重く辛い過去や現在を乗り越え再生していく人間賛歌!「連続ドラマW 事件」第一話特別先行上映&椎名桔平さんと北香那さんを迎えトークショー開催!
元エリート裁判官の弁護士が残酷な真実に立ち向かうWOWOWオリジナルドラマ「連続ドラマW 事件」が8月13日(日)より毎週日曜日午後10時より放送・配信される。今回、7月24日(月)に大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマで第一話を特別先行上映すると共に、椎名桔平さんと北香那さんを迎えトークショーが開催された。
「連続ドラマW 事件」は、ある資材置き場で刺殺体が発見される。被害者は地元で細々とスナックを経営する20代女性。程なく被害者の幼なじみで19歳の青年が殺人および死体遺棄の容疑で逮捕された。青年の弁護は、ある裁判を機に過去にとらわれ、“真実”に背を向けた元裁判官の弁護士・菊地大三郎(椎名桔平)に託された。青年の自白もあり、すぐに判決が下る単純な裁判だと思われたが、検察での取り調べから一転、裁判で青年は殺意を否認する。青年のことを調べるうちに、再び“真実”と対峙する菊地。やがて法廷では意外な事実が次々と露見し、裁く者を惑わせる。果たして青年は、本当に「人殺し」なのか――。
1978年に第31回日本推理作家協会賞を受賞した大岡昇平さんの不朽の裁判小説「事件」を連続ドラマ化!舞台を昭和から令和に移し、裁判員裁判制度での心理戦を濃密に描写する。監督は「連続ドラマW インフルエンス」「連続ドラマW 絶叫」など重厚な人間ドラマを手掛けてきた水田成英さん。主演はドラマや映画で圧倒的な存在感を放つ椎名桔平さん。過去に自身が下した判決をトラウマとして抱える元裁判官の弁護士である菊地大三郎役を演じる。自白により殺人罪に問われている被告と被害女性だけが知る事件の裏側から、痛みを伴いながら真相をたぐり寄せていく…
今回、上映前に椎名桔平さんと北香那さんが登壇。喜ばしい雰囲気の中でトークショーが繰り広げられた。
三重県伊賀の出身である椎名さんは、大阪によく来ていたことがあり「小さい頃は、万博。大人になってからは、子供を連れてあべのハルカスの『STAR WARS』展やUSJに来ましたね」と明かす。また「一番思い出深いのは、あべのプール。深いプールで、半円形のところに潜っていって息が吸える。感動しましたね」と思い出していた。大阪が好きな北さんは「今日の為にどれだけいろんなことを頑張ったことか」と感慨深く「先月もプライベートで遊びに来ました。絶対によしもと漫才劇場に行きます。私はお笑いが大好きなので、お笑いを観るために大阪に来ています。美味しいもの食べて、人のあったかみにふれて帰っています」と話し、どれだけお気に入りなのか伝わってくる。
本作へのオファーを受け、椎名さんは「撮影1年前頃に依頼頂いた。早速大岡昇平先生の原作を読んだ。分厚いんですね、500頁ぐらいある。裁判小説なんですが、読み応えがある」と驚きながらも「これをドラマ化するのは大変だなぁ。心理描写も凄く複雑。弁護士役が出来るんだろうか」と困惑。まずは、裁判所へ傍聴に伺い、裁判の雰囲気を伺うと共に、大阪の北浜に幼馴染の弁護士があり、夜な夜なメールで質問をしていきながら、役作りをしていった。結果的に、ゆっくりと準備ができ「半年前には台本もあり、スタッフも準備に余念がなく、寒い季節でしたが、クリスマスも正月もありませんでした。そんな中で撮影を頑張ったので、是非観て下さい」と渾身の作品を薦めていく。北さんは、台本を読み、映画『事件』を観て「私が葉津子役をさせて頂けるのか」と緊張感が走り「役作りとして、葉津子のバックボーンを様々に想像し、心理的な部分で色々と自分に葉津子を落とし込んで、かなり神経を遣いながら撮影に挑みました」と回想した。
