一方では、この二人がお互いにだけはゆったりと心を通い合わせる様子がうらやましくも感じた。

 

主演の倉悠貴さんは、この変わった役にフィットした新鮮な演技を見せていて、熱演だと賞賛したい。純粋で無垢で、少し世間とずれていて、おっとりマイペースの青年。それでいて、ふとした拍子に見せる冷たいまなざしには内にくすぶる暴力の衝動の気配が感じられて、ゾっとさせられる。例えば、予告の映像で見られる場面の「できればでいいんで」「『できれば』って顔じゃないじゃん」という会話の様子は、鬼気迫るものがある。いわゆる「コイツ、やべー」というやつだ。

 

前田監督の前作『まともじゃないのは君も一緒』は素晴らしかったので、大ファンなのだが、むしろ今回の作品の方が、あのタイトルにふさわしいのでは。主人公はまともではないし、でも、あなたはそんなに言えるほど、まともなんですか?と問われているような気になる。

 

登場人物で魅力的だったのは高田里穂さんが演じる美咲だ。園子のことを「意味わかんないことばかり言ってる」と突き放すようで、実は気にかけて様子をよく見ているのがわかる終盤の杜和に向かって言い放つ「〇〇〇〇だと思ってんじゃねーよ!」(ネタバレのため一部伏字)という台詞は、物語の芯を食っていて、観ている側のフラストレーションも代弁してくれるかのようでグっと来た。

 

主人公二人が初めて言葉を交わすまでの流れは、少し寓話的で浮世離れしている。「さすがに、それはありえないでしょ」と笑い飛ばしそうになったが、ふと「下を向いて歩いているのも、たまには素敵な出会いにつながるかもしれないな」と思ってしまった。倉悠貴さんと芋生悠さんによる、他の作品にはない佇まいが、やんわりとした余韻を残すおもしろい作品だ。

fromNZ2.0@エヌゼット

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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