あるノーベル文学賞作家の“遺灰”の旅を描く『遺灰は語る』がいよいよ劇場公開!
©Umberto Montiroli
イタリアのノーベル賞作家ルイジ・ピランデッロの遺灰が、故郷のシチリアに帰還するまでの波乱含みの旅を、白黒で描く『遺灰は語る』が6月23日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『遺灰は語る』は、ノーベル賞作家の遺灰を運ぶ波乱万丈な旅の行方を、美しいモノクロ映像と鮮烈なカラー映像を織り交ぜながら描いたドラマ。1934年にノーベル文学賞を受賞した文豪ルイジ・ピランデッロは自分の遺灰を故郷シチリアへ移すよう遺言を残すが、独裁者ムッソリーニは彼の名声を利用するため遺灰をローマに留め置いてしまう。戦後、ピランデッロの遺灰はようやくシチリアへ帰還することになり、シチリア島特使がその重要な役目を命じられる。しかし、アメリカ軍の飛行機に搭乗拒否されたり、遺灰の入った壺がどこかへ消えてしまったりと、次々とトラブルが起こり…
本作では、イタリアの名匠タビアーニ兄弟の弟パオロ・タビアーニが兄ビットリオの死後初めて単独でメガホンをとった。なお。エピローグには、ピランデッロの遺作「釘」を映像化した短編を収録。2022年の第72回ベルリン国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞した。
©Umberto Montiroli
映画『遺灰は語る』は、6月23日(金)より全国の劇場で公開。関西では、6月23日(金)より大阪・梅田のシネ・リーブル梅田、7月7日(金)より京都・烏丸御池のアップリンク京都や神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。
イタリアの作家ルイジ・ピランデッロは実在の人物。劇作家でもあり、ローマを近代劇の中心部にしようと運動を起こしたこともある。1934年にノーベル文学賞を受賞したが、1936年12月19日にローマの自宅にて69歳で亡くなった。自身の遺灰を故郷シチリアへ移すように遺言を残したが、ムッソリーニによって留められたのは、如何ともし難い出来事だ。だが、戦後にようやく故郷に遺灰を移すことが出来ると思ったら、段取り良く出来る事ではなかった。交通網が発達していない状況下、ただならぬ気配をまとう荷物から遺灰のようなものだと察してしまうと誰もが拒否してしまう。どうにか一つの荷物として扱ってもらえたら、大事なものとは思ってもらえず、都合の良いものとして使用されたり。なんとかシチリアに到着しても、一筋縄ではいかない。偉人として丁重に扱う者はいなかった。だが、最終的に美しきものとして本作で描かれたことが、せめてもの救いだ。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
- 最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!