裁判を扱った今作の魅力について、椎名さんは「50年前に書かれた原作。菊池大三郎の目線でドラマを進行させていく。彼は元裁判官であり、5年前に或るきっかけで弁護士に転じた。トラウマを抱えており、今回、”法廷に立たない”と宣言していた人間が法廷に立ち、裁判が始まっていく」と粗筋を伝え「菊池弁護士だけじゃなく、様々な方が登場する。皆さんの再生の物語みたいなところもあり、人間みを感じさせるキャラクターが沢山登場します。人間関係も複雑なんですけど、おもしろい」と紹介していく。撮影に臨むにあたり、北さんは「いつも役を演じる時には、その役に知人や友達をあてはめてモノマネをするような演技をしている。その場で、この人だったらどうするかな、と考えて感覚的にやっているタイプです」と自身の演技について説明しながら「葉津子を演じるにあたって、中身から出るものによって表情があり変化していく。葉津子ついて考え、いつもとは違う役作りの仕方をしたので、基本は葉津子と北香那の境界線をグラグラと歩いているような不思議な感覚で撮影に挑んでいましたね。今回は意気込みが違いました」と振り返る。
台本上では台詞の量も多く、椎名さんは「入るかなぁ、と思うぐらい長い台詞が所々にございました。しかも法律用語が入って来るので、あまり言い換えが出来ない」と述べ「最初の冒頭陳述で10頁ぐらい。後半の最終弁論で10頁ぐらいを1人で喋るんです。説得力を持って演じなきゃ、と準備するのが大変でしたね」と苦笑い。資材置き場での撮影を経験した北さんは「寒かったですね。中の服が濡れないようにビニール入れて工夫していました」と思い返しながら「寒さに集中力がいかなかったのは、役者さんやスタッフさんが役に対して集中させてくれた。水田監督が相談にも応じて下さった。だから、極寒の中でもへっちゃらでした。皆様のおかげさまです、お力添えがありました」と感謝していた。
裁判シーンにを観た北さんは「裁判の雰囲気に免疫がないので、新鮮な気持ちで観ていたんです。臨場感や生々しさが凄く伝わってきた。1人1人の証言によって、1人の人生が左右される」と感じると共に、葉津子として見ており「あ、違うのに」と思うこともあった。この葉津子という人物について、椎名さんは「最初は弁護士として色々と調査し、彼女にはどういった人間関係があるのか掴んでいく。作品を通して、葉津子が中心のようで、葉津子を通して様々な人が登場する」と伝え、展開していく中で、彼女が本当はどういう人物だったか見えてくる。しっかりと観て頂ければ」と強調して紹介していく。
ここで、来場者へのプレゼント抽選会を開催。シアター内の座席番号がクジとなり、サイン入りで原作本やポスターが送られた。さらに、7月14日に59歳の誕生日を迎えた椎名さんにサプライズで本作のキービジュアル・ポスターが入れられた誕生日ケーキが送られる。
最後に、北さんは「人間関係や人の感情や正義とは一体何なんだろう…何が正しいんだろう…と考えさせられる作品。題材は重かったり裁判のシーンが沢山あったりしますが、椎名さんと高嶋さんのシーンが息抜きで、お二人の掛け合いが可愛らしく好きだったので魅力的だと思います」と伝えながら「個人的には、葉津子役を頑張った作品なので、是非皆様御覧下さい」とメッセージ。椎名さんは「大岡先生の名作なんですが、裁判のセットが凄いリアルで、本物の法廷よりも法廷なんじゃないかと思えるぐらい細部までしっかりと再現されていて、美術さんの力を感じました」と驚きながら「様々なものに助けられていると実感しながら役を演じていきます。それぞれが持ってきた役柄をぶつけ合い、色んなことを違う人と違う人がぶつかり合っている。そういったものが芝居の醍醐味なんだな」と改めて感じていた。そして「普段、舞台は1ヶ月ぐらい稽古して一気にやる」と挙げ「映像やドラマは稽古をしない。それぞれがしっかり勉強して現場に来て、監督の指示に従って100人近くのスタッフがいる中でやる。皆が重たかったり辛かったりする過去や現在があり、それを乗り越えて再生していく人間賛歌のドラマだと思います。見応えがあると思います。今日は一話を観て頂いて、きっとその次の二話、三話、そして四話を観て頂きたい」と思いを込め、舞台挨拶は締め括られた。
「連続ドラマW 事件」は、8月13日(日)より毎週日曜日午後10時より放送・配信。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